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13話 国


数日が立った。

今日はレイナ姫の誕生パーティだ。


カシアはおめかしばっちりだ。

レティナもドレスを着るらしい。

ただ、太ももには短剣を括り付けており、

いつでも戦えるような状態で、近くにいる護衛として周囲に溶け込むらしい。


俺は端っこで参加なので、普通にいつもの姿だ。


館から馬車がでるらしく、

俺とレティナとカシアの3人が乗っている。


「そういえば、教えてほしいんだが、今日はどこの国の人が来るんだ?」


俺がそう質問すると、レティナが答える。


「答えを言うと、我が国しかいない。この世界には大きく7つの国があるというのは聞いているな?」


「あぁ。知ってる。」


「では、説明しよう。まず我が国『自由の国』レビュナ。これは差別がないという理由からだな。自由な暮らしが保証されている。」

「それぞれに別名みたいなものがあるのか。」


「そうだな。次に『武の国』カルフォア。腕っぷしの強さが物をいう国だな。」


俺が頷くとレティナがさらに続ける。


「次に『和の国』日京(ニッキョウ)。これは侍やら忍者と呼ばれる職業の者達がいるらしいが、基本は争いに参加しない。『来るもの拒まず去るもの追わず』という言葉を掲げていると聞いたことがある。意味は分からん。ここからかなり遠いからな。こういう式典には来たくても来れないようだ。」



「4つ目だな。『華の国』マナサイ。ここはエルフが多くいる国だな。森の中にあり、基本はエルフと一緒じゃないとたどり着けないらしい。エルフ狩りなどもいるこのご時世だからな。あまり外には出てこない。入国審査なども厳しいと聞いたことがあるし、こういう場にはでてこないな。」



「5つ目が『機械の国』サンリア。迷い人が作り上げた、機械と呼ばれるものが国をまとめているらしい。ほかの国に攻め込めばあっという間に鎮圧できるほどの強さの機械があると噂されている。が、攻めてきたことはない。攻めてきてもこの国は私達が守る。」



「6つ目が『奴隷の国』ネワオストア。この国は完全な差別の国だ。下の者が上に逆らえない。さらに異種族をさらに下に見る風潮があるから、たちが悪い。」



「最後だな。『法の国』カエケア。この国は普通に暮らすだけなら、我々とあまり変わらない。だが、法を犯すようなことがあった場合は、一瞬で死刑だ。何よりも重たいのは『法』であり、それを順守することが最善であるという考え方だな。」



レティナが全ての国を説明してくれた。


「なんか、めんどくさい国が多いんだな。」


俺がため息交じりにいうとカシアが答えた。


「いえ、国のあるべき形を見据えて、その結果に至ったのであればその国にとってはそれが一番だと思います。」


完全なお仕事モードだ。


「そんなもんかねぇ。」



俺がそうつぶやくと、カシアも苦笑いしていた。


「そろそろ着きますよ~。」


御者台からライの声が聞こえる。


「それじゃ行きましょうか、お姫様。」


俺がそういうとカシアも嬉しそうに答える。


「はい。」




★★★★★★


玉座の間に行くと、

立食形式のように丸テーブルが何個も置かれており、

料理が置かれていた。

ビュッフェ形式だ。


玉座の間だがケルザも玉座に座っているわけではない。

王様なのに一緒に立食を食べるのだろうか。


「さて、今日は皆の者よく集まってくれた。といっても我が国はあまり他国と関わり合いがないからな。いつも通り我が国の古き仲間たちに来てもらっている。あとは商談に来ている各国の方々。この国の発展のためにいつもありがとう。最後に、同盟国レビュナからカシア様が来てくださっている。」


カシアがケルザに紹介され、前にでて一礼する。


「さて、それでは、我が娘レイナから一言挨拶がある。」


そういうとレイナが出てくる。


「皆さま、今日はわたくしのために、貴重なお時間をありがとうございます。わたくし、レイナは本日をもって15歳となります。本日から成人です。これからは子供としてではなく、大人として扱っていただけるように精進していきます。」


周りから拍手が起こる。


一瞬爆弾発言をされるのかと焦ってしまったが、さすが大人。

そんなことはなかった。


「では、ささやかながら、軽い食事を用意してある。皆のもの自由に過ごしてくれ。」


皆動きだして話始める。

小さい子供達は食べ物に向かって走り出している。

大人たちはお酒を片手に難しそうな話を始めた。


俺もまずは、腹ごしらえといこう。



皿を受け取り、ビュッフェ形式の食べ物をさらに持っていく。


「これと、これと、あとこれだな。」


すると後ろから声が聞こえた。


「おい、庶民がこんなところで食べるんじゃない。」


後ろを振りかえるとそこには貴族?の子供がいた。

高そうな服を着ており、いかにも偉そうだぞ~。みたいな雰囲気を漂わせている。


「はぁ。すみません。」


俺はそういうと、皿をもって端っこに備え付けられている丸テーブルに向かう。


「おい、待て。その料理は置いていけ。」


「なぜ、でしょうか?」


「なぜだと?お前俺に口答えするのか。」


「はぁ。いえ、普通に疑問に思っただけなんですけど。」


「俺が誰か知っているのか。」


「いや、知らないですけど。」


「俺はこの国で凄く偉い父様の息子だぞ。」


いや、誰だよ…。


「それはすごいですね。それではこれで。」


「だから料理を置いていけと言っている。」


「どうした。マルイ」


後ろから父親っぽいのが出てきた。


「父様。この庶民が料理を取っている。この国の品位にかかわる。」


品位ねぇ。子供がわかって使っているんだろうか。

どうせ親が品位品位いっていてなんとなく使っているじゃなかろうか。


「確かにそうだな。マルイ。」


偉そうなオヤジのほうがこちらをにやにやとみてきた。





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