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12話 仕事終わりの一杯


こそこそと歩く俺とカケル。


ベヒーモスは寝ているようだ。

カケルがハンドサインで誘導してくれる。

俺たちは静かに、物音を立てないように移動する。


目指すは、カケルの指差す方だ。

ベヒーモスを通りすぎ、入ってきた場所からベヒーモスを挟んで反対側へ。


刺激しないようにゆっくりと時間をかけて通り過ぎた俺たち。

小さい洞穴に入って少し進んだところでカケルが声を発した。



「ここまでくれば大丈夫だろう。」


「あぁ。そうだな。ここまでくれば、ベヒーモスからも届かないし大丈夫だと思う。」


「んじゃこの先に火薬草があるから、ちょちょいと取って戻ろうかねぇ。」


「分かった。」




★★★★★★


「あった。これだねぇ。」


洞窟の中を少し行くと開けた場所があり、

そこにはいろんな色の草がたくさんあった。


「どれが火薬草だ?」


「全部だよ。これを上手く組み合わせていくといろんな色の花火ができる。」


「へー。」


素直に関心してしまった。地球にいたときには花火の作り方なんて調べたこともないからな。


「ただ、1日やそこらで花火ができるのか?」


「あぁ。普通の職人だったら結構かかるかもしれねぇが。花火師という職とスキルのおかげでねぇ。1日もあればおつりがくるようになったよ。」


「そんなもんなのか。」


この世界ではやはり職業ありきでの生き方が多い。

職業の力があれば、何でもできてしまうのだろう。


「そんじゃ集めてくるから少しだけ待っててくれ。」


カケルがそう言い、背負っていたリュックからタッパーのようなものを取り出し、火薬草を詰めていく。

見ていると気になったのだが、いろんな色を全て一つのタッパーに入れていく。

分けたりしなくてよいのだろうか。

だが、ここはプロの世界。特に理由はないので、

聞くのは控える。


「さって、全部とれたよぉ。」


「それじゃ帰ろうか。」


「はいよぉ」


帰る道はわかっているので俺が先導する。


ベヒーモスのいた場所まで戻ってくる。

お互いに人差し指をたて顔の前に持ってきて、しーっと合図。


こそこそと歩く。


しかし、ここで俺がやらかす。

ベヒーモスの姿を見ながらカニ歩きで歩いていたら足元にあった石を蹴っ飛ばしてしまった。


転がる石。


コツンコツンと音を発する。

止まるカケルと俺。


ベヒーモスがピクリと動く。


だが、何もなかったかのように、

再度ベヒーモスは止まる。


2人で顔を見合わせながら再度慎重に進む。

ベヒーモスを通して反対側。つまり最初に入ってきた穴まで、戻ってきた。

ベヒーモスは特に起きない。


「はぁ…。すまなかった。なんとかなったな。」


「これで大丈夫だろうねぇ。あとは戻るだけだい。」


俺が謝るとカケルも応えてくれる。




★★★★★★

帰りの道中も特に何事もなく、帰ることができた。


「はい。これで依頼は無事完了となります!」


受付嬢に報告した。

カケルも一緒にいるし、スムーズだった。

特に戦闘などはなく、護衛としても特にやることはなかったので、

報酬をもらうのはいかがなものかとも思うのだが、

依頼主が無事に帰ってこれることが依頼内容なのだから問題ないらしい。


「カケル今日はありがとうな。」


「いやいや、こちらこそだよぉ。」


依頼を受けたときにカケルと話していたテーブルに再度つく。

手にはお酒。つまみも何個かテーブルに置いてある。


「明日は、レイア姫と会うのか?」


「その予定だねぇ。昼過ぎに謁見させてもらえるように話しているよぉ。」


「なるほどな。」


カケルはそう言いながらお酒を飲み始めた。

こういう時じゃないと飲めないからなぁとぼそぼそつぶやいていた。



「そういえば、アシナ。お前はどうして今回ここに居たんだ?」


「俺はもともとレビュナの人間でカシア姫の護衛だ。」


「なるほどねぇ。それじゃお城とかにも言っているのかい?」


「あぁ何度も言っているし、何日か後にあるレイナ姫の15歳のパーティにもカシア姫の護衛として待機している予定だよ。」


「ふ~ん。大変だねぇ。」


「そんなこともないさ。」


そういうと、カケルがこちらを直視してきた。

そこには感情が見えない。

ぼーっとこちらを見ているように見える。


「まぁ…。なんだ。今日はそのありがとうな。」


「いやいやカケル、こっちも楽しかったから平気だよ。」


「それじゃ、飲みますかぁ」


そういいながら再度乾杯する俺たち。



その後遅くまで飲んでから帰宅し、

皆に怒られたのは言うまでもないだろう。

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