5話 オウファ
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砦のような国境検問所にたどり着いた。
中は人が走り回っている。
そのうちの近くを走っていた人を捕まえて話しかける
「何かありましたか?」
「はい。花火をもちこんでいたひとがいて、その人の荷物検査をしていたところ。検問を担当していた人がタバコに火をつけてしまったらしく…。」
はい?
「ありがとうございます。」
俺はそう言うと奥に走って行き人助けを始めた。
アホのせいで、人が死ぬなんて真っ平御免だ。
動けない人や物の下敷きになってしまっている人たちを助け出し、外に運び出す。
10人ほど助けたところで火が収まった。
外で座り一息ついたところ、
検問所の偉い人が話しかけてきた。
「この度はご協力ありがとうございます。」
「いえいえ。ところでどうしてこんなことになったんですか?」
「カルフォアのレイナ様を祝うために、カルフォア側が花火師のカケルという天才花火師を呼んでいまして。彼がこの検問所を通ろうとしたんですが、担当していた人間が、カケルを知らなくて…。「この火薬はなんだ。テロでも起こそうというのか!」と怒ったまではまだいいんですが、皆が別室に移動したところ、1人残っていた彼がタバコに火をつけてしまったようで、引火してドーンと…。」
たまたま、その時は部屋には一人しかいなかったこと。
石造りで燃え広がる素材ではなかったこと。
などの様々な要因から被害は思ったより小さいとのことだった。
急いで、カシアの元に戻る。
「ご主人様大丈夫でしたか?」
ミゼリが話かけてくる。
「あぁ。大丈夫だ。」
そういいながら通り過ぎ、カシアの元へ向かう。
「アシナさん。大丈夫でしたか?」
ライが話かけてきた。
俺は状況を説明する。
「ほう。花火師のカケル様がいるんですね。」
「あぁ。知っているのか?」
「当たり前でしょう。私を誰だと思っているんですか。」
「いや、ライは普通の騎士だろ?」
「実はカケルさんの大ファンなんですよ。最初は花火ってなんだよって思ったんですけどね。初めて見たときの夜は今も忘れられません。」
「そんなすごいのか。今度見てみたいな。」
「ぜひ見てみてください。」
だが、ここで会話をしていても始まらない。
これからどうするかを決めなければ。
「さて、とりあえず、これからどうする?」
「とりあえず、忙しいとは思いますが、私達もカルフォアに入って、首都に向かわなければならないですからね。」
それじゃ、行ってみるか。
また馬車を動かす。
★★★★★★
あれからさらに1週間ほど。
国境もすぐに通してもらえ、すぐにカルフォアに向かうことができた。
特に問題はなかった。とは言えない。
何組かの盗賊にあったが、俺の出番はなかった。
ミゼリ達の強さがかなり目立っている。
どれだけハードなトレーニングを行っているのか。
だが皆にそれをいっても、
ゼミアのメイドトレーニングのほうがつらかったと口をそろえて言う。
万能は教えるのまでは得意ではないのだろうか。
できる人間は教えるのが下手というがそういうことなのだろうか、
それとも厳しいだけなのだろうか。
ただ、この3週間の皆の動きを見ていると、
後者だと思う。
皆かなりの動きだと思う。
メイドとか詳しくはわからないけど。
「ご主人様、見えました。」
「お、とうとう見えたか。」
「はい、あれがカルフォアの首都『オウファ』です。」
森の中とか、そういうのを考えていたが、
予想を裏切り、オウファは普通の街と変わらなかった。
よく見る本とかだと、大きな木が立っていたりとかするんだがなぁ。
世界樹とかないのかね。
そんなことを思っていると、
街の入口が見えてきた。
入口には憲兵がいる。
俺たちはここでも貴族の通り口へ向かう。
「止まれ。」
憲兵に止められる。
豹のようなでかい男の人(?)だ。さすが獣人の国。
懐からSランク冒険者の印である、カードを見せる。
「ほう。Sランク冒険者か。何用でこの街に来た。」
「レビュナ王国カシア姫様の護衛だ。」
「ほー。カシア様の護衛ねぇ。こんなひょろい人間が護衛とは、王家もなかなかに金がないと見える。大事な愛娘を送り出すのに私ならこんなやつには娘を預けないがね。」
ぎゃははと笑われてしまった。
どこに行っても煽られてしまう。
キャラクターメイクの際にもっと屈強な男にすべきだったかなとほんの少しの後悔。
「まぁ、見た目と強さは違うからな」
後ろから声が聞こえる。
レティナだ。
「お前は…レティナ!」
「あぁ私だ。久々だな。スーラ。」
この豹人はスーラというらしい。
「何をしに来たレティナ。」
スーラがレティナに聞く。
「何だって?私はレビュナ王国騎士団の3席だ。決まっているカシア様の護衛だ。」
「ほう。お前がいるのに、こんなひょろい男も来たのか。」
「残念ながら、この男は私よりずっと強いぞ。」
「んな…?」
驚きこちらを見るスーラ。
「はぁ。どうも。」
とりあえず挨拶を返しておく。
「こいつは、私達の国に出現していた黒竜を単騎で討伐した。これがどういうことかわかるだろう?」
「なんだと…。」
スーラが顔をしかめている。
「では、我々は通らせてもらうが構わないな?」
「あぁ。通っていい。」
レティナが出てくるとすんなりと通してもらうことができた。
門に馬車を通すと自分の馬車に戻ろうとする、レティナに話しかける。
「ここからどうしたらいい?」
「一応私達は来賓だ。そちらもアシナも含めてな。宿があてがわれるだろう。一緒に来てもらう。」
「分かった。」
そうして、城に向かう。
2つの馬車。
この時はまだ、あんな大変なことになるとは思っていなかった。