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4話 いざ、カルフォアへ


家に帰った。


家の敷地に入ってすぐ左側にある馬小屋には馬が6頭増えていた。

馬車は2頭で1個の馬車を引くタイプが3個手に入っていた。


ランスル様様だ。


自室に戻り一息ついてから、アリー、ロメリア、ゼミアの3人を自室に呼ぶ。


俺はベッドに腰掛け、椅子を3つ出し座るように促したが、

誰も座らない。


仕方ないので俺は話始めた。


「行く前に話しておいたので知っていると思うが、今日はSランク冒険者として城に呼ばれた。」


3人の顔を見渡しながら続ける。


「カシアが『カルフォア』という国に行くことになった。今回の指名依頼は護衛だ。それでいくメンバーだが、シルファからの指示もあり、俺とミゼリ達の4人の計5人で行こうと思う。」


4人を担当しているゼミアに言うと、ゼミアが答える。


「承知いたしました。」


「ありがとう。王城からはカシアと身の回りの世話をする2人、レティナとあとはライだ。」


「一国の姫が移動するには護衛が少なすぎではないでしょうか?」


ロメリアの疑問ももっともだろう。


「シルファの判断では、俺が自由に動けるように人を絞るということ、俺が護衛をがんばれば大丈夫だという評価もされているらしい。」


「その他に、別の国に対する牽制も兼ねているのかもしれません。護衛が少なくても安全な旅ができるほどに冒険者が強いという意図を含んでいるのでしょう。」


ゼミアが言う。


「その考えはなかったが、可能性はあるな。」


シルファのことだから、そういうところまで考えている可能性がある。


「さて、毎度のことだが、家のことは3人に任せる。お金はいつも通りカンナに渡す。3人とも知っていると思うが、カンナならいつでも俺に連絡をつけることができる。よろしく頼んだぞ。出発は3日後だ。」


カンナの職業が神薙ということは教えた。だが、俺の死神については教えていない。

うまくごまかすのは大変だったが、主従関係にある人間との遠距離通信や真似をできるスキルだと伝えてある。


「はい」


3人は返事をすると部屋からでていった。



★★★★★★


あっという間に3日立ち、出発の日。


メイド服ではなく、冒険者スタイルとミゼリ、ロゼ、コア、ランセの4人と俺は王城の前で馬車の前に整列し待っていた。


城から出てくるカシア。


着飾ったドレスに目立ちすぎない装飾品を身に着け、

高貴な雰囲気を纏いながら階段を下りてくる。


「冒険者アシナ。護衛をしてくださり、ありがとうございます。これから計2か月ほどよろしくお願いいたします。」


「はい。カシア姫様。私共にお任せください。」


丁寧な言葉に対し、なんとか丁寧に返したが、

正直、面食らった。

カシアの普段の短文ような会話。放っておくとずっと本を読んでいるような気配は消え去り、

完全な一国の姫様だ。


カシア達が自分たちの馬車に乗り込んでいく。

その前の馬車に俺たちも乗り込む。


俺たちの馬車は、

ロゼが御者。

ミゼリがその横で、

コア、ランセ、俺が馬車の中だ。


カシアの馬車は、

ライが御者。

馬車の中にカシアとレティナ、ほか2名が乗っている。


馬車が動き出す。


「ロゼ。何かあったらすぐ言ってくれ。」


「はい。ご主人様。」


ロゼのエルフという種族と弓術師という職業を活かせば、100メートル先にあるコインの表裏すらわかることも可能だろう。

だが、念には念を俺もマップを広域表示にし、展開しておく。


「そういえば、カルフォアはどこにあるんだ?」

俺が聞くと、ランセが答える。


「ご主人様!南西の方向ですよ!」


南西か。最近寒くなってきていたので、

暖かいならうれしい。



動き出して数時間。

何事もなく。暇な時間を過ごす。


「そういえば、カシアはドレスで着飾っていたが、これからつくまでずっとあのままなのか?」


「いえ、それは違いますね。基本的には、姫様は公務で家を出るときはキレイな恰好で、お出かけされますが、馬車に乗ってからは、すぐにお着換えされているはずです。」


さすがにあんな大変そうな恰好でずっと移動することはないか。


それなら、最初からラフな格好で乗ればいいものを。と思ったが言わなかった。


★★★★★★


移動開始から2週間ほどたった。

到着予定まではあと1週間ほど。


そこから10日ほど滞在して、また3週間かけて帰ることになる。


正直、かなりしんどい。

馬車はつまらないのだ。

何も起きないし、移動は続けなければならないため、止まって遊ぶこともできない。


この2週間で街を3か所ほど経由した。

毎回、その街を収めている貴族が用意した家に泊まっていたが、

俺たち冒険者と1国の姫様が同じ家に泊まるのは他所向き上問題があるため、

基本的には俺たちは家の前でテントで暮らしている。

もちろんテントは2個に分けている。


半ば移動に飽き飽きしてきたところ、

ロゼの声が聞こえた。


「ご主人様。国境が見えてきました。」


「国境か。」


そういえば、この世界に来て国を超えるというのは初めてだ。


窓から身を乗り出す。そこには砦のような建物があり、

列ができていた。

商人のような人たちが並んでいる。


「俺たちはどうしたらいいんだ?ならぶのか?」


「先に確認しておくべきでしたね。判断できかねます。」


ミゼリが返事をしてくれる。

失敗だったな。昨日の夜に顔を合わせていた時に話を聞くべきだった。


ロゼに馬車を止めるように指示し、

馬車を降り、後ろをついてきているカシアのいる馬車に近づく。



「検問ってどうしたらいいんだ?」


ライに聞く。


「右側の奥に貴族用の入口があるのでそこに向かうといいです。」


「ありがとう。」


そういい、馬車に戻ろうと振り向いた瞬間。

砦から爆発音が響いた。


すかさずダッシュで砦に向かう。


自分の馬車の横を通り過ぎるときに呼びかける。


「ミゼリ、カシアを守れ。俺は砦を見てくる。

見た限り、周りに敵対している人間たちはいない。だが、細心の注意を払ってくれ。」


「わかりました。」


後ろでミゼリの声があっという間に後ろに通り過ぎていくが、俺は止まらない。

砦の入口まで走っていく。




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