11話 ただいま
3章終了です。
閑話を2話挟んでから4章に入ります。
俺がカンナに見つけてもらってから1週間たった。
見つかった俺は、すぐに王城に運ばれた。
セシアとリシアは俺から離れずべったりだったらしい。
まず、あのあとだが、
崩れてくる岩がちょうどいい感じに空間ができたおかげで俺は一命をとりとめていた。
だが、地上にでる術が浮かばなかった。
できるとしたら、少しずつ上を目指す方法だ。
そのため少しずつ鎌で斜め上に向かって岩や砂を砕き、振ってくる岩や砂にまみれながら再度崩落が落ち着くのを待つというのを繰り返していた。
斜めに掘り進んでいたからか、途中で水が入ってきた。
湖の水が流れ込んできたようだった。
正直溺死すると思った。
だが、調鎌を利用し、壁を押したりすることでなんとか素早く移動をすることができたため、地上にたどり着くことができた。
さてこの1週間だがいろいろあった。
まずは、カンナたちが家につれてかえってくれるのに1日。
セシアとリシアが王城に運ぶといって運ばれてきてから、
さらに2日間俺は気絶していた。
その後4日目に目を覚まし、
セシアやリシアとあいさつをすると二人とも泣き出してしまった。
2人とも片時も離れず、ずっとそばに居てくれたようだ。
俺が目を覚ましたという情報は王様や俺の家族たちに伝わった。
するとまずは、シルファが訪ねてきた。
俺に謝罪と何があったかを聞こうとしてきた。
だが、俺の横にいたセシアとリシアが王様にブチギレていた。
俺がずっと死にそうだったのに、
目が覚めたら報告しろとは何様だと。
正直、俺でも引いてしまうほどに二人のキレ方はえげつなかった。
シルファは落ち着いたら話を聞かせてくれと部屋を出ていった。
次に来たのは、カシアだった。
「よっ!」
俺がそういうとカシアも
「うん。」
と軽く返してくれる。
「俺が生きていることを皆に伝えてくれたんだって?」
「うん。助かってよかった。」
「ありがとうな。」
「うん。」
カシアもそのあと部屋にいて
セシア、リシア、カシアと3人で夕食を取った。
セシアとリシアは俺が目を覚めてもここで寝ようとしていたが、
さすがに自分の部屋に帰した。
ちゃんとどこにもいかないと約束するとしぶしぶ二人は自室に帰っていった。
次の日に来たのは、
カンナたちだった。
カンナたちにもかなり迷惑をかけてしまった。
困っていないかとか、お金の話とか、謝罪などを皆に話した。
皆最後は笑顔に戻ってくれた。
良かった。
目覚めて2日目もまだ体を起こすくらいしかできず、
基本は寝たきりだった。
目覚めて3日目ともなるとゆっくりだが歩けるようになってきた。
医者にも見てもらっているが、怪我はひどいが、後遺症もなく、問題はないとのこと。
今回の件でわかったのだが、俺には回復系の効果があまりないことが分かった。
死神だからだろうか。
以前は効果があった気がするので、ダンジョンで死神の力が濃くなってしまったからだろうか。
動けるようになってきたので、シルファのところに行き、報告を済ませる。
一緒にきたのは、セシア、リシア、カシア。
皆何が起きたのかを知りたいのだろう。
俺は話し始めた。
まずは、今回の騒動の発端である、王都を落とす方法について。
ダンジョンとは何か。
ダンジョンマスターとは何か。
魔物暴走とは何か。
すべて事細かに説明していく。
次にヴェリアストの構成について、
番号1~10番に対して、各国に1人ずつ+特殊な奴らが3人。
この国を担当していたロストについて。
ロストについての調査は、シルファが引き継いでくれた。
最後にダンジョンマスターと戦ったこと、そして崩落に巻き込まれたこと。
全てを伝えきった。
皆無言だった。
その後俺が話を変え、
69層の魔物達の素材についての話に切り替える。
冒険者ギルドに引き取らせるよりも国力増加のために、
国で引き取りたいとのこと。
俺は了承し、素材たちを全て渡した。
しかし、アダマンタイトのゴーレムは加工すらできないので、
受け取るのは厳しいらしい。
だが、有無を言わさず買い取らせる。
これくらいはやってもらわないと。
ダンジョンの浅い場所でもアダマンタイトのネックレスなどはたまに出てくる。
その相場を元に、全身アダマンタイトのゴーレムの腕などを買い取ってもらった。
正直あと500年くらいは働かなくても生きていける分くらいは金が手に入ったと思う。
だが、家にいるメンバーには内緒だ。
報告を終えると、俺は久々に家に帰りたいことを告げた。
シルファ側には特に問題はないらしい。
セシアとリシアはついてくるといっていたが、
今日は久々に家に帰って、一人でゆっくりさせてくれと断った。
明日は朝一で行くといわれたので了承しておく。
帰ったらアリー達に伝えないとな。
その後帰宅した俺は皆に謝罪をし、
それぞれに1つずつ欲しい物を買ってあげることを約束した。
オーザー達にはアダマンタイトをあげる。
加工方法を調べるとのこと。
きっとうまくやってくれるだろう。
そうして俺の長いダンジョン調査は幕を閉じた。
皆にお休みを告げ、自分の部屋に向かう。
俺は自分の部屋を開けると一言
「ただいま」
そういい、部屋のドアを閉じた。