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10話 おかえり

カンナ視点です。


あれから1か月たった。

ご主人様は帰ってこない。


最初は数日と言っていたはずなのに、

全然帰ってくる気配すらない。



ご主人様が出かけて1週間くらいたったころだろうか、

この国の王様が私達のところにやってきた。


なぜか私が代表になっていた。


なぜだろうか。

私はこの世界では9歳。

アリーやロメリアが対応すべきでは。


だが、私に違和感があることは二人も気づいていたのだろう。

だから私が対応をすることになったのだ。


王様からの話は単純だった。


王様からご主人様に依頼があったこと。


ご主人様が向かったダンジョンから魔物達がたくさん出てきたと思えば、

ダンジョンが崩落したと情報が入ったこと。


私は直観的にご主人様がやったのだと悟った。


だが、そんなことを誰かにいっても意味はない。

私達にはどうすることもできないのだ。



この間にセシア様やリシア様がうちにきた。

どうやら、王様から情報を得たらしい。二人ともアシナが死んだら二度と話さないと王様を無視しているとかなんとか。



さらに1週間。

状況は変わらない。


正確に言うと、変わったのはセシア様リシア様だろう。

うちに居つくようになった。


完全に家出だ。

だが、王妃様に許可を取っていること、王様とのことがバレていること。

この二つから家に戻らなくても問題ないとのことだった。


だが、やっぱりご主人様は帰ってこない。


私達は話しあった。

Cグループはもともと戦闘に向いているメンバーが集まっている。

Cグループが冒険者登録をして現地に向かういう話に決まった。


ゼミアは冒険者にはならないというので、


ロゼ、ミゼリ、コア、ランセの4人でパーティを組むとのこと。

ミゼリがリーダーで3人を引っ張る形になった。

バランスは良い。


最初はゼミアが戦闘訓練を行ってくれた。




さらに1週間たった。


戦闘訓練を行っていたゼミアの負担が上がっている。


ロゼ、ミゼリ、コア、ランセの気持ちが強いのか、

みるみる成長しているのだ。


このままだとゼミアが怪我をしてしまう。

どうしようと困っていると、オーザーが名乗り出てくれた。


奴隷になる前はSランク冒険者。もう冒険者として動く気はないといっていたが、これ以上の相手はいないだろう。


ミゼリのパーティ4人、喧嘩しながらもよくやっている。

オーザーとの戦いを得て、復習し、再度戦い、復習し、ずっと繰り返している。


ほかのメイドたちも家の掃除だけではなく、自分たちで動けることをいろいろやっている。


アリーは服を作り、売る。そこで冒険者たちにアシナを探すように依頼している。

皆ご主人様がいっていた、家族という言葉が胸に刺さったんだと思う。


この家にきてからの扱いの良さは間違いなくトップレベルにいいだろう。




ある日、カシア様がいらっしゃった。

リシア様、セシア様二人が滞在している部屋に入ると二人の顔を無言でビンタしていた。


私は驚いて「ヒッ」なんて声を出してしまった。


カシア様がどんな思いなのかはわからないが、リシア様もセシア様も驚いていた。

カシア様は普段はそんなことをしない方なのだろう。


カシア様が二人をリビングに呼び、ほかのメイド達も呼び出す。

リビングに全員を集めるとカシア様が言う。


「私はどんな結果になっても、ただ正直にそれを伝えるだけ。」


皆何をいっているかわからなかった。


だが、リシア様とセシア様は違ったようだ。


「もしかして、分かるの?」


リシア様が聞く。


「うん。」


「カシア姉様お願いします。」


「礼なら父様に。」


そういうとカシア様が手を広げる。


圧巻だった。


カシア様を中心に光が起き、

周りをタロットカードのようなものが飛ぶ。


カシア様の目の前にカードが並ぶ。

それを右手で重ねたり戻したり。


一番上のカードをカシア様がめくる。


光が収まる。

カシア様の手元にはカードが一枚だけ残っていた。


「このカードは生命、再生などを司る。つまり、アシナは。生きている。」


カシア様がそう言った。

確かにそういった。


私達は泣いた。

泣いて喜んだ。


だが、私は思ったんだ。

ではなぜ帰ってこないのかと。


それから1週間特に音沙汰がない。

本当に生きているのか心配になる。


正直カシア様を疑っているわけではない。

だが、全然戻ってこないなんて何か理由があるに違いない。


私は、ミゼリのグループと一緒に、ダンジョンに来た。

崩落地帯を見る。

洞窟が埋まっているようだ。


中に人がいても生きているようには見えない。


私は膝から崩れ落ち泣いてしまった。


前世のことを話せる唯一の相手。

私の大事なご主人様。

私が迷い人だと知っても距離を取るどころか近づいてくれた。

私を抱きしめ慰めてくれた。


彼はどこにいるんだろうか。


「…泣……ナ…。」

声が聞こえた気がした。


私ははっと横を向く。

「ロゼ。馬車を出して、あっちに。」



声が聞こえた気がする方向に進んでいく。


すると小さな湖があった。


「ストップ。馬車を止めてあとからついてきて。」


湖の周りはぬかるんでいて、馬の足に悪い。


私は一人で走り出す。


走った。走った。走った。

何度も転び、膝を擦りむきながら。


そして見つけた。

一人の男が倒れていた。


「やぁ。カンナ。遅くなっちゃってごめんね。」


私が近づくとその人は顔も上げずに反対側にいる私に声をかけてきた。


「バカ。」


私は返した。

目から涙が溢れてくる。


「なんとなくね。カンナが近くにいて、聞こえるような気がしたんだ。」


「バカ。」


私は再度言った。


「カンナーどこだー?」

後ろからコアのバカでかい声が聞こえる。


「コアもいるのか。これは皆に謝らないとな。」


そういうと彼は気絶した。


私はコアを呼ぶ。


「おかえりなさい。」


私は気絶した彼にそう声をかけた。


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