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7話 死神の生きる闇


この空間にいるのは、俺とエルダーリッチだけだ。

だが、俺の声は外まで聞こえていることは間違いない。


ということは完全に外界と隔離されているわけでないというわけだ。


まずは、エルダーリッチを片付ける。

エルダーリッチに真っすぐ走り出す。


「はっ。どこに行こうと思ってるんだ。」


声が聞こえるが無視だ。一直線にエルダーリッチに向かう。


エルダーリッチは俺の動きに気づいたようだ。

すっと音もなく移動を開始している。


俺はその移動している方向に向けて進行方向を変えながら走る。


エルダーリッチまでもうすぐだ。


衝鎌撃(しょうれんげき)

鎌から衝撃波を飛ばす。


エルダーリッチには効かないようだ。通り抜けてしまう。


「む、小僧。エルダーリッチの場所がわかるのか。」


爺さんは気づいたようだ。


「当たり前だ。この程度の闇で死神が動けなくなるわけないだろ。」


といっても衝撃波が当たらない。

こうなったら鎌刃を直接充てて切り裂くしかない。


そこに物質として存在しなくても、

死神のスキル、絶対切断ならば切り裂けるはずだ。


鎌を構えて、距離を一気に詰める。

だが、エルダーリッチの気配が消えた。


「どういうことだ。」


確かにいたはずだ。だが、急に気配を感じなくなった。

唐突にだ。


まわりを見渡すが、場所がわからない。


少し経つとかなり遠くの場所にエルダーリッチが現れた。


再度近づこうとまた走り出す俺だが、

エルダーリッチが右手で黒い弾を飛ばしてくる。

一つずつ鎌で切りながら距離を詰めていく。


エルダーリッチと俺の距離が走り始めたときの距離のちょうど半分くらいまで来たところで、

エルダーリッチが再度消えた。


少し経つとまた、遠くの場所にエルダーリッチが現れる。


「どうした小僧。エルダーリッチを捉えきれんかね。」

「おい、おっさん。そろそろダンジョンの力を使って王都を落とそうぜ。」

「まぁ、待て、ちょうど良い余興じゃ。この小僧をやってからでも問題ないじゃろう。」


外のローブたちの会話を聞くにまだ少しは時間があるようだな。


どうにかして、エルダーリッチを捕まえなければ。

再度俺は走る。

だが何度も同じことを繰り返してしまう。


エルダーリッチは距離が縮むとすぐに消えてしまうのだ。


「うおー。」

走る俺、再度距離を詰めるもエルダーリッチが消える。


「ん?」

その時気づいた。

エルダーリッチが消えるときはまず、右手で飛ばしている黒い弾とは別に左手で黒い玉を拡張させ自分を包んでいる。


つまり、この亜空間にとらえるときと同じ方法だ。

そして、エルダーリッチは本来実態を持たないゴースト系。


「なるほどなぁ。」


答えがわかれば簡単だ。

エルダーリッチはこの空間と同化し、実体を消している。

だが、実態がないということは俺からの攻撃をくらわないが、俺に攻撃もできない。

だから距離を取って実体化する必要があるようだ。


「となると…。」


俺は止まり、全神経を集中させる。

常闇(とこやみ)

スキル常闇でこの亜空間を俺の闇で浸食する。


暗かった世界が一転し、本当の漆黒に染まっていく。


見つけた。移動している。


「いいことを教えてやる。これが本当の闇だ。お前たちが操っているエルダーリッチの闇なんてのはただの暗がりだ。」

そういうと俺は再度エルダーリッチとの距離を詰める。


エルダーリッチが再度右手で黒い弾を飛ばしながら、身を隠すようの黒い玉を用意しようとしている。


エルダーリッチの左手の玉が再度エルダーリッチを包み込む。


だがエルダーリッチが消えることはなかった。


「終わりだよ。」

そういうと俺は鎌でエルダーリッチがいる場所を切り裂く。


「ギャアアアアアア」

エルダーリッチは悲鳴を上げるが、関係ない。

そのまま切り刻んでいく。


塵鎌斬(じんれんざん)

大鎌を振り回し、頭から順番に切り落としていく。

素材なんて残さない。完全なバラバラだ。

名前の通り塵も残さない。




「おいおいおいおい。やるじゃねぇーか」

背の高いほうのローブの声が聞こえる。


「さて、面白い余興も見せてもらったし。計画の最終段階に入ろうかのう。」

爺さんもその会話を続ける。


「おい。計画の最終段階とはなんだ。」

俺が闇に問いかける。


「最終段階ねぇ。まぁいいか教えてやるよ。どうせお前はそこから出られないんだからなぁ。」


この空間は既に俺の闇が上書いていて、俺の空間と化しているが、気づいていないようだ。


「ダンジョンには当たり前だが魔物達がいる。下層にいけばいくほど強い奴がいるのは、ダンジョンは人を集めるためにあるからだ。」


爺さんが続ける。

「さて、小僧。ダンジョンマスターであるわしが教えよう。ダンジョンはなぜ人を集める必要があるのか。どう思う?」


「わからないな。」


「素直なガキじゃな小僧。まぁ正解は、ダンジョンで殺した人間が多いほど、ダンジョンはさらなる強さを得ることができる。ダンジョンというのは、要はバランスをとるための道具なんじゃよ。人を殺し、人を減らす。増え続ける人を減らすためにのう。」


「それが今回の王都への攻撃となんの関係がある?」


「せっかちなガキじゃのう。理由は簡単じゃよ。ダンジョンが育つととある能力が発現する。『魔物暴走(スタンピード)』じゃ。こいつはのう、最下層のモンスターを一気に上階に押しやる。すると上階に生きていた魔物達が逃げ場を求めてさらに上に逃げるんじゃ。ダンジョンの外という世界にのう。そいつらが列を無し、一気に解き放たれる。まず近い村は一瞬で消え去るじゃろう。そのまま進んだ先にあるのが王都じゃ。」


つまり、魔物達が逃げ場を求めて一気に移動を開始するということだ。

30層手前くらいのモンスターたちでも王都のレベルではかなりきつい。

それが60層越えのモンスターたちまで解き放たれると王都は10秒と持たないだろう。


止めなければまずい。


「なるほど。話してくれてありがとよ。」


俺は闇の空間に対し鎌を振り、空間をこじ開けた。


俺の能力は絶対切断だ。そこに物質があろうとなかろうと鎌刃で切ればそれは切れる。


空間を切り裂いた俺は、70層のローブたちの前に戻ってくる。


「んな。なんじゃと。」

爺さんが驚く。


「さてと。話してくれてありがとよ。んじゃ早速で悪いが、俺は『魔物暴走(スタンピード)』とやらを止めなきゃならない。一気に決めさせてもらうぞ。」





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