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5話 別れ


69層。とうとうここまで来た。

床を切り裂いて一直線。


69層で一旦止まる。

上を見上げると穴がふさがっていくのが見えた。


どうやらダンジョンは地形が壊れると自動で修復されるようだ。


このまま70層に降りても問題ないのかがわからない。

下におりたときに何も空間がなく、落ちて死ぬ可能性すらある。

となると、70層に降りるために必要な行動は正規の道で降りることだろう。


周りは壁、壁、壁、壁。降り口なんてわからない。


俺は次は横に掘り進め始めた。

片っ端から壁や魔物をきざんでいく。

魔物はできるだけ原型が残るように首を一発で切り落とす。


ゲームでいうと敵のレベルは、135くらいだろう。

俺のレベルはカンストの100だから強くはならないが、

間違いなく圧倒的な不利。


これでも圧倒的な強さで戦えるのは、

死神の力、絶対切断によるものだろう。



片っ端から掘り進んでいく。

一番端までいったようで洞窟の土っぽいのが見えた。


そこからは壁沿いを掘っていく。


途中で一回り小さい黒竜に始まり、色々な竜がいたが無視だ。

全部かたっぱしから切り落とす。


素材が潤いアイテムボックスがいっぱいになってくる。


だがまだ降り口はみつからない。


おかしい。


--1時間後


間違いなくおかしい。

降り口がないのだ。

下手をすればここが最下層なのではないかと錯覚するほど。


登る階段はあったので、1階上に上がり転移陣で入口に戻って再度69層と念じる。


同じ景色が待っていた。

間違いなくここは69層だろう。


降り口が見つからないまま、

悩みつづける。


さすがに壁を掘るのもつかれる。

俺は壁に鎌を立てかけ、一息つく。


どうするか、床を掘ってしまう手もあるが、こればっかりは生きて戻れる保証ができない。

ほかのダンジョンの階層を正規のルートで通っていないからか?


仕方なく歩き出す。

壁を掘るのではなく、


なんとなくの直観だ。


30分ほど歩いただろうか。

開けた場所にでてきた。


そこには人がいた。

サティだ。


「あら、アシナかい。生きていたのかい。」


「お前は。どうしてここに?」

少なくともサティの強さではここまで来ることはできまい。


「そんなの決まっているだろう。過去に一度ここまできたことがあるからさ。転移陣があるだろう?」


「どうやってここにきたんだ?」


「ダンジョンにはねぇ。ダンジョンコアってもんがある。ダンジョンマスターがいない状態でそれに触るとそいつはダンジョンマスターになっちまう。ダンジョンマスターにはいろいろな特権が用意されている。ダンジョン内で味方がモンスターに攻撃されないように調整したりねぇ。」


「お前がダンジョンマスターなのか?」


「いんや、違うね。まぁ誰がダンジョンマスターなのかはどうでもいい。どうせあんたの知らない人間だ。それにしても私のほうが知りたいよ。あんたはどうやってここに来たんだい?そういえばラーナがいないねぇ?死んだかい?」


「あぁ。ラーナは死んだよ。お前の矢でな。苦しそうに血を吐いてな。ポーションを上げようにも血がとまらなくて飲めるような状態じゃなかった。」


「それはよかったよ。私の大好きで大嫌いなラーナ。私が最後を看取ることはできなかったが私が最後の手を下せたと思うと最高に幸せだよ。」


「この野郎。」

手に力が入る。


だが、頭の中にさっきの会話が読みがえる。

ここで怒りで鎌をふるってもいいことがないのは明白だ。


「野郎だって?私は女だよ。いうなら女郎(めろう)だね。言葉を勉強しなおしな。」


サティが弓を射ってくる。


それを避けると、また話しかけてきた。


「んで?あんたはなんでこんなところにいるんだい?」


「ヴェリアストが以前に死神召喚を行ったことがあるのは知っているか?」


「あぁ知っているさ。1000人も犠牲にしたのに全然役に立たなかったやつらだろう?ヴェリアストの中にだって派閥はある。あいつらは他人の力を借りることにした臆病者だと、彼が笑っていたよ。」


彼というのはヴェリアストのやつだろう。


「残念だが、その死神の召喚は成功した。」


俺は黒いローブを装備する。

「俺がその死神だ。迷い人のアシナだ。名前を憶えてもらう必要はない。」



「はっ。何をいってるんだい。さっきも言っただろう。死神は召喚に応なかった。お前は妄想でもしてるんだろう。死神なんてこの世にはいないさ。」


信じる気はなさそうだ。特に信じてもらわなくても困りはしないが。


「あぁ。そうかい。そろそろ幕をひこう。ラーナの仇だ。」


俺が鎌を構えると、

サティが笑う。


「ははっ。確かにあんたと私じゃ力じゃ天と地だろう。でもねぇ。」


そこまでサティが言うと

目の前に鉱石でできたゴーレムが降ってきた。


「さっきもいったがねぇ。ここはダンジョン。そして、ここにはダンジョンマスターがいる。私に指一本触れることはできないよ。」

なるほど。さっきからの余裕ぶった態度はこれが理由か。


「こいつはアダマンタイトゴーレム。このダンジョンで最強の魔物さ。まぁ魔物ってよりはモンスターって感じかねぇ。どちらでも構わないが。」


どんなに硬くても俺には関係ないだろう。


「ほう。そんなに硬いのか。黒竜から作ったこの鎌『煉獄』とどっちが強いのかねぇ。」


「黒竜だって?あいつは天災だ。あんたのようなひょろっちいガキがやれるわけないだろ。やっちまいな。ゴーレム。」


アダマンタイトゴーレムが右ストレートで殴ってくる。

ゴーレム自体がどれくらい硬いのか。また、煉獄がどれくらいの強さなのか知るいい勝負だろう。


鎌の刃で切るのではなく、思い切りたたいてみる。


鎌はかけることはなかった。だが、ゴーレムの力が強すぎて衝撃を吸収しきれない。

慌てて俺は後ろに飛ぶが遅い。少し当たってしまった。

頭から血が出てしまう。少し切ったようだ。


「どうだい?すごいだろう。このゴーレムは。あんたの力なんてそんなもんだよ。今からラーナと同じところに送ってやるから感謝するんだよ。」


ゴーレムのパンチが再度とんでくる。


俺はステップで拳を避けると鎌を振り、ゴーレムの腕を切り落とした。


ドスン。

腕が落ちた。


「は?お前、何やってんだよ。このゴーレムがどれだけ凄いものかわかってんのかぁ。それをあんたみたいなひょろっちぃガキが…!」

サティが怒り、再度ゴーレムに指示をだす。


ゴーレムが左手で殴ってくる。同じように切り落とそうとすると弓が飛んできた。

サティだ。


弓をうまくよけながらゴーレムの左腕も落とす。

そのままゴーレムの元へ走り大きくジャンプ、縦に切り裂く。


「『縦斬撃(じゅうざんげき)』」


縦斬撃は鎌から三日月型の斬撃を飛ばす技だ。鎌の刃の部分が巨大化して、縦に振り下ろす。

斬撃の大きさは鎌のサイズ次第だ。


ゴーレムを真っ二つにする。

すると中央にコアがあったようだ。コアも真っ二つになり、ゴーレムが動かなくなった。



「んな…。何が起きてるんだい。」


うろたえるサティ。

俺はそのまま走ってサティの元へ翔ける。


サティの首に鎌の刃をあてる。


「さて、サティ、チェックメイトだ。終わりだよ。」

「その言葉の意味はわからないが、確かに私は終わりだね。」


サティが笑う。

「このまま殺しても仕方ないだろう。どうだ。罪を償うつもりはないのか。国にヴェリアストのことを話して、国のために動くつもりはないのか。」


「はっ。そうするには私が裏切ったものが多すぎるよ。私はね。ただラーナと一緒に居たかっただけなのさ。」

「なら。何で殺したんだ。」

「あんたには一生わからないだろうさ。本当に人を好きになるってどんなもんかあんたにはわからないだろう?」


俺がうろたえたその同様を狙って。サティが俺の鎌を持った。


「じゃあね。」

まずいと思った瞬間サティが鎌を引っ張り自分の首を切り落とした。


サティの首がポロリと落ち、床を転がった。


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