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10話 長い1日の終わりに2

当初予定していた、物語の序盤という位置づけの2章まで終わりました。

※2章と3章の間に閑話というか、2章でたくさん増えたキャラ達のフォローと設定を公開して、その後3章からはメインの話に進んでいきます。


1階に下り、食品庫を確認する。


「なぁ、カンナ?異世界転生もので姫様に食わすご飯って言えばなんだ?」

「やっぱり、鍋とか?お姫様がみんなと同じ鍋をつつくって変な感じよね。」

「他は?」

「お好み焼きとか?広島の人の前で広島風っていうと怒られるらしいわ。」

「次!」

「ラーメンとか!ニンニクヤサイアブラマシマシ!!」


完全におちょくられてる。

そもそもラーメンとか麺がないし、お好み焼きは粉が手元にない。

そして俺は重ね焼きも混ぜ焼きもどちらも好きだ。


「俺が聞いたのが悪かったよ。」

「日本人ソウルを出すなら、寿司、天ぷらとかもあるわよね。」


「どちらもハードルが高いわ!寿司はシャリが握れないし、天ぷらはそんなに材料がない。しかも日本人なのにソウルってなんだ!日本人魂とかにしなさい!」


完全にノリツッコミで返してしまう。


以前、友達の姉が金持ちと結婚した時に聞いた話なのだが、

パーティに呼ばれて出されるコース料理は見た目はお高そうで味もいいが量が無く、

物足りないものだったと聞いたことがある。

ここはガツンと行こう。


「すき焼きとかどうだろうか?お姫様はお作法とかで腹一杯食えないんじゃないか?」


「流石に乙女心がわかってないわね。」


食い気味に返された。そういうところは真面目に返されるんですね…。


結局和食でも、米、豚汁、おひたし、豚の生姜焼き。

豚肉が多いかもしれないがまぁいいだろう。


ちなみに豚汁。読み方はぶた汁だよ。僕の中ではね。

北海道はトンよりブタが読み方として多いらしいよ。


ちなみにカンナはとん汁派だった。


応接室にまたしている3人だけではなく、

皆の分もつくる。


出来上がった料理を先日出来たばかりの新しい部屋に持っていき、並べる。

その間に、3人を呼んできてもらった。


そして当たり前のように、アリー達にも席に着くように促す。


「ご主人様、私たちのようなものが姫様と同じ場で食事などできません。」

「セシア、リシア、レティナ。奴隷が席に着くのはそんなにだめなことなのか?」


俺が聞くと回答が返ってきた。


「城には奴隷はいないわ。だから奴隷が一緒に食べちゃダメとかそういうのはないわ。ただし、城で食事を一緒にとるのは、家族だけよ。城のものは別の場所で食べているわ。」


リシアが答え、セシアが頷いている。


「私は、逆にその『別の場所』で城のものたちと食べるがあんまり気にしない。話したいものは話すし、1人で食べたければ1人で食べる。それだけだ。」


「なら、質問を変えよう。皆一緒に食べても問題ないか?」


「私は、問題ないわ。」

リシアがすぐに返事をする。


セシアも頷いており問題ないようだ。


「私はどちらでも構わない。」

レティナもどっちでもいいというスタンスだが、食べることに問題はないようだ。


皆を無理やり席につかせる。


「この家では、皆一緒に食事をとる。主人や奴隷の前に家族だ。この世界で行く場所のない俺の帰りを待ってくれている大事な場所だ。」


俺の言葉を聞いて皆驚いている。


「だから、俺はみんなで食事をとりたいんだ。」


「まぁ奴隷がいて品が落ちるとかいうのは、中途半端な貴族くらいよ。それに私はここに通うことになるかもしれないんだし、皆慣れ親しんでくれたほうがいいわ。」


リシアが言う。

通う?何をいってるんですか?リシアさん?



「!!? リシア姉様は何をいっているのかしら?まぁ確かに、私もアシナと恋人になった時に皆に知っておいてもらうのは大事だと思うし、構わないわ。」


リシアとセシアが火花を散らしている。


そんな二人をよそに俺はみんなに声をかける。

「これからも皆よろしくな。んじゃ食べよう。いただきます。」


カンナだけ復唱する。

「いただきます。」


皆もそれにならいそれぞれ「いただきます」と口にして食事を食べ始める。


リシア、セシアも食べ始めた。


「おいしいわね。これはなんていう料理?」

リシアが聞いてくる。


「料理単体にも名前はあるが、大きく分類で分けると和食という。俺の世界の俺の国の料理だ。」

「へ~。今度教えてもらえるかしら?」


リシアは料理を知りたいらしい。


「はいっ!姫様私が教えられます!」

カンナが手を上げる。


カンナのいるBグループのメイド長ロメリアは、死にそうな顔でこっちを見た。


リシアは怒ることなく話を続ける。


「あら、あなた、この和食っていうのが作れるの?」

リシアがカンナに聞く。


「はい。和食を作るのは得意ですよ!」

伊達に日本で25年も生きてはいなかったのだ。


「ならお願いしようかしらね。」なんて、リシアが言う。

「これでここに来る理由ができたわね。泊まり込みでもいいし、なんなら寝室はアシナと一緒でいいわよ。」


リシアが言うとアシナは目をそらす。


「リシア姉様は今日も明日も明後日も私と一緒に帰ります!」

セシアが怒る。


「まて、明日も来るのか?」


「いえ、一応姫様達は、立場上仕事があるので、そういうわけにはいかないです。」

レティナが教えてくれる。


まぁ、来たいときに来てくれればそれでいいさ。

俺がいるかはわからないけどな。


その後2時間ほど談笑した。

皆食べ終わりお開きになりそうなころ、

家のドアがノックされる。

「俺が見てくるよ。」


皆に声をかけ、入口まで歩く。


「どちら様でしょう。」


少なくとも、こんな遅くなってきた時間に訪ねてくるような知り合いはいない。

返事がないので、後ろ手に鎌を取り出し。


顔をちらっと出す。


そこには青あざだらけのシルファがいた。


「え?シルファ様?」



★★★★★★


「いやぁ、参ったよ。」

俺が作った料理を食べながら、シルファが言う。


曰く、メリナ王妃から隠れて窓から飛び降りたとのこと。

それがバレてメリナ王妃からの愛のムチ(物理)を全身で受けたとのこと。


姫たちにメリナ王妃からの言伝を伝えるためにやっと許可が下り、

今きたとのことだった。


「ということでだな。リシア、セリア。メリナから言伝がある。「今日に限らず、好きにしなさい。ただし、外泊は必ず先に連絡すること。」だそうです。お父さんは許しません!!」


シルファが泣いた振りをしながらいう。


「んじゃあ、父様、今日は泊まりますので、ちゃんと母様にそう伝えてください。」

セシアが言う。


「え?もう俺帰るの?」

シルファが言うが、もう遅い。

娘たちの視線を受け。すぐに帰っていった。

豚汁は持って帰っていった。メリナ王妃とカシアにも食べさせるとのこと。




談笑が終わり、皆寝室に向かう。

明日も早い。


リシア、セシアは3階のお客様用の部屋に通した。

間違っても俺の部屋ではない。

2人は不服そうだったが。



自分の部屋に入り、

寝る準備をする。


すると机の上に一枚の紙があることに気づいた。


メイド服と執事服で不足していたお金の請求書だった。

特急料金も入っていてやばいことになっている。


そしてアリーからの言伝。

「ご主人様からの指示通り、お金が必要でしたので利用させていただきました。支払いは明日まで待っていただいております。」



「はぁ~」

まぁ所持金を見ればぎりぎり足りる。

だが文無しになってきているのは間違いない。


俺は何も考えずに布団に入り目を閉じた。


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