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8話 謝罪


泣き止んだリシアがこちらを見上げている。


「本当にすまなかった。」


リシアに言う。


泣いて疲れきったのだろう。

「もういいわ。」と力なく答えるリシア。


手を差し伸べるとリシアが俺の手をつかみ立ち上がった。


ボロボロな身体にムチを打ちリシアを支える。


シルファとカシアが近寄ってくる。

セシアとオーザーもこっちに向かってきているようだ。


リシアがシルファ達のほうに歩きだした。


体中ボロボロな俺は血を失いすぎたのだろう。

その後ろ姿を見送りながら、俺は気絶してしまった。




=========


目が覚めると城のベッドの中だった。

時間は夕方17時を回ったところか。

以前泊めてくれたベッドと同じ部屋のようだ。


周りを見渡すとセシアが俺の寝ているベッドに突っ伏して寝ていた。

セシアの寝顔を堪能しながら、先ほどの闘いを思い返す。


この世界には、ソネストアには存在しなかった職業がいくつも出てきている。

今までの常識を捨てるべきところは捨てなければならないだろう。


そういえば、体中傷だらけだったのに怪我が全部治っている。


--10分後


セシアが目を覚ました。

「おはよう。セシア。目が覚めたか?」


「おふぁようござーます。」

セシアが目を擦りながら返答してくる。


まだ寝ぼけているようだな。

様子をみることにする。


「…え?」

急にセシアが止まった。


目をぱちくりとしてこちらを見る。

一気に顔が赤くなり目をそらした。


「おはよう。セシア。」

もう一度挨拶をする。


セシアが声にならないような声を出す。

「見ましたか…?」


寝顔のことだろうか。しっかりと堪能させてもらった。


「何も見てないぞ。」


いい声で返事を返してみた。

親指を上げてサムズアップもつけておく。


「もう…。いいです…。」

セシアは色々とあきらめたようだ。


「さて、何があったかを教えてくれるか?」

俺の質問にセシアが答える。


「あの後ですが…。アシナは、気絶しました。出血がひどかったのでそのせいだと思います。怪我はその場で、カリア姉様でを治しました。その後は、衛兵にお願いしこの部屋に運び込み今までお休みになられていました。」


怪我が治っていた理由はカリアのおかげらしい。今度お礼をしなければ。

セシアが続ける。


「そして、起きたときに誰もいないのは不安でしょうか、私が残っていた次第です。リシア姉様もつかれたと自室に戻っています。カリア姉様はたぶんですが図書館でしょう。」


「そうなのか…。残ってくれてありがとう…。」


「オーザー様は闘いを見届けられた後、家に帰られました。」


「そういえば、気になったんだが、オーザーのことをなんで様付しているんだ?」


「ご存じないのですか?オーザー様は、もともと国で1番の鍛冶師。本人もSランク冒険者で今現在この国のSランク以上の冒険者はもれなく全員オーザー様が作られた武具を利用しています。また、先日父様とアシナが戦った時に父様が利用していた国宝と呼ばれている武器は、オーザー様のお師匠様が作られた武器と聞いています。」


「そんなやつが何で奴隷になんてなっちまったんだよ。」


「お孫様が少し問題を起こしたと聞いたことがあります。」


なるほど。そういう経緯で奴隷になったのか。

だが、そういう意味ではオーザーは当たりだ。国一番の鍛冶師に武具を作ってもらえるなんてこれ以上にうれしいことはないだろう。


談笑していると、

シルファが入ってきた。


「アシナ、起きたか。セシア、仲良くしているところ悪いな。少しアシナと話がある。」

シルファがセシアに話しかける。


「かしこまりました。父様」

セシアが部屋を出ていく。


「さて、アシナ。話がいくつかある。楽しい話とつらい話どちらから聞きたい?」

「楽しい話で頼む。」

「わかった。」


シルファが嬉しそうな声で話し始める。


「今日の闘いとてもよかったぞ。あの煉獄とかいったか?あの武器も非常に素晴らしい。それでだな。今回の件だが、もうだいぶ痛い思いをしてくれたようだから、俺は許すことにした。あとはリシアが許してくれるかどうかだ。リシアに謝っておけよ。」


シルファの楽しい話は俺にとって楽しい話ではなかった。

一応了承する。


「次にだが、楽しくない話だ。」

シルファの声がまじめな声になる。


「お前を呼び出した。『ヴェリアスト』達に動きがあった。ここから北西にあるダンジョンの最下層に潜り、ダンジョンを利用して魔物たちをこの街に送り込む予定らしい。」


ヴェリアスト。1000人もの人々を犠牲にし、俺を死神として呼び出したやつらだ。

この世界で生きていくものとしてそいつらの動向は見逃せない。


「話を聞く分には深刻だな。だが魔物達を操りこの街を襲うなんてそんなことができるのか?」


俺の質問にシルファが頭を悩ませる。


「そこなんだが、まだわからん。ただそういう情報が入ったということは何かしらの理由があるはずだ。」


国の諜報機関も伊達ではないということか。


「俺はどうしたらいい?」

「以前、ダンジョンに行き冒険者のランク上げる予定と言っていたからな。できれば北西のダンジョンに行って奴らを止めてほしい。」


王様から直属の依頼が入ってしまった。

断ることもできるだろうが、今この国で一番強いのは俺だろう。

ほかの冒険者では、最下層まで潜る前に死んでしまう可能性のほうが高い。


受けるしかないだろう。


「わかった。その依頼引き受けよう。」


「ありがたい。礼を言うよ。それで、報酬についての相談なのだが…。」

「報酬はまだいい。止めきれるかわからないからな。止めきれなかった場合は、街を守るために最前線に立つつもりだが、どうなるかはわからないからな。」


「重ね重ね申し訳ない。よろしく頼む。」

シルファから依頼を受けた。


「あと、この件だが、できればセシアに言わないでほしい。」

シルファがさらに追加で要望を出してくる。

話を聞くと俺を危険にさらすようなことを言うとセシアが怒るとのことだった。


俺はそれも引き受けた。





シルファは話したい事を話すと去っていった。

あんなでも国王。忙しいのだろう。


セシアが戻ってきたので、一緒にリシアの元に向かってもらう。


ドアをノックし、リシアの返事を待つ。


「誰?」

「俺だ。アシナだ。」

「…!少し待って。」


リシアがどたばたと室内を走っている。


「準備ができたわ。どうぞ。」


ドアを開け中に入ると美しいドレス姿のリシアがいた。


「どうしたんだリシア。その恰好。」

「いえ、何でもないわ。普段からこんな格好よ。」


リシアが俺に微笑みかける。

しかし、その横にセシアがいるのに気づきはっとした顔をした。


「リシア姉様。これはどういうことなのですか?」


セシアが急にリシアに声をかける。

リシアが必至に弁明している。


「どうもこうもないわ。私は普段通りに接しているだけよ。」

「嘘をつかないでください。普段からドレスは面倒くさいと嘆いたではありませんか。」


キーっと言い合いが始まってしまう。

このままだとつかみ合いの喧嘩になってしまいそうなので、俺が仲裁する。


「まぁまぁ二人とも落ち着いて。リシア、今日は本当に悪かった。申し訳ない。」

「もういいわ。気にしないで。私も鍵をかけておくべきだったわ。」


俺が振り替えり、ドアを見ると確かに鍵がついていた。


「今日、本当は4区に家を買ったからその報告に来たんだ。セシア、リシア良ければ俺の家に来ないか?今日のお詫びに夕食を俺が作ろうと思う。」


俺がそう言うと2人とも行くと二つ返事で返してきた。


この後すぐに一緒に向かうとのことで二人とも準備をするとのこと。

セシアは自室に戻っていった。


部屋には俺とリシアの二人だけ。

そういえばと気になったことがあるので、リシアに聞いてみる。


「そういえば槍をたくさん投げてきたとき。これを交わしたのは2人目って言ってたよな。1人目は誰だったんだ?」


そういう聞くとリシアはばつが悪そうな顔で返事をしてきた。


「父様よ。今日あなたがやったようなことを父様がやったことがあってね。消し炭にしてやろうと思ったのに運よく生き残られてしまったわ。」


シルファ。あんなに俺に怒っていたのに同じようなことをやったことがあったのか。


「そうか…申し訳ない…。今日は本当にすまなかったな。外で待っているから、準備ができたら教えてくれ。」


俺はそういうと、部屋の出口に向かう。


「アシナ?」

リシアが俺を呼ぶ。

俺が振り返るとリシアが俺のほほを両手でつかんできた。


そのまま唇が重ねられる。

思考が停止する。


3秒ほどでリシアが離れた。


「今日のことは許してあげないわ。これからの行動をよく考えなさい。」


リシアがそういうと俺の背中を押してドアの外に押し出す。

ドアをバタンと閉められ施錠の音が聞こえる。


俺はぼーっとリシアを待つことになった。



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