6話 過ち
そういえば、当たり前ですが、
本作品では、奴隷の少年2人をメイドとして教育しているわけではありません。
(そこまで特殊な性癖はありません。。。)
メイド系の人たちが中心で家事を教えているので、
メイドと表記上ひとくくりにしています。
コンッコンッ
「ご主人様!起きてください!」
外からはランセの声が聞こえる。
ランセはレティナと同じフェンサーの女の子。レティナに今度会わせてあげるべきかな。
カーテンから差し込まれる暖かい日差し。
昨日買ったばかりのベッドから体を起こす。
ベッドから降りて1回大きく伸びをする。
今日の予定は、城に行って家を買ったことをセシアに報告。
そのあとは、冒険者として登録してくる予定だ。
1階に降り、皆とあいさつをする。
作ってくれていたご飯を食べる。
落ち着いてご飯を食べたいのに皆の顔がこわばっている。
「皆。大丈夫?」
アシナの質問に皆首を高速で横に振っている。
「大丈夫?ではありませんアシナ様が王族の方と面識があるだけでも驚きなのに、さらにその王族の方が本日いらっしゃるかもしれないと。皆緊張するに決まっています。」
Bグループメイド長のロメリアが代表して返答する。
アリーなんかは「まだメイドや執事としての教育がー」とつぶやいている。
俺としては、そこまで重たく考えてほしくはなかったのだが。
アポがあるわけではないので、こちらに来ないかもしれないし。
朝食を食べ、皆に行ってくると一言つげる。
もしも必要なものがあったら買ってきてほしいと少しだけアリーナお金を渡す。足りない分はあとから払うようにつけといてくれるように頼んでみた。
家を出る。
4区から中央にある城に向かう。
大通りを通ってゆっくりあるいていく。
そういえばお土産なんかは買っていく必要があるのだろうか。
王族にお土産?
下手なものをもってくわけにもいかないので、
いらないだろう。
そんなことを考えながら、城に到着。
門番がいたが、俺とシルファの闘いを見ていたようで、
一言二言会話をすると通してくれた。
どうやら、シルファ達から事前に俺がきたらいつでも通すようにと通達が行っているらしい。
役得。黒竜を倒したのは伊達ではない。
また、長い階段が現れる。
余裕があるようにふるまいながら、登っていく。
本当にエスカレーターを付けてほしいよ。
登り切り城に入る。
えーと。どこに向かえばいいんだっけか。
確かこの先を右に…。
--10分後
迷った。
やっぱりさっきの右に曲がったところは真っすぐだったのかもしれない。
周りには人は見当たらないため、
誰かに聞きたいが聞くことができない。
とりあえず、近くにあったドアをノックしてみる。
返事はないのでドアを開けてみるが、外れだ。誰もいない。
俺はどこに迷い込んだんだろう。
ドアを何個か開けてみたが人がいない。
心が俺かけながら次のドアを開ける。
そこは図書館だった。
3階くらいの高さまでびっちり本が並んでいる。
周りを見渡してみると、机があり、そこには1人ポツンを本を読んでいる女性がいた。
こちらに背中を向けている。
髪の色は見たことがある銀髪。
声をかけようと近寄る。
すると本を読んでいた女性がこちらを向いた。
「あなたは誰?」
この人はセシアではない。
セシアより髪が短く、ショートヘアだ。
色白でか弱そうな印象を受ける。
また話し方の雰囲気が違う。
「セシアに用があってきたんだ。」
「セシア?ここはセシアの部屋じゃないよ?」
そんなことは見ればわかる。
「それはわかっているよ。迷ってしまったんだ。ここはどこだ?」
「図書館。」
図書館なのは…見ればわかる…。
「聞き方が悪かった、セシアのところにいくにはどうしたらいいんだ?」
「あっち。」
斜め上のほうを指さしている。
指をさされた方向に壁や天井をぶち破って直線上で進めということか?
無理だろ。
「誰か近くに人はいるか?」
「そこを出たら、右側に3部屋行った先。右側のドア。」
図書館の俺が入ってきたドアとは別のドアを指さして教えてくれる。
「ありがとう。名乗るのが遅れてごめんな。俺の名前はアシナだ。」
「私は、カシア。」
名前のイメージ的にセシアの2番目の姉か。
「ありがとうな。カシア。」
俺は笑顔で返して、指さされたドアを出た。
ドアを出て右側に3部屋分移動する。
このドアだろうか。ちょっと可愛いドアの装飾。
だが嘘をついていることもないだろう。
ドアを2回ノックし、ドアを開ける。
ガチャ。
そこには金髪のポニーテールを揺らした女性がこちらを見ていた。
リシアだ。
カーテンの隙間から入る日光。
綺麗な引き締まった身体を照らしている。
胸はあまり大きくないがないわけではない。
前回はそれほど大きく感じなかったからサラシでも巻いていたのだろうか。
そして、ちょっと可愛い柄ものの下着…。
そう、リシアは着替え中だった。
よりにもよってリシアの私室に入ってしまったようだ。
逃げなければ。そう思いすぐにドアを閉めようとする。
「失礼しました。」
「キャーーーーーーーーーーー」
ドアを閉めようとするのと悲鳴が聞こえるのは同時だった。
--20分後
場所は、シルファの私室。
そこには正座している俺と俺の首元に剣を突き付けているシルファ。
それを見ているカシア、セシア。二人の後ろで泣いてるリシア。
「んで?うちの大事な娘を傷物にしてくれた落とし前。わかってんだろうなぁ。」
「あの別に傷物にh・・・」
「あぁん?」
「ナンデモアリマセン」
そんなやり取りを続けていた。
あのあとは、大変だった。
叫ぶリシア。リシアの部屋のドア前で硬直している俺。
武器を持って俺を取り囲む衛兵達。
俺は、両手を上に広げ争う意思はないことを全面アピール。
ちょうど通りかかったセシアがリシアから話を聞いて。俺を連れていく。
姫巫女のスキルの中にある、動きを封じるやつだ。
レティナに使っていたやつだな。
シルファの部屋に連れていかれた俺は正座の状態のまま動けないように拘束されている。
「本当にすみませんでした。」
「許されるわけないよな?」
「はい。」
「んで。どう落とし前つけるんだ?」
「申し訳ありません。何も浮かんでいません。」
「そうか。。。じゃあ死ぬか?」
シルファがガチでキレている。
以前のなんちゃって試練のときは違う本気だ。
まじで殺される。と俺の脳内で警鐘が鳴ってる。
ここで責任を取るとかいったら、そっちはそっちでシルファに切られそうだ。
大事な娘を1人だけじゃなくて2人目まで。と。
泣きそうだ。
「私が場所を教えたのが原因。」
カシアが助け船を出してくれた。
「だが、こいつがリシアの状況を確認しなかったのが問題だろう。」
シルファが剣を強く握りながら返答する。
ちょっと首に剣が刺さった。痛い。
「でも、リシアの部屋とは教えていなかった。困っていたんだから、私がちゃんとセシアの部屋に連れていくべきだった。」
カシアがそれでもかばってくれる。
「だが…。」
「アシナをどうするか決めるのは、リシア。」
「うぅむ…。」
カシアの発言にシルファが頭を悩ませている。
カシア、セシアの後ろのリシアが泣き止みながら声を出してくれる。
「殺す。私が直々に。」
あ、これ俺救われませんわ。
「だけど。チャンスをあげる。私があんたを殺したらセシアが悲しむからね。ついてきなさい。」
この流れは知ってる。以前と同じ場所に向かっている気がする。
シルファが拘束されたままの俺の首根っこを引っ張って引きずる。
そうして、俺はまたシルファの部屋をでることになった。