表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/62

10話 男の闘い


連れていかれること5分ほど。

途中からあきらめてついて行っていたので、

引きずられることなく、首から手を放してもらうことができていた。


「さぁ、ここが我が城自慢の闘技場だ。」


王様について行き、暗い道から明るい開けた場所にでると、

そこには客席に囲まれた真四角のステージがあった。


「あの、なんで客席が満員なんですか?」


そう、なぜか急に連れていかれたのに、客席が満員なのだ。


「あぁ、これは私が事前に告知した。これから試練を与えるから兵士たちは見届けに集まれと。」

「試練?」


シルファは無視してステージに上がり、こちらを振り向く。


「よく来たな。」


「いや、連れてこられたのd・・・」

「うるさい。」



理不尽に怒られた。


「さて、ここからは国王も死神も国も地位も何も関係ない。そしてはシルファと呼んでよい。対等な男同士だ。」


シルファは何を考えているんだろうか。

呆けた顔でシルファの顔を見てしまった。


「さぁ、皆の者よく来てくれた。ここにいるのはあの『天災』黒竜を屠った男だ。名をアシナという。」


客席が一気に盛り上がる。

周りを見渡すと、メリナ、リシア、セシア、レティナが客席に座っている。

あれ、あの小さいのはライか?

中世的な顔の少年も近くにいる。


シルファが続ける。

「そして、このアシナを、私の娘のセシアが惚れたようだ。」


一瞬で歓声がヤジに変わる。

あ、そういうパターンね。娘が欲しければ~みたいなやつのようだ。


「娘を軟弱な男にはやらん。黒竜は倒せたかもしれんが、大事な家族を守る一家の、そしてこの国の柱を折ることはできるか。」


客席がまた大歓声に包みこまれた。


「さて、まずはアシナよ。闘技場に上がり、黒竜を討伐した証を見せてほしい。」


ここまで盛り上がられたら、

男たるもの引けないだろう。

これこそ成し遂げたものの特別だろう。

そして、あとでセシアに詳しく聞かないとならない。


あの時意識があったのかどうか。何よりどうして、俺と一線を越えたのか。



ぴょんとジャンプし、闘技場のシルファの横に立ち闘技場の中央に向けて手を伸ばす。

アイテムボックスから黒竜の死体を出す。


「これが黒竜か。近くでみたのは初めてだ。」


うれしそうなシルファが黒竜をまじまじと見ている。


「ありがとう。ではしまってくれて問題ない。また、この黒竜の素材だが買い取らせてほしい。兵士たちの防具や武器を特別なものにしたいのだ。」


「私が使う分はいただきますが、それ以外は大丈夫ですよ。」

黒竜をアイテムボックスにしまう。


「ありがとう。」

シルファが再度礼を言ってくる。


「では、これから本番だ。」


そういえば、この世界はPvPモードなどあるのだろうか。


「さぁ武器を構えよ。」


PvPモードとかそんなのなかった。

本気でやるみたいだ。

しかし、鎌は当たり所が悪く切ってしまうと殺してしまう可能性がある。


仕方なく、セシアを助けるときに最初に持っていた剣を取り出す。


「ほう。良い剣だ。」


シルファが俺の剣の良さに気づいたようだ。ユニーク装備だからな。

シルファは部下たちが運んできた、武器や防具を装備している。


俺も防具を装備する。ローブは悪目立ちするので普通の甲冑を装備する。

シルファと向かい合い距離を取る。


その時気づいた。

シルファの剣が金色に光っていることに。


「シルファ様。その剣はなんですか?」


念のため聞いておく。


「これは国宝の剣だ。」


これはスキルなしで戦ったら死ぬやつで間違いないだろう。


「まって!ストップ!」

ストップの意味が伝わったかはわからないが、

慌てて装備を変更する。


黒いローブ、そして『収穫用の大釜』を大きくする。


「お前、もしかして手を抜こうとしていたのか。」

シルファの目つきがきつくなった。


「下手な当たり方をしたら殺してしまうかもしれないので…。」

装備を素振りしつつ俺が答える。


「良い。ここで私が死んでもメリナがこの国を支える柱になってくれる。本気で来い。」


そこまで言われたからには、手は抜かない。

男同士の本気だ。


「1つだけ。その国宝の剣が壊れることは覚悟してください。」


「ほざけ、簡単に折れるようなものではないわ。いくぞ。」


こちらの準備ができているのを確認したシルファが走ってくる。ものすごい速さだ。

まずは一閃、横に薙ぎ払われたシルファの剣を後ろにひらりと飛んでかわす。

速いが戦えないレベルではない。


シルファが間髪入れずに距離を詰めてくる。

そして、片手で剣を持ってすごい速さで切り付けてる。

横 横 縦 縦 横 縦。


俺は両手を広げて鎌を持ち、柄で受けていく。

この受け方は失敗だった。

素早い剣になすすべがない、鎌を触れるように握りなおせないのだ。


シルファが剣を両手で握り、真上から真下に一直線に振り下ろした。

それもなんとか鎌の柄で受けきる。


「教えてやろう。私のジョブは聖騎士だ。いつまでも受けきれると思うなよ。」

「聖騎士だって?」


俺が当たった『死神』と同列に存在していたジョブじゃないか。

一気に警戒度を上げる。


「オラァ」

腹から声をだし、力任せに柄を無理やり押し上げ剣をはじく。

シルファが距離を取り、剣を肩に乗せながら話しかけてくる。


「さぁどうした。かかってこないのか?」


本当に手を抜く必要はないみたいだ。

鎌を構えなおし、走り出す。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ