プロローグ1 特別を夢見た青年
どうも初めまして。
尋寝木逢人です。
頑張って更新していきます。
暖かい目で見守りください。
読みやすさの意見等募集してます。
VRMMORPG『ソネストア』
このゲームは日本では人気の高いゲームだが、世界で見るとあまり人気のないゲームとして有名だ。
このゲームが世界で人気が出ない理由として、
ゲームバランスが悪いの一言で表せる。
このゲームはプレイヤーが平等ではない。
ある意味平等かもしれない。しかし、平等ではないのだ。
その一例として、
例えば、リアルイベントに参加したらレジェンダリー武器がもらえる。
もちろん、参加していない人は手に入れることができない。
例えば、ゲーム内でGMを見つけて合言葉を言えばアイテムがもらえる。
クローズドテストの際に開発費が不足していた公式が、
限定課金パックを販売し、購入者に特別アイテムを付与したのも有名な話だ。
誰でも参加はできた可能性はあったが、参加できたのは一握りだ。
皆が等しく良い思いをできないことで有名である。
なぜそんなゲームが流行るのか?
日本人は自分が特別になりたいと思っているからに違いないだろう。
自分だけの力。自分だけの武器や防具。
夢見ているんだ、自分だけの特別を。
僕、蘆名悠人はそんな特別を夢見るプレイヤーの1人だ。
大学をほどほどに行きながら、空いてる時間はずっとプレイしている。
『ソネストア』のプレイ歴は3年。
このゲームのサービスが始まってからずっと続けている。
そんな僕だが、普段の行いが悪いのか、
今まで一度もゲーム内イベントの参加を果たせず、リアルイベントには財布事情から不参加だ。
特別になることを夢見て夢見て3年。
それでも変わらない今。
ソロでチマチマと敵を狩り、ボスを狩り、レベルを上げ、毎日レア度の高いドロップ狙いに勤しむ。
「今日もレアドロップは無しかぁ〜。そろそろ晩御飯にするかな。」
時刻は19時、もうそろそろ晩御飯にも良い時間だろう。
パソコンの前から離れ、台所に向かう。
慣れた手つきで、冷蔵庫から取り出したものを切り、料理を始めていく。
悠人の両親が共働きだったこともあり、幼少期は祖母の家で暮らしていた。悠人はおばあちゃんっ子だったこともあり、祖母の家で料理などを含めた家事を一通り教えてもらっている。
「いただきます。」
一通りの調理を終えた悠人は晩ご飯を食べ始めた。
「しかし、なかなか良いドロップは落ちないものだなぁ」
一人きりの部屋で少し愚痴がこぼれてしまった。
3年間続けてきたこのゲーム。
確かにレアアイテムは結構出ている、ユニークアイテムもたまには手に入る。
しかし、その上のエピックアイテム、はたまたその上のレジェンダリーアイテムなどはお目にかかれない。
エピックアイテムはまだ所持している人間がちらほらいるが、レジェンダリーアイテムなどは持っている人自体が限られている。
持っているのは一握りのランカーたちだろう。
「ごちそうさまでした。」
一言添えて、パソコンに向かう。
洗い物は後でいいだろう。
ゲームに再度ログインする。
すると、メッセージアイコンが点滅していることに気が付いた。
『新しいメッセージが1件あります。』
アイコンをタップし、メッセージを見る。
タイトルは...
「8月25日開催のイベント結果について」
特にイベント告知はされていなかったから、裏で開催されていたイベントの一つだろう。
「8月25日に開催されたモンスター討伐イベントのご案内となります。
規定数以上のモンスター種を討伐したプレイヤーに参加権が発生する新ジョブ取得イベントについて、
当選しました。
下記コードを入力し、新ジョブのキャラの作成を実施してください。」
このゲームは一つ一つのキャラクターにジョブが割り当てられる。
その新ジョブが当選したらしい。
このイベントだが、たぶん新ジョブ取得できた人間はほとんどいないだろう。
これだから『ソネストア』はやめれないのだ。
「やったあああああああああ」
もう夜にも関わらず絶叫してしまった。
急いで今ログインしているキャラクターをログアウトし、
ウェブページでコードを入力。
新ジョブの紹介ページに遷移する。
このウェブページはイベント当選者にしか見れないようだ。
新ジョブ「薬師」「死神」「スナイパー」「聖騎士」
それぞれ、回復、近接戦闘、遠距離戦闘、タンクの役割のように見える。
しかし、僕が選択できるのは一つしかなかった。
「死神」
なんという響きだろうか。僕の中の隠れていた中二が刺激される。
どちらにしてもこのジョブしか選択できないのだ。
死神を選択し、キャラクタークリエイトを行う。
性別は男。
見た目は、黒髪、黒目、黒いローブに大きな鎌。死神というジョブに似合うように作り上げていく。
全てのキャラクタークリエイトを完了。
最後に名前を入力する。
「アシナ」
このキャラはメインになる。
うれしいことに、本名が一般的ではないため、
ネット上で晒しても本名だとばれることはほとんどないだろう。
本名の苗字をカタカナで入れて決定する。。
とうとう始まるんだ。僕の"特別"な冒険が!
キャラクターを選択し、ダブルクリック。
ログインを押下した瞬間。
ザザッと変な音が聞こえ、そして白い光が部屋に満ち溢れた。