なやみごと4「平木之助とお悩み相談」
僕の友人が、変なんです。
手紙は、そんな一文から始まった。
僕の友人が、変なんです。友人は同性愛者であることを先日親友である僕に教えてくれたのですが、僕に対して
「お前は恋愛対象じゃないから、気にするな。」
と笑って言うのです。ここだけを見れば何もおかしなことではないですよね。しかし、ここから僕の書くことが事実だという確証をあなたに持たせることができたなら、もしできたならば、これがおかしなことであるとわかっていただけると思います。
といいますのもこの友人(名前を出すのは彼のプライバシーに関わりますのでこれ以降はKと呼ばせていただきます。)、僕のことを恋愛対象でないと言っておきながら、僕の股間を触って喜んでみたり、僕と遊ぶときにデートだ。と言ってふざけてみたりするのです。僕は流石におかしいと思って、
「僕は恋愛対象じゃないんだよね?」
と、デートデートと騒いでいるKに問いただした所、
「もちろんそうだ。今はふざけただけだ。」
急に真面目になってこう、言うわけです。
他にも、僕が不可解に思う理由はたくさんあります。Kにこの前聞いた話なのですが、Kには長年想い人がいるそうなのです。それなのに、その人の名前を一切教えてくれないどころか僕とばかり連絡をとっていて、その人のことを気にかけている様子さえ僕に見せてくれません。この前僕とショッピングにでかけた際、僕が、
「Kは、その…想い人とは順調なのかい?」
と恐る恐る問うてみたら、
「なんだ、お前はそんな事考える暇があったら早く服を選べ。」
と流されてしまいました。ちなみに、そのショッピングとはデートにふさわしい服選びだったのですが、そのショッピングでKは僕と色違いのバッグを買っていました。
僕には、これらの行動と、僕が恋愛対象じゃないという発言とが、あまりにも矛盾して見えてしまうのです。これはあくまで僕の思い違いなのでしょうか。それとも…。
ちなみに、僕はKはのことを恋愛対象としてみています。かくいう僕も、同性愛者なのです。Kには初めていいますが。
こんなふうに締めくくられた手紙を読み終えた私、平木之助は、
「こんなラブレターがあるものか。悩み相談とは嘘ではないか。」
そうつぶやいて、笑って泣いた。