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第七章 闇の精霊、ヴァイオレット現る

 何とか城から脱出した俺達は闇の精霊に会いにいく道中だった。

「なぁ、闇の精霊って何処にいるんだ?」

 俺が聞くと振り返りながら

「この街道沿いに歩いて10キロほど進んだところに《深淵の森》通称迷いの森とも言われてんだけど、私たち精霊か、あなたのように魔力が高くないと見つけるのは厳しいかもね」

「・・・・・・闇の精霊って、幽霊か何か!?」

「違うわよ。あの子はヴァイオレットって言うんだけどいろんな人が精霊を求めて来たりするから気配を遮断するし、魔法で方向感覚を狂わしたり、記憶を書き換えたりするからね」

「記憶を書き換えるってやばい能力じゃないのか?」

「ちょっと言い過ぎたかもね。記憶を書き換えるっていうより、目的を無かったことにして帰らすことぐらいしかできないから一時しのぎしかできないけどね」

「凄いのか凄くないのかよく分からない能力だな」

「油断すると痛い目見るわよ。この能力はいわゆる幻術、催眠術だと思ってくれるといいわね。とにかく油断しないようにね」

「・・・・・・その言い方だとサファイアも痛い目に遭ったことがあるような・・・・・・」

「そ、そんなことはないわ。それに私の方が凄いからね。分かった?」

「分かった、分かった」

「その言い方、納得行かないわね」

「ふん、さっさと行くわよ」

 ほっぺを膨らめせ、サファイアはズカズカと歩いていった。


 ◆


「なぁ、移動手段ってなんかないのか?」

「あるのはあるんだけど私たちは一応お尋ね者になると思うからちょっと厳しいわね」

 俺はサファイアの言葉に聞き捨てならいようないのを聞いた気がした。

「い、今、聞き間違いじゃなかったらお尋ね者って聞いた気がしたんだが・・・・・・」

「その通りよ。城の連中からしたら私たちは王に逆らった反逆者だからね。直ぐに町中におふれがでてると思うわ」

「ハァ~、やっぱそうなるか。・・・・・・やったもんはしょうがないし、さっさと闇の精霊とやらに会いに行くぞ!」

「・・・・・・響也のそう言うところ好きよ」

 そう言って微笑んでいるサファイアの耳は真っ赤だった。


 ・・・・・・歩くこと数十分。

「なぁ、何かあそこに見える馬車、襲われてないか?」

「・・・・・・襲われてるわね。でも心配する必要はないわ。何しろあそこにいるのはってちょっ、ちょっと!?」

 俺はサファイアが何か喚いてたような気がしたが、すぐにたすけにむかった。

 するとそこには紫のローブを羽織った美少女が三人の山賊に囲まれていた。

「金目のものをおいってけ!それともお前の身体にでも・・・・・・」

「おい!そこの山賊ども」

「誰だ。ブゥフ!?」

 俺は今にも襲いかかろうとしてる山賊のひとりをはいごからのうてんにたたきつつけた。

「あ、兄貴!!・・・・・・卑怯だぞ、いきなり背後から不意討ちするなんて」

「一人の女性に対して三人で襲うようなゴロツキに言われる筋合いはない」

「な、何だと!! 言わせておけば」

 ワナワナと怒り拳を握りしめ今にも襲いかかろうとしていた。

「悪いことは言わないからやめておけ。でないとそこで伸びてる奴の二の舞になるぞ」

「不意討ちしたくせに偉そうな・・・・・・いいだろう。その減らず口をたたけなくしてやる」

 俺はサファイアと契約して手に入れた炎の力を試すのにちょうどいい相手を見つけたとほくそ笑んでいた。

「何を笑ってやがる。後で吠え面をかくなよ」

《ファイヤーボール》

「ギャッ!!」

「え、!?」

 俺は手のひらに火の玉を作ると一人の山賊に投げつけていた。

「好きだらけだったからつい」

「お、お前、さっきから卑怯だぞ」

「さっきも言ったはずだぞ。お前らに言われる筋合いはないって・・・・・・あとはお前だけだな」

 ジリット一歩近づくと

「お、覚えてろよ~」

 最後に残った山賊はトンズラをコいて逃げていった」

「フッ~もう大丈夫だぞ」

 俺が振り返ると抱きつかれていた。

「エ~ン、怖かったですわ。どうも危ないところを、このお礼は必ず」

「いや、お礼はいいよ。たまたま見かけただけだし」

 ゴゴゴゴゴ・・・・・・

 俺は急に寒気がしたように背後に振り返った。

「サ、サファイア。これはその・・・・・・」

「響也から離れなさい!!ヴァイオレット」

「ヴァイオレットって闇の精霊の?」

 俺が確認しようとしたら

「相変わらずねサファイア。もうちょっと余韻にしたらせてくれてもいいんじゃなくて。・・・・・・それとも響也をとられると思って嫉妬でもしたのかしら。イヤネ~、嫉妬深いのわ」

「だ、誰が、嫉妬なんか」

 サファイアが顔を真っ赤にしながらモジモジしてるのを見ながらアレッと思ったことを聞いてみた。

「そう言えばどうして俺のことを知ってるんだ」

「フフ~ それはねーーー」

「きっと透視で私たちの行動をみてたからよ」

 いつ間にか立ち直っていたサファイアが話に割り込んでいた。

「へ~、そんなことできるんだ」

「そんな感心してるみたいに言ってると今にも付きまとわれるわよ。その子は興味持った相手にはとことん付きまとうから」

「こんな美人に懐かれるなんて嬉しいじゃないか」

「あら~、嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 そう言って腕に抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと離れなさい!・・・・・・響也聞きなさい。ヴァイオレットはね・・・・・・」

「サファイア~、何を言おうとしてくれてるのかしら」

 ゴゴゴゴゴと聞こえてきそうな顔でサファイアを睨んでいる。一方でサファイアはフンって顔を背けている。

「サファイアがそんな態度だと一緒に行くのやめようかしら」

「ちょ、それとこれとは話が別でしょ」

「・・・・・・て、言いたいところだけど響也のことは気に入ってるからいいわ。ということで嫉妬深い雌豚はほっといてサッサと行きましょう」

「誰が雌豚よ。・・・・・・て、待ちなさいよ」

 後ろから追いかけてくるサファイアをみながら騒がしくて退屈しなそうだなと思った。

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