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幼なじみとデートっぽい感じだけど、僕には違う目的があるので別にときめいたりもしない、ほんとに
「ヒロオ、部活は?」
「自主練するって断ってきた」
「その実は幼なじみとデートか。やるもんだね、ヒロオも」
「自主練はほんとにするから。それに、これはデートじゃない」
2個離れた市からディーゼル電車で高校に通う僕ら。(ディーゼルなのに電車かよ、ってつっこまないでね。地方じゃよくある言いまわしだから)陸上部の練習をパスしてユウリと通学電車に乗り込んだ。隣の市で途中下車するのだ。ちなみに僕の専門は中距離走。1年生の僕は、『先輩、すいません!』と謙虚に鷹揚に断りを入れて今日の自主イベントに臨んだ。
「あ。着いたよ」
ユウリは結構楽しんでるようだ。平日午後の時間帯は車掌はいない。ユウリはセルフの開閉ボタンをおして車両のドアを開け、たっ、とホームに降りた。僕も後に続く。
「自転車、借りるでしょ?」
「しょうがないか」
僕らは閑散とした駅前にある観光案内事務所に向かった。