合流
覆面達をなんとか潜り2階に到達した。千冬は上手く隠れているだろうか?まだあいつらは2階まで来ないみたいだ。急いで探そう。最悪、千冬の[力]を使って貰うしかないかも。本当は避けたいけど数が数だ仕方ない。
色んな店を覗いてみるけど人の気配がしない。もっと奥の方か?不意に階段付近から足音と不機嫌そうな声が幾つか聞こえてきた。
「もう昇って来たのか。」
冷や汗を流しながら通路の奥を目指す。勿論、何があってもいいように防犯グッズは装備中だ。
「剣義。」
高級な装飾品を取り扱っている店に差し掛かった時、レジ下のほうから声が聞こえた。千冬の声だ。
彼女は僅かな隙間からこちらを覗いていた。僕は安堵の溜め息を吐きながらレジに近づく。
「千冬。」
「状況は把握した。もう、警察も呼んだ。」
「ありがと、千冬。あいつら結構な人数だよ。流石に逃げて来ちゃった。」
「賢明。…[使う?]」
[力]の事を行っているのだろう。僕は首を横に振った。まだ、そこまで追い詰められていない。
「必要なら連絡をするよ。携帯は確認しておいて。後、覆面を被った奴を見かけたら出来るだけ見つからないように。」
「わかった。」
彼女は聡い。僕の目をじっと見てやるべきことを把握したみたいだ。
「じゃあ、ちょっと戦闘してくる。」
足音の数は6人。1階で気絶させたのが2人だから残りは12人。援軍がいる可能性も考えて行動しないとね。
ー脳内でスイッチを完全に切り替える。呼吸を整え雑念を切り落とす。
覆面の姿が見えた瞬間、僕は走り出した。