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メビウスの輪の上  作者: 早苗
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第1話 16日目

初投稿、初作品です。

趣味程度に書くので1人でも自分の作品で

暇を潰して頂ければと思います。

ループ物は多いですが、同じ1日をひたすら

繰り返すのって、凄いストレスだと思うんですよね。私は高校生三年間をひたすら繰り返したいと思っています。あの輝いていた頃に戻りたい…

18日目


残暑が残る9月の昼下がり。中庭に最近できた日陰の当たるテラスで、いつもの腐れ縁と昼食を食べながら俺は言った。


「なぁ、突然なんだが…」


『どうした?藪から棒に?』

「今日、9月何日だと思う?」


『だと思うってなんだよ?

今日は9月10日に決まっているだろ。

そして明日は9月11日、俺の誕生日だ。

一緒に過ごそうな。』


「…過ごさねーよ。

悪いがお前の誕生日はしばらく

こないかもしれんぞ…」


『それはどういう意味だ?

俺に永遠の16歳でいろって意味か?

ずっと高校生とか最高だな。おい。』


「言葉通りだ。明日も明後日も、多分

しばらくは9月10日なんだぜ。

まぁ、俺が何を言ってるか分からんと

思うがな。」


『さっぱり分からん。一度頭の中を

検査してもらったらどうだ?俺が

いい医者を紹介してやろうか?』


「あぁ、柳田の爺さんのことか?」

『なんで知ってんだ?!、お前??』



「一昨日の9月10日に紹介してもらったからな」


…………………………………




それが、どうして始まったのかは分からない。二学期が始まって早々を、いつも通りダラダラと過ごしていたら、とてつもなく非現実的な状況に巻き込まれてしまった。そう、単刀直入に言えばこれは


「ループ」というやつだ。


しかも、「高校の三年間」とか、都合が悪くなったら「巻き戻してくれるようなもの」じゃなくて、まるで時計のように9月10日が終わると9月10日が当たり前のように始まってしまう。


そして、自分以外の全て(全てとは言ってない。世界中の人は流石に確認できないから)の人間は同じ行動、言動を繰り返すのだ。


生身の人間が、自分が干渉しなかった場合、ゲームのNPCみたいに決まった動きをするのだ。


正直、慣れ始めて2日程は楽しんだが、16日目となるとそろそろ飽きてくる。ただ、だからといって犯罪とかそういうのはできなかった。万が一、その時にループがなくなったらと思うと背筋が凍るからだ。


2日目のループの時、9月10日23時59分まで俺は起きていた。これはループする瞬間に立ち会う為だ。しかし一瞬の目眩がしたと思ったら


9月10日の起床時間7時22分になっているのだ。もちろん場所はどんなに離れていようと必ず自分のベッドの上に帰されてしまう。


ある意味テレポートのようで便利ではあるが、この状況では、まるで意味がない。


16日目の9月10日、遂に俺は決意した。

このループをそろそろ抜け出すことを。


そして、16日目の昼休み

俺の一番頼りにならなくもない同性愛者の友達に相談することにしたのだ。


『誰が同性愛者だ?

これはファッションホモというやつだ』


…どんなファッションだ!

というかナレーションに入ってくるな!


16日目 放課後


という訳で、ファッションホモ(以下ホモとする、本当は町田という名前があるが面倒くさいのでこれでいく)に紹介してもらった精神科医の医者に行くことになった。


正直、気乗りなどは全くしなかった。ただの頭のおかしいやつだと思われてしまうのじゃないかと思ったからだ。いや、実際にはストレスとかでそうなってしまった人が行くところなのだろうが。


もはや、藁にもすがる思いだ。この問題は解決する為の時間は無限にあるが、その前に精神的にやられてしまう可能性がある。


いつもあまりふざけたことは言わないはずの俺のループ発言を受け、ホモは割と真剣な顔で俺に一度見てもらえと言ったのだ。


面白半分で言った可能性も否めないが、

なんにせよその柳田という人は人生相談の達人でもあるらしい(どんな達人なんだよ?)ので一度話してみろとのことだ。




…と考えているうちに着いてしまった。

国立病院か、思ったよりかなり大きいな。


中で受付をしようと、受付のお姉さんに声をかけた。だが大きな病院とは大体、紹介状を貰ってから受診するようなシステムというのを完全に忘れていた。


『申し訳ありませんが…』


結果的に正規の手順を踏んで診断をしてもらうことはできなかった。俺は肩を落とし、病院の外のベンチで黄昏れた。


ぼーっとしていると、隣に白髪だらけの爺さんが座ってきた。白衣を着ていた。もし、これが漫画や小説の世界ならこの人が柳田さんだろうなと考えていると、爺さんが話しかけてきた。



『…なにか悩み事かね?』


「そうっすね、毎日が同じことの繰り返しで嫌になってきてるんですよ。だからこの病院に来たんですけど、受診できなかったんです。」


『…それは災難だったね。私でよければ話を聞いてもよいかね?』


「本当ですか?

実は、9月10日が終わらないんですよ。

皆が同じ行動を繰り返したりして、もう

16日目です。どうすればいいですかね?」


客観的に見たら、かなり頭のおかしいやつだな

と我ながら思った。


『…君は。』




『…頭がおかしいのかね?』


そりゃ、そうなるよな…


「いや、そうですよね、すみません。

忘れてください。」


『…根本的な解決になるか分からないが

1つだけ君にアドバイスをあげよう。

君はループなどしていないんだよ。』


「どういうことですか?現に…『君は昨日の9月10日だっけ?に私と出会ったかい?』


言葉を遮られた。


「いえ、今日が初めてです。ループを解決する

ヒントが得られるかなっと思ってきました。」


『そういうことだ。さっき君は嫌になった

からここに来たと言った。

”昨日の今日”と違う”今日”を作りだした。』


『ならば、君がこの終わらない9月10日を終わらせる

為の方法は必ずあるさ。ほら若者がよくやってるゲームなんてのもそうだろう。誰かの願いや何かを成し遂げなければ、先には進めない。今の君の状況そのものだ。』


「…つまり、なにかを達成すれば抜け出すことができるんですか?」


『可能性は充分にある。頑張りたまえ。

…と時間だ。またね、えっーと…』


「鯨井です。」


『鯨井君か、私は柳田というものだ。

また縁があれば話そう、じゃあ…』


白衣の爺さんは去っていった。


「まじか、漫画の世界かよ…」



「ねぇ、そこのあなた」



突然声を掛けられて顔をあげると

知らない女の子がいた。


『あなた…昨日はここにいなかったわよね?』


「昨日って9月9日のことか?」


女の子はバツの悪そうな顔をして言った。


『ごめんなさい。私の勘違…「それとも

9月10日のことか?」


しまった。柳田さんやファッションホモでさえドン引きしてたのについ、9月10日のことを…

だが、女の子の顔をみると引くどころか、とても嬉しそうに見えた。


『やっと会えた…』


まるで10年会えなかった家族と会った時のような言い方をしているが

俺、君とは初対面なんだけど…?
























柳田先生ですが


彼は現時点で鯨井君の話の事は一切信じていません

ループや幽霊などのオカルトとは無縁の存在です。

なので、あくまで人生の先輩としてアドバイスをしています。自分が見たものしか信じない研究者肌です

町田とは、親戚にあたります。

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