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入学式へ

いつでもできると思うと、なかなかしないもの・・・

すみません><

とりま異世界を思考中、こちらを提供します><


ちゅん、チュン。

 入学案内と記載された本を開くと動画が立体的に開き、パンフレットの内容がドキュメント形式で説明を始める。

『本稿の特徴と意義。

 異能の力が国家に公認されてはや12年。

 核戦争の強制終了、その奇跡より30年。

 今の生活は、その能力ありきの奇跡と核戦争前の技術や文化が融合して成り立っています。

 能力の大小はあるものの、周知の事実として全ての人間には能力があり、それが自分のイメージや性格に関連するという漠然としたものでしか解明されていません。

 核戦争を免れた愚かな人類には、かつてないほどの「奇跡」という試練が襲いました。

 世界国家を形成していた大地の変動、地殻変動にはじまり、能力者となった人類の驕り、不安、希望、形を異にしての崩壊です。

 本校は世界が崩壊の渦中にありながらも、いち早く創設された秩序ある学校です。

 蒼白第一高校は、人類の尊き経験と知識に誇りを持ち、過ちを認めることから始まり、邁進を誓い、慢心を禁じ、能力者としての人類の在り方を探求し続ける組織へとなりました。

 あなたは今、この学校を選択・・・・・』


 うんうん、この大げさ感が新入生にはたまらないだろうね。

 机の上に開きっぱなしにして登校準備をしているレン。

 新入生の気持ちを思い出すための心の準備だ。

 本当の学園生活という意味では、僕も同じ気持ちだ。

 本当は明日より解禁、20歳の約束だけど、今日に限っては一つだけ勝ち取った希望がある。

 代表挨拶に関しての服装と能力のデモンストレーションの許可。

 へへへ!

 わくわくする。

「レン、降りてきなさい。話がある」

 準備は万端だが、今さらなんだろう?

 正座したのは母の遺影がある仏壇の下座。

「何? ちゃんと約束は守るし守ってほしい」

「そういうことじゃない、確認だ」

「なら・・・」

「全解禁は明日からだ。ただし、自分に対しての封印は常にすることは変わりない。それはいいな?」

「うん、それは僕も分かってきたこと」

 そう、能力で身分差別などはないが序列はある。

 それに伴って価値観が変化しているのはその身をもって知ることができた。

「能力や見てくれをきにするようなことはなくなったか? 気づいてないがお前も一時期そうだったことを忘れるな」

「そんなことあった?」

「あったんだ。まぁ都合のいい記憶だな。いろいろ良いも悪いもこの5年でしっかり感じ取ったはずだ。だが、もう一声、わしを安心させてほしい。母さんの記憶、遺言、レン。今はどう思う」

 母さんの記憶? 一度も聞かれたことなんてなかったはずだけど。

 普段どこがふざけている父さんも母さんの遺影を前に真剣な表情をしている。

 気恥ずかしいとは思っていられないほどの真剣な眼差しだ。

「母さんの遺言。覚えてるのは一言だけ。そしてそれは途中だけど完結してると思う。僕は、あの続きの言葉を聴けなかったことを後悔していたけど、今はわからないよりも、分かっていくことそれが、僕の生きる道になるんだと思う」

「・・・・・一番いい、答えだ」

 母さんが言った言葉は、『これがあなたに教える最後の言葉・・・』そこでこときれているし、面影も思い出せない。あの声だけだから。

「僕は明日で二十歳になるよ。いつも悩ませられた制限も今思えばと感心することもあるよ。頑張るよ、お、俺」

「そうか・・・まぁ及第点だ」

「父さん、感傷に浸ってるところ悪いんだけど、遅刻はしたくない。今日、はやく行かないと」

「そうか・・・なら」

 立ち上がった僕、いや。俺をってどうでもいいんだけど、ゆっくり引き止める。

「ほら、母さんからだ。一日はやいが誕生日プレゼントだ」

「時計? かっこいいねぇ」

「形見の懐中時計だ。肌身離さず持っていろ。母さんがお前を助けてくれる」

「母さんがなのね」

「いや、俺からもあるぞ。まずは、ほら」

 なんだこれ? 黒いカード。真ん中にゼロ? 丸が書いてある。

「多少、世間で無茶して疑われたとしても、これを認証してほしいと言え」

「認証?」

「おお、俺の腹黒い力が入っているし、金も入っているから買い物にも使える」

「本当に!? どれくらいの小遣いですかお父様!」

「まぁそれなりだ。それにお前がやらかして稼いだものもある。それよりも」

「うん?」

「時計にかざしてみろ」

「こう?」

 時計の外側にあったゼロが消え、中には・・・

「こ、これが母さん?」

「これとか言うな」

「か、かあさんなのか・・・綺麗だし・・ぼ、お」

「お前にそっくりだな、いや逆か」

 赤ん坊の自分と、母さんだった。

「な、何で今更みせたんだよってその遺影偽者なの!?」

「ああ、これはワシが好きなアイドルだ」

「ふざけっ・・・」

「いや、いつか気づくだろう・・・普通」

「気づかないよ・・・」

「ほら、怒るか泣くかはっきしてさっさといけ、ちこくすんぞ」

「おうん・・・」

 いいとこどりして・・・まったく。

 走った、思いっきり走った・・・空は澄んでちょっと湿っぽくていい気持ちだ。


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