東野瑠璃
東野瑠璃
わたしにとって明日は大事な人生の始まりなのですぅ!
神楽夜 レンさん。わたしの学園生活、人生を変えてくれた大切な人。
今日の生徒会は、終始レンさんの上辺だけを見て面白がる春日さんをはじめ、あきれている礼先生、新人さんなんていないかのように振舞うというあってはならないひどいシーンをたくさん見て、おなかで茶が沸かせる日でした。
約束の一年は知らない振りをするとはいえ、あれはないですぅ!
もっとありえないのが会長ですぅ!
たまに危険な空気を感じました。
私の乙女センサーが、あれは予備軍だと明確に知らせます、伊達ではありません。
今思えば、礼先生も、春日君とは違って妙な期待の目をしていますぅ。
歳といいうよりも精神年齢が一番近そうなことは注意すべきかもしれません。
ですが、そこはそこ。しっかり釘をさしておきましたぁ!
皆さんはご存知ですか?
乙女が好きな人のプレゼントを友達と買いに行く本当の理由を。
それはですね! 釘ですぅ! あの人はわたしが先に目をつけてますからね!というピンです!
鈴木明日香、名実共に、お嬢様であり、高校生では敵なしの能力者であり、会長であり、何より、すごくスタイルがいいモデルさんなのです、あれはいけません。
得てして、物語のヒロインは大抵そんな何もかも持っていそうなヒロインが掻っ攫っていきます。理不尽です!
鈴木一楼党首との会話、なにやら情にほだされそうな悲哀を含んでいそうでした。
危険ですぅ!
わたしは悪魔になります。小悪魔にぃ!
わたしの弱点はこの身長と年齢。
でも悪いところといい所はコインと同じって本に書いてありました!
つまり、私に抱かれる幻想を維持しつつ、やることは堅実に排除と接近をすることですぅ!
今日の買い物で、ちょっと嫌味なことを言ってしまったのは、失敗でしたが、結果オーらいです。
わたしの恐ろしいところを伝えられたはずですぅ。
ふぅ~。
今日の日記を書き終えたのはいいものの。
熱がさめません。
明日、お弁当を作ることはしなくていいので、少し遅くまで寝れるけど・・・おしゃれをしないといけませんし・・・
こういうときは、目をつぶり布団に入り、思い出すのです。
あの日・・・
初めて会った運命の人・・・・
瑠璃のメモリー
一年前の4月末。
ここ蒼白第一高校は、小中学生からエスカレーター式に学年が上がっていく国立。
ただ、能力があるなしに関係ないのは中学生まで。
能力が低い人は、高校生になるために別の試験を受けないといけません。
これは在学中の人が飛び級をするための制度としても活用されています。
ただ、飛び級試験を受ける人は冷やかし程度です。
それが日本屈指の難関。小中はもちろんのこと、大学部に及ぶまでの範囲の試験を、宿泊付きで受けるもの。何時間かけてもよく、試験問題をやれるだけやって、得点を打ち出し、アビリティ不足分を補う制度があります。
特に小中と上がってき人には優遇制度も。
逆に言うと、小中で認められた能力者は、後天的に上がった能力や難関試験で成果をあげたエスカレータ組みは可能な限り学園の要望にこたえるという誓約があり、高校に関しては他校に転校することは認められない。
「うう・・・」
小学部5年生の私は、すごく悩んでいた。
飛び級にもほどがあり高校生なのだから。
感知スキルでもかわった反応を示すわたしの能力。
でも、使いこなせず職員会議では、賛成と反対が別れていることもあったけど、それよりも最近のクラスメイトの反応。
冷やかしも多くなってきた・・・
わたしにだって友達がいて、そのこは・・・薦めてくる。
礼先生なんて二日に一度は尋ねてくる。
感知スキルで範囲が広いこと、強弱がわかることはとてもすごいことみたいだった。
木の陰、校舎と校舎の合間にある庭。
観賞用ではなく、ただ校舎の合間にある空間に木を植えてあるだけの人が少ない場所。
右を向けば、中学部へ続く廊下。
左を向けば高校へ続く廊下。
ちゅんちゅん・・・小鳥さんが鳴いている。私も泣きたい。
どれくらいそうしていただろう。
ひざを抱えてじっと木の影にいるわたし。
ちらほらと人が通ってはちらりと様子を伺う。
・・・・・・
背が違う。年は当たり前に違う。
高校生に飛び級するということは、一般教養は中学部で受けないといけない。
先生は、なじまなかったら個別も考えてフォローしますと豪語していたけど・・・
そういうことじゃないのに・・・
友達はやっぱりほしい。
そっと小鳥に手を伸ばしてみた・・・・
あ・・・・
木の影、新緑を抜けて、綺麗な空へ飛び立つ。
胸が苦しい、ちっぽけな私、一人ぼっちな私・・・
う、うう・・・泣いちゃった。少しずつ大きくなっていく不安を抑えられずに・・
その時だった。
「う~ん・・・人助けのときはたまに見過ごしてくれるけど。大丈夫?」
「え??!」
「ああ・・・この格好は変だけど、怪しい人だけど本当は普通の人だからね。あと、覗いていたわけじゃなくて、この上でお昼ねしてたんだよ」
「ふぇっく」
「と、とりあえずそろそろ授業の準備しないといけないし、どこかいくかなぁっと思ったら泣いちゃってたから。これ、使って」
変な格好だった。サングラス? それに流行ってるのかな? あたまがぼさぼさ長髪で、サングラスはいらないくらい前髪が伸びている。それにジャージ・・・
不審人物ですぅ・・・
「生徒、なんですぅ・・っく」
「一応。で、迷子?」
「そんなこどもじゃないですぅ」
「・・・まぁいいか。戻れる? どうして泣いてたの?」
「も、戻れます。これ、洗って」
「しっかりした子だねぇ~。いいよ、あげる」
「ありがとうございましたぁ」
わたしはそういって立ち去ろうとしてたけど、よかった、あげるって言われないとまずかった。
寂しさもどこへやら、おさらばですぅ! そんな私に気づいたのか・・・ぱしっと肩を・・・
「待って。一人って辛いと思うけど、ほら」
「??」
意味がわからなかった。
変な人・・・・手を上にかざして・・・・!?
「鳥さんがいつでもおいでだってさ」
言葉にならなかった。
さっきの小鳥さんだ・・・
漫画やアニメ、物語にでてくるようなことだけど、その変な格好もあいまって感動よりも・・・
「小鳥さんと話せるんですかぁ!」
と聞いてしまった。能力を聞くって言うのは、とてもほめられたことじゃないのに・・・
「あ、うん・・・どうだろうね」
「ご、ごめんなさい! へんなこと聞いて!」
「いや、まぁじゃあ、お話少しする? 僕も久しぶりだし、なんか気づいてないみたいだし?」
「え? 何にですか?」
ぽんぽんと木の影に移動して、隣に誘ってくる。
「お、お邪魔してます」
・・・・あれ? この人・・・やりての不審人物? いや、生徒さん?・・・
もう座ってる自分がいた・・・
「ふふ、で?なんで泣いてたの?」
「ぜ、全部みていたですか?」
「うん・・・なんか辛そうだった」
「わ、私、中学部飛び級して高等部に入ってほしいって言われて、でも友達とか」
「待って待って。すごいね、でも、順を追って話してみて」
それから悩みを相談した。
どうしてか警戒しなかったというより、自分の優位性を話す必要があったと本能で解していたのかもしれない。
でも、それよりも・・・小鳥がどんどん集まってくるからかもしれない。
好奇心が胸にあふれてくる。
「礼先生かぁ。ま、ちょっと変わった人だけど、親切なことは変わりないか。信じていいと思うよ」
「変わったひとですか・・・」
いまいち相談はへたくそな気がした。
けど・・・生徒さんだ。
「あ、まぁ説得力ないかな」
「はい・・・ふふ」
「あはは・・・まぁ事情があるんだよ」
「どんな事情か聞いてもいいですぅ? わたしは全部言いました」
「ああ~・・・うん・・・まぁ一種の病気って思ってくれていいよ。あと家庭の事情かな」
「うう・・・」
「ほんとだよ。力の制御ができない、暴走した過去があるとか、父親がこれ以上転校したり転居するのは我慢の限界とかね・・」
「わ、わけありなのですね・・・目の病気ですか?」
「うん・・・自覚があるのはずっと昔の記憶がないってことかな」
「ふぇ!?」
「ああ! 大丈夫だよ! すくなくても転校繰り返したりひきこもった時の記憶はあるし、父さんから話してくれた事はすこしずつ思い出すこともあるから、完全にってことじゃないんだ」
「そ、それでも・・・大変ですぅ」
「まぁ5年くらいはしっかりあるし、別段いいも悪いもないよ」
「・・・・・ごめんなさいです」
「え?」
「わ、わたしの悩みなんてちっぽけで」
「そうでもないよ。僕も友達いないからね、この格好でか、性格か、親父のせいなのか」
「わ、わたし瑠璃、東の瑠璃っていいますぅ」
「?」
「な、名前ですぅ」
「あ、レン。神楽夜 レンです、よ、よろしく」
「照れないでくださいぃ、こっちまで照れますぅ」
「あはは。友達で悩む仲間ってことかな」
「そうですねぇ・・・でもレンさんのほうが深刻ですぅ」
「ん~~ここに入ってくる前からそうでもないよ。ものめずらしさとか見てくれとかでしか反応がなかったからかもしれないけど。無駄ではないかなって」
「能力ですよね・・」
「うん、瑠璃ちゃんとは逆でないってことの悩み」
「ご、ごめんなさい!」
「いやいや、嘘だし、いいんだけどね。どっちでも」
「嘘なんですか!?」
「あはは・・・まぁまぁ。なにもない、この世界能力なんて関係ないってことで話そうよ」
わぁあああ・・・・って、この人、変人じゃなくて実はすごい人ですぅ・・・
そして・・・優しいし・・・かわいそうで・・・
「どう?」
レンさんは上を向いただけだった。でも、しっかり感知している。
小鳥さんがたくさん・・・・目の前にちゅんちゅん、ピーピー言っている。
「す、すごいですぅ・・・」
「瑠璃ちゃんは進級したいの? そしたら、来年からならお話できるかな、何年生になるの? 見たところ1年生にしては高い能力だけど」
「ふぇ!?」
「しーー、内緒ね。それに飛んでちゃうよ」
「・・・ふぁい」
なんだろう・・・わたしもう目の前の光景と、変な格好なのにすごいことしてもなんでもない顔してる人に圧倒されてる。
久しぶりの感覚・・・人と話すとき知らず知らずのうちに、力とか、どんな色の人なのかみてなんとなくこんな人だろうって構えることができてたから・・・
「れ、レンさんは・・・能力を自分でコントロールできるんですね・・・潜在能力ゼロだったのに・・・」
「あはは・・・そんなことまで分かるのね。すごいすごい、ま、それはおいといて、何年生になるの?」
「に、二年生になれるように頑張りますぅ」
「そうなんだ」
なに言っちゃってるんだろう・・・
わたしは一年生になる予定だったのに・・・この能力が自分でコントロールできるようになってはじめて二年生になれるって説明まで受けてたのに・・・
「二年生になれるなら、僕と一緒だね。来年から?」
「そうですよぉ」
あう・・・失敗しました。
「うんと、不安があるの? 試験?」
「はうぅ・・・それに友達もです」
「ああ、あそこ、うるさくておせっかいな人と、なんだかんだでお世話好きな人が二人いるから大丈夫だよ。鈴木明日香ってひととレイチェル レイってひと」
「れ、レンさんは?」
む・・・なぜかちくりと胸に刺さった気がします。
一人って言ったのに・・・友達いないって・・・
「僕は、来年からならお話できるよ。今日は特別」
「わ、分かりました! が、頑張りますぅ」
「僕も良かったよ。友達予約できて! いきなりはなすってのは勇気がいるから」
「わ、わたしが絶対一番最初に話しますね!」
「うん、おたがい肩身がせまいけど頑張ろうね」
「は、はいぃ! って・・・二年生になれればですけど」
「え? 能力?」
「はい・・・安定しなくて。それさえクリアできればと」
「なんだ・・・瑠璃ちゃんいてほしいし・・・うーん。初歩だしね」
「はい?」
「ちょっと使ってみて」
「こうですか?」
私は能力解放する。
周りに耳を済ませて、集中していくだけでだんだんと色んな色が見えては消えていく。
「へぇ~、目で見るんだね」
「今日は、調子がいいですけど途中で消えたりするんですぅ」
「感知というより探知なのかな?」
「え?」
「まぁどっちもだからか。その辺は任せてよ」
そういってレンさんはせいと手帳を取り出してきた。
そして校舎のマップを開いてみせる。
「ここから見えるのはこれくらいかな」
「なにを?」
「ちょっとごめんね」
「あう!」
お、大きな、男の人の手ですぅ・・・それにすべすべ?
「て、握るだけだから。もういっかいやって、最初は目を瞑ってしてくれるかな?その次にタイミングはいうからこの地取図を見てくれない?」
「わ、わ、わかりまひゅた」
「おちついてぇ・・・そう。ゆっくり、なにか変化ある?」
「なんだかぽかぽかしますぅ。か、体がく、くすぐったい?」
「本とに内緒にしてよ。力貸すからね」
「れ、れんさん」
ひ、光っていた。それも金色に・・・綺麗な目。それに髪がふわふわして・・・顔が・・・はい。惚れました・・・、はい、もう、いいですぅ・・・
「あれ?ほら、目を閉じて」
「はいぃ! あ!?」
「何か見える? あ、あの色が見えます。動いて・・・これって人の動き?」
「よし、じゃあ。この地図見て」
「あ! なんか一気に・・・抜けたような?」
「うん、安定したね。今、なんていえばいえば良いかわからないけど、ここに抜けた分だけの力が込められて、わかる?」
「こ、これって! 教室にいる皆さんとかの!?」
「うん、良かったね。おめでとう! 持続させるためにはPCとかのほうがいいかもね。あの古い機械の。あとはこれだと・・・こんな感じかな?」
「色ペンですか・・・」
「うわぁ、汚くなっちゃうねぇ・・・水性で色を浮かばせてやるとか、色んなやり方あると思うけど、小型のPCとか携帯とかのほうがいいかもねぇ。試してみてよ」
「た、ためすって、こ、これ! それにひとりでできませんよぉ! れ、レンさんとずっと一生でないと!」
はう、いっちゃいました!
いいのかな! こんな年下でいいのかぁ! てへへ・・・
「うん? そんなことないと思うよ、ってなぜに嬉しそうなの? これでどう?」
あ・・・・なに・・・分かる。わかりますぅ!
って分かってないですけど!
「分かった?」
「は、はいぃ! で、でも急に自転車乗れるようになったみたいな!」
心はつり橋です! もう、わからない、わからないけど、この人の期待を裏切るのはなしですぅ!
「ま、そんな程度だよ。能力なんて、きっかけあればだれでも。まぁだから危ないのかもしれないし、危なくないのかもしれない。内緒にしてね。僕はそういうの目指してないから」
「は、はいぃ!」
「じゃ、真面目な話、たぶん瑠璃ちゃんのその能力。かなり珍しいと思うよ。だから小出しにするなりなんなりして気をつけてね。周りが過剰反応しないように。いうなれば、探知レーダーができたみたいなものだしね」
こくん。
私は、うなずきました。
まさに聖女のように・・・そしてレンさん・・・すごい・・・
「れ、レンさん、す、すごく能力高いのですね」
「気にしないで、どう?」
「あ! き、消えた・・・」
「内緒にしてね。僕はどちらかと言うとこんな感じで」
レンさんはおもむろに枝を拾って私にもたせてくれた?
「コホン・・・ちちんぷいぷいってちがうな・・・」
「へ、変ですぅっぷ・・・それに古い」
「は、はずかしいんだからいっちゃ駄目、みてて」
「あ、また」
また、レンさんの顔が見れる。目もキラキラ。文字通りキラキラ・・・ってえ!?
「れ、レンさんこのえ、枝が大きく!!」
盆栽くらいか。どんどん再生して・・それは根を張って・・・
「はい、桜でございます」
「ふぁ、ふぁいぃ?」
「どう、綺麗でしょ? わくわくもしたよね」
もうこくんとうなずいて見るしかなかった。
もう、わたしの頭も心も聖女で羊で牧場ですぅ!
「じゃ、ふぅ~ってして」
「ふぅ・・・」
呼吸を整えてみました。
そうじゃなくてと笑われちゃいましたが。
桜に息を吹きかけるようにと・・・その言葉に従って。
ふふぁああ。。。。
「はい、綺麗だったねぇ」
桜吹雪だ。
「誕生日みたいだね。まぁ、す、すぎちゃったけど。今日は友達記念かっこ、予定ってことで」
「は、はうぅ・・・す、すごすぎますぅううん! 素敵過ぎます!」
わたしは固まってレンさんを見上げ? 見上げ??
「あはは、じゃ、元気でた?」
「あ」
「大丈夫そうだね。それじゃ、またね、僕を見ても知らない振りすること。一年だけ待って」
「あ、あの!!」
王子様はすぐにどこかへ行く!
でも、その前に聞かなきゃ!
「た、誕生日っていつですか!」
4月11日・・・・
私はしっかり覚えました。
そして・・・なんと明後日に控えています。
明日はレンさんの晴れ舞台。
そして明後日はわたしの晴れ舞台。
レンさん・・・・すぅすぅと幸せそうに・・・・・寝れないですぅ・・・!
瑠璃の苗字を変えました^^
かなり長めになりました。読んでいただきありがとうございます┏○))ペコ