表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

戦闘開始

いよいよ作戦が説明された

隊長が前に出る

「昨晩、入念な会議が行われた。洞窟の構造などを考慮し、考えられた作戦だ。

名付けて、三本の槍作戦」

ざわざわと兵士からざわめきが起こった

「なるほど、一本の矢なら折れてしまうが、三本束ねれば折れないということか どこかで聞いたことあるな」

「静粛に!これより作戦の説明をし、各々の役割分担を決めていく」


俺の担当は陽動ということになった 要するに、ドラゴンを引き付ける役だ

またしてもくじ運ないな・・・と思った

青年兵がやってきた

「俺はロープでドラゴンをこかす役になったぜ 意外とあたりの部類かもな」

俺もそれがよかった・・・

昨日の老兵のじいさんは俊敏性も力もないため、外で翌日のキャンプの準備をするらしい

どうやら一日でケリが付かなかった場合に備えた結果が、人員二十名の大所帯とのことだ

隊長がやってきた

「陽動は全力で走れ 捕まったらおしまいだからな しかし今回は地の利がある」

「地の利?」

「通常ドラゴンはもっと山の上や、切り立った崖の上で寝込みを襲われないようなとこにいるんだがな なぜかやつは洞窟の真ん中をねぐらにしている おかげで、寝込みを襲うことができる」

これも王者の余裕かもな と笑いながら隊長は去っていった


空も暗くなり、いよいよその時が来た

俺は七人の兵士とともに、洞窟の中に入った

ドラゴンが狩りから戻る前に準備しなければならない

洞窟内は巨大で、天井の高さはドラゴンの身長でもずいぶん余裕があるように思えた

トンネル状の通路をずっと進んでいくと、ドラゴンのねぐらにたどり着いた

俺はこの入口で待機の手筈になっていた

他の五人は俺より後ろで準備をしている

俺の横にいるのは今回の作戦の一番手を担う、ガード兄弟の弟 クレジット って名前のおっさんだ

「二本目もかからねえ 一撃で終わりだ」

おっさんのもっている槍は特注らしく、ドラゴン狩り用の槍らしい

刃はよくとがれていて俺の顔を反射させている

おっさんはドラゴンのねぐらの近くに、厚手の布のようなものを投げた

「失敗したらわりいが、お前の出番になる そん時は死ぬ気で走れ」

「その布は?」

「万が一失敗したときの保険さ こいつに隠れるわけだが、お前がしくじった場合、ほとんど意味はないだろうが」

みんな命の保証はなかった

失敗すれば死ぬ

うまくいけばいけば、生き残れるかもしれない

そんな程度だった


外で監視していた老兵がドラゴンの姿を確認した

「戻ってきたぞお!!」

電波するように中継やくから中継やくへと伝言が伝えられ、洞窟内でドラゴンが来た と大きな声が響いた

「来た・・・」

鼓動が一段早くなった

おっさんも壁に張り付いて、じとり、と汗をかいている

ドラゴンが上空からやってきた


ドラゴンの着陸する際の、ズウウウンという轟音が洞窟内を響かせた

10メーターくらすの巨体をまじかで見るのは初めてだった

「でかすぎるだろ・・・」

俺は息をのんだ

めちゃくちゃでかい翼、ワニみたいな堅そうな皮膚、そして凶悪な牙、正直泣きそうになった

顔は怖くて覗けなかった 目が合ったらやばい

「クレジットさん、俺あんなの振り切る自信ないっす」

「黙ってろ」

俺たちはドラゴンが寝静まるのを待った

一時間ほどたったか、「グウグウ・・・」

という寝息のようなものが聞こえだした

おっさんは槍を握りしめ、にじり寄っていく

俺は心の中で、おっさんがんばれ、と言った


おっさんはドラゴンのすぐ手前まで迫っていた

ドラゴンはおっさんに気づく様子はなく、でかいいびきを立てている

うつ伏せに寝ているため、柔い皮膚はガードされている

そのため、いやでも上から槍を通さねばならない

槍には眠り薬が仕込まれているため、かすり傷でも効果はある

おっさんは槍を直角に突き立てるよう、構えた

そして一気に槍を下へ振りおろした

高い金属音が洞窟内に響き渡った

おっさんは槍を放り投げ、そこから逃げる態勢にうつった

しかし、尻尾で軽くはねのけられ、壁にあたり伸びてしまった

槍は通らなかった

俺は勇気を出して壁から飛び出し、ドラゴンめがけて矢を放った

矢はドラゴンの頭上を通り過ぎで行った

「思いっきり外したな・・・」

ドラゴンはおっさんの方に向いている

このままではヤバいと思った俺はできるだけ大声で叫んだ

「こっちだ!」

ドラゴンの目が俺を捉えた

「・・・」

こんな時に俺は一瞬変なことを思った

無邪気な子供みたいな目だな・・・と

だが、次の瞬間、ドラゴンがものすごい早さでこちらに向かってきた

ドラゴンとの距離はみるみる縮まっていく

めちゃくちゃはええ!

あと一秒で追いつかれる、そう思った時、頭上から二本目の槍を持った、ガード兄弟の兄貴、キャッシュが壁の上からジャンプして体重の乗った槍を見舞う

しかし、走っている最中のドラゴンの体には刺さらず、これもはじかれて終わった

俺は全力で横にダイブした

ドラゴンの巨体が俺の真横を駆け抜けて行った

その先に青年兵ら四人が待ち構えていた

左右に2人ずつ分かれ、ロープを引っ張る

その先に隊長が槍を構えて待っていた

「こいつが本命だ」

ドラゴンをロープで転倒させて、その自身の重みで、一番やわい腹を突くという作戦だった

しかし、ドラゴンはこけなかった

代わりに他の四人が引っ張られはじけ飛んだ

そして隊長は無残にもドラゴンに踏みつぶされてしまった


作戦は失敗したようだ

みな地面にふしていた

生死の確認はできないが、少なくとも隊長が一番重症だ

俺はその場に立ちすくんでしまった

「俺の友達は初任務で・・・」という青年兵の言葉がよぎった

ドラゴンはくるりと向きを変え、立っている俺のほうに向かってきた

「お前のおもちゃにされて死んじまうのか・・・どうか楽に殺してくれよ」

そんなことをつぶやいた








クレジット・ガードとキャッシュ・ガードw

こういうダジャレ系の名前をもっと思いつけたら面白かったかも?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ