表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/81

■第76話 叫ぶ声が

■第76話 叫ぶ声が


 

 

 

 『ねぇ、サトママ・・・


  ハルキって、いつ出発すんの・・・?』

 

 

 

何故か、母ハナも、ハルキ母サトコもサクラの前で口が重い。

この話題になると、揃って、目線をはずしたり話を逸らしたりする。

 

 

嫌な予感が走り、サクラはハルキの部屋へ駆け出した。

勢いよくドアを開ける。

すると、そこは片付いてキレイになっていた。

まるで、もうここに住まう住人がいないかのように・・・

 

 

 

 『ハルキはっ?!』

 

 

 

必死の形相に、サトコが言葉に詰まる。 『学校に。挨拶行くって・・・』

 

 

 

 

 

サクラは休日の学校へ向けて、全力で走った。

肺が苦しくて、喉元が爆発しそうに痞えるが、駆ける足を止めようとはしない。


走り続けると、そこは。

休日も登校している部活動の生徒の姿と、その掛け声が響く校舎。

 

 

慌てて職員室へ滑り込む。

誰もいない。

更に廊下を駆け抜ける。

用務員室へ駆け込み、ハルキの所在を訊くと

『さっき片付け終わって、駅へ行った』 と。

 

 

 

 

 

眉間にシワを寄せ、サクラは駅までの道を駆けた。

泣きそうで涙がこぼれそうな瞳に、風が容赦なくぶつかり流れる。

 

 

 

 

  (行かないで・・・


   待って。


   どうか・・・間に合って・・・ )

 

 

 

 

 

 

 『ハルキーィィイイイイイイ!!!』

 

 

 

 

 

駅に、サクラが泣きながら叫ぶ声が木霊する。

その声に、ホームに佇むハルキが、振り返った。

 

 

 

俯いて、左手の甲を口許にあて。

そして、そっと目をあげてその響いた声の方を、ハルキが微笑み見つめた。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ