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■第73話 サクラの涙

■第73話 サクラの涙


 

 

 『サークーラーちゃんっ?』

 

 

 

ドアをノックし声を掛けるも、その奥から聞こえるのはすすり泣く声だけ。


『入るからなー』 ハルキはそう言うと、サクラの部屋のドアノブを回した。

 

 

ベットに体育座りをし、膝に額をぴったりくっ付けて、細い肩を震わすサクラ。

その隣に腰掛け、ハルキは困ったように小さく笑い、溜息をついた。


サクラは泣き続けている。

小さく小さく『ごめん。』 と繰り返す。

 

 

 

 『お前が悪い訳じゃないだろー?』

 

 

 

いくら言っても、首を横に振り、顔を見せてはくれない。

指先でサクラの脇腹をつついて、わざとちょっかい掛けてみるが、

サクラは決して顔を上げようとはしない。

 

 

 

 『サクラ・・・? おいで。』

 

 

 

サクラが子供の頃泣くと、ハルキがよく両手を広げて、胸に飛び込むサクラを

受け止め抱きしめた事を思い出す。

 

 

少しの、沈黙。

サクラの泣き声が一瞬やんだ。

 

 

すると。

ゆっくり、体育座りの体勢からヨロヨロとハルキへ向かう。

そして、小さな子供のようにサクラはハルキにしがみ付き再び声をあげて泣く。


やさしく抱き留めて、サクラの頭を包み込んだ。

震える背中をリズミカルにトントンと叩く。

 

 

 

 『お前のせいじゃないよ・・・』

 

 

 

首を振る、サクラ。

ハルキの胸の中で、更に泣き声がくぐもる。

 

 

 

 『たのむから、泣かないで・・・


  お前に泣かれんの、一番しんどい・・・』

 

 

 

ハルキの笑う顔が、悲しく歪む。

 

 

 

 

この騒動の全ての真実を知ったサクラに、ハルキは言う。

 

 

 

 『キノシタを責めたら、俺、怒るからな・・・


  あんなに思ってくれる友達、他にはいないぞ?

 

 

  ばあちゃんになっても、


  キノシタとはずっと仲良くしてろ・・・』

 

 

 

そして、ハルキは呟いた。

 

 

 

 

 

 『俺がいなくなっても、お前には友達がいるからダイジョーブ。』

 

 


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