■第72話 リンコだけ
■第72話 リンコだけ
『キノシタは、今まで黙っててくれただろー』
俯き泣き続けるリンコの頭に、やさしく手を置くハルキ。
『キノシタは知らないかもしんないけどさ。
アイツ、すげぇクセ強いから全っ然、女友達できないんだよな~』
肩をすくめて小さく笑うハルキ。
『家に、友達つれて来たの、
こないだ。キノシタがはじめてだったんだぞー?
だから、アイツん家のおばちゃんも。喜んでハシャいじゃって・・・
なんかベラベラ要らん事ゆったかも、って後で反省してて。』
クククと背中を丸めて笑うハルキ。
サクラ母ハナの反省する背中を思い出す。
泣いていたリンコが体に力を入れ固まった。
『キノシタのこと”一番の友達”って、
ちゃんとアイツ、思ってんだってー
あんなだから口には出せないけど・・・
きっと。アイツが、
女で気ィ許してる相手は、
身内以外だったら、キノシタだけだ・・・』
(友達なんか、大事なんが1人か2人いればよくない?)
(だって、リンコがいるから他には別にいらないじゃん。)
震える両手で顔を覆って、リンコが声をあげて泣いた。




