■第7話 キノシタ リンコ
■第7話 キノシタ リンコ
『ハタとサクラって、付き合ってんの?』
隣席のリンコが、昼休みにぽつりサクラに訊いた。
『は?』 口が開いたままポカンとリンコを見つめるサクラ。
弁当のハンバーグを掴む箸の手が、一瞬止まる。
『ハタって・・・サカキの事?』
『それ以外にハタ、いる?』
『・・・。』 再びポカンのサクラ。
『殆ど毎日一緒に帰ってんでしょ?自転車二人乗りして。』
『・・・ん。そうだけど。』
『中学からずっと一緒なんでしょ?』
『・・・ん。まぁ、そうだね。』
『ハタとサクラって、付き合ってんの?』
『・・・・・・・。』
まじまじと、リンコを瞬きもせず凝視するサクラ。
『えええええ!も、ももしかして・・・リンコ』
目を見開いて大慌て。
両の手の平を広げ、ワナワナとリンコの目の前で揺らし”違う違う”のポーズ。
そんなサクラに、リンコが至極冷静に言った。
『違うから。ハタが好き、とかじゃなく。
ただ、付き合ってるのかどうか事実を知りたかっただけ。』
目を細めて、そんなリンコの表情を伺うサクラ。
しかし、その顔は至っていつも通りで無理をしたり隠したりしてる風ではなく。
『全っっっ然、付き合ってないし。
てか、アイツをオトコだと思ったことないし。』
その言葉を聞いて小さくリンコが呟いた。
『かわいそ・・・ハタ。』