■第67話 事件
■第67話 事件
ハルキが出勤すると、既に職員室内は不穏な空気に包まれていた。
『カタギリ先生、校長室へ。』
机にカバンを置くや否やの事。
教頭からの強張った声色に、尋常ではないものを感じた。
校長室には、校長の他、学年主任が3名。
そして教頭が、後ろ手にドアを静かに閉める音がパタン。響く。
校長が1枚の紙をハルキが座る応接セットのテーブルに置いた。
それは、女子高生がホテル入り口で男性の腕を取る姿の画像だった。
ハルキは身を乗り出して、その画像の女子高生を注視した。
自分の受け持ちの誰かなのかと、慌てて目を凝らす。
しかし、制服が違う。東高ではない。
安心して少し笑いながら、
『大丈夫ですよ。コレ、ウチの生徒では・・・』
言い掛けた時。
『コレが、カタギリ先生だとの投稿だそうです。』
校長が画像に目を落とし、言った。
意味が分からないハルキ。
暫し、真っ直ぐ校長に目を向けていた。
『問題なのは、ここに写る女生徒ではなく。
一緒に写る、スーツ姿のアナタ・・・らしき人です。』
ハルキが目を見開いて、固まった。
その頃、教室内ではハルキのホテル画像がクラス中に出回っていた。
女子高生の奥に写る、スーツ姿の背中。
『まじで?コレ、カタギリなのっ?!』
『だって、顔なんにも見えないじゃーん』
『これ、いつ?日付、こないだの土曜?』
『でも、背中のこの感じはカタギリぽくね?』
『こんなスーツ、いっつも着てんじゃん?』
『てか、女に興味なさそな涼しい顔してたくせにねー』
『高校教師がホテルにJK連れ込むとか、まじ、サイアクー』
サクラが教室の空気に首を傾げつつ自席に着くと、
サカキが物憂げな表情で慌てて駆け寄り画像を見せた。
『誰これ?・・・え?クラスの誰か??』
画像の女子高生に目がいくサクラ。
サカキが静かに首を横に振り、男性を指さす。
『カタギリだっつう、噂・・・』
言っている意味が分からず、固まるサクラ。
『・・・・・・・・・・は?』
『カタギリで確定ぽい・・・。こないだの土曜、らしい。』
そのサカキの言葉に、固まり、ゆっくりと拳を握りしめるサクラ。
(確定って、なにが・・・
誰、が・・・
ハルキがそんな事するわけないじゃん。
そんな・・・)
そして、一瞬、頭をかすめた。
(こないだの土曜・・・)
すると、
サクラは机にカバンを放ると、隣机にぶつかりながら間をすり抜け
廊下へ飛び出した。
磨かれ過ぎた床に足を取られながら、職員室へ駆ける。
腕を大きく振って、足を思い切り蹴り上げて。
その目には、涙とともに悔しさが滲んで。
サクラが、大きな音を立てて職員室の扉を引いた。




