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■第59話 電話

■第59話 電話


 

 

ユリは、あれから何度もジュンヤに電話をしていた。

自分のせいで、自分なんかに関わったせいで、あんな嫌な思いを

させてしまった。


しかし、ジュンヤは電話に出てくれなかった。

メールをしてもラインをしても、全く反応は無かった。

 

 

ただ謝りたかったのに・・・


関係ないジュンヤを巻き込んでしまった詫びを、

ちゃんと面と向かって言いたかっただけなのに・・・


そして何より、

ありがとうと一言、伝えたかっただけなのに・・・

 

 

 

 

一切の連絡を絶たれて数日経ったあたりでもう嫌われてしまったのだと悟った。

なんだか、胸にぽっかり穴が開いた気分だった。


それは、

表面上だけチヤホヤされている事に気付いた時より

奥さんがいる人を好きになってしまった時より

高価なプレゼントを与えられ人形のように扱われるより


ずっと、ずっと、心臓は痛みを憶えた。

 

 

ジュンヤの家まで訪ねて行こうかと考え、迷惑になるだけだと止めた。

ジュンヤの店に行こうかと考え、どんな顔すればいいか悩み止めた。

 

 

毎日毎日、ジュンヤを想った。

 

 

 

 

   (会いたいよ・・・)

 

 

 

 

すると、ユリのケータイがけたたましく鳴り響いた。

 

 


 

   【着信:ジュンヤ】

 

 

 

 

ユリが震える指で、通話ボタンを押した。

 

 


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