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■第49話 告白

■第49話 告白


 

 

 『ちょ。・・・いい?』

 

 

放課後、サカキが気まずそうに背中を丸め俯いて、サクラに声を掛けた。

 

 

 

 『・・・ん。』

 

 

そう言うと、サクラもまた気まずそうに立ち上がり、サカキに続いた。

 

 

修学旅行でのキス以来、互いに殆ど会話をしていなかった。

サクラにとっては、不意打ちの、全く以って想定外の、キス。

何がどうしてそうなったのか、全く意味が分からなかった。


廊下を進み、調理室がある南棟へ向かうと、ひと気は全くなく、

グラウンドから野球部の掛け声が小さく流れるだけだった。

 

 

 

 『あのさ・・・』

 

 

廊下の壁に背をもたれて、サクラから目線をはずしサカキが口を開いた。

 

 

 

 『・・・付き合ってみない?』

 

 

その言葉に、サクラがせわしなく瞬きをして固まる。

 

 

 

 『俺といんの、ラクだろ?


  つか、俺は。お前といんの、ラク。


  だから、さ・・・


  試しに、付き合ってみようぜ?』

 

 

 

サクラはどんどん真っ赤になってゆく耳を、なんとかしようと

壁にもたれたままズリズリと背を滑べらせしゃがみ込み、

その場に体育座りをして小さく縮こまった。

 

 

 

暫し、ふたりの間に沈黙が流れる。

やわらかな夕陽が、磨き上げられた床に映り眩しい。

 

 

 

サカキが、言う。


 

 『あの、アレ・・・


  こないだの。 修学旅行の、アレは・・・


  そーゆー気持ちで、


  気持ちが、ある。から・・・ した、から。』

 

 


  

体育座りの膝に顔をうずめて何も言わないサクラの頭に、

そっとサカキが手を伸ばす。


そして、

その大きな手で小ぶりな頭をやさしく柔らかくグリグリ、と鷲掴みした。

 

 

 

 『毎日、2ケツすんべ。』

 

 

 

やさしい声音で言った。

鷲掴みされている小さい頭が、微かに頷いた。

 

 


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