■第4話 センセー
■第4話 センセー
とある日。
2年C組の教室での、3時限目と4時限目の間の短い休み時間。
クラスメイトが何やら話をしている声が耳に入った。
『カタギリ先生って、何気にカッコいいよね~』
『超~カッコいい!やっぱ彼女いるのかなぁ・・・?』
(・・・カッコいい?どこがだ。キモッ。)
苦い顔をして絶句するサクラ。
あんなもんの何処が格好良いのだろう。
ただの、ハルキだ。
ただの、しょーもないハルキでしかないのだ。
ふと、他のまわりの反応も知りたくなり、友達のリンコに声を掛ける。
『ねぇ、リンコ・・・。担任のこと、どう思う?』
『・・・どうって?』
『さっき、向こうで、
”超~ぅカッコいい~ん”って黄色い声が聞こえたからさ~』
小馬鹿にして、その黄色い声を大袈裟に真似るサクラ。
『ん~・・・。ウチの学校では、いい方なんじゃない?』
(ふぅ~ん・・・)
そこへ、
『人気はあるだろ~?若いってだけで高ポイントなんじゃね?』
勝手に話に入って来たサカキが、肩をすくめながら発言する。
(へぇ~・・・)
なんだか腑に落ちないサクラだった。
その日の夕飯後、
サクラはカタギリ家へやって来て、当たり前にハルキの部屋に入ろうとした。
『ハルキー、今週のジャンプー・・・』
すると、
『ダメ。今、入ってくんな。』
机に向かって目を落とし、こっちを見ようともせず腕だけ真っ直ぐ伸ばして
手の平を広げ、部屋に入ろうとするサクラを立ち止まらせる。
『・・・ぁ?』
『今、”センセー”中。』
『えー・・・』
『小テストの採点してんだよ、”センセー”中だから入ってくんな。』
『ジャンプはー・・・?』
『俺もまだ、読んでねぇし』
『早く読めよ、センセーよぉ・・・
てか、仕事を家に持ち込むなよ。家に・・・
つか、さ。
なんでセンセーなんかなったの?
ほんっと、超ヤだ・・・』
すると、
『・・・お前だろ・・・。』
ハルキが一瞬サクラへ目を遣り、また小テストに戻った。