■第39話 姉妹
■第39話 姉妹
ジュンヤはひとり、ユリと交わした会話を思い出していた。
『ユリ・・・さんは、兄弟いるんですか?』
というジュンヤの問いに、妹が一人と答えたユリ。
『明るくて、元気で、真っ直ぐで・・・お日様みたいな子なの。』
目を細めて微笑む。
『お日様みたいで、あんまりに眩しくて・・・
わたしは、いつも、目を細めて隠れちゃうの・・・』
どこか悲しげな表情になったのを、ジュンヤは見逃さなかった。
『わたしね・・・いつも周りからチヤホヤしてもらえるけど
それって表面上だけのことで、ね・・・。
本当にわたしが欲しいものは、
いつも・・・
あの子がもっていっちゃうの・・・
わたしが欲しいものは、全部・・・』
その目は、何処を見るでもなく彷徨う。
『嫉妬する自分を隠そうと、いつもニコニコするのに必死なの・・・』
悲しそうに、自分を嘲るように、ふふふ。と笑った。
隠し続けていた本音を言ってしまった事を戒めるように、
その細く長い指で口許を押さえている。
なんという言葉を言えばユリの気持ちが晴れるのか、ジュンヤには
分からなかった。
ひとつだけ言えるのは、そのままのユリでいいという事だけ。
どうしたら分かってもらえるのだろう。
どうしたら伝えられるのだろう。
ユリを想いジュンヤはひとり、溜息を繰り返していた。




