表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/81

■第37話 夜明けの街を

■第37話 夜明けの街を


 

 

その後は、ユリは閉店の4時まで店にいた。

雨は朝方に上がり、薄暗い中にうっすら雲間に陽がのぞく気配が見て取れる。

 

 

『どっか行きたいトコありますか?』

ジュンヤの言葉に、口を尖らせ少し考えて、ユリは目を輝かせた。

 

 

 

 『マックに行ってみたいの!』

 

 

 『ぇ?・・・マックって、マクドナルドのマック?』

 

 

 

うんうんと首を縦に振っている顔。


ジュンヤは自分が考えるマックとは別の何処か違う所があるのかと思った。

ユリの口から出るにはそぐわない、その固有名詞に首を傾げる。

 

 

 

 『行ったことないの。』

 

 

そして、すぐ続けた。

 

 

 

 『わたし、高級フレンチの味なんか、全然わかんないのに・・・』

 

 

ユリが悲しそうに目を伏せた。

 

 

 

 

ジュンヤは24時間営業のマックがある方向へ促した。


ひと気が少ない夜明けの繁華街を、ふたりで歩く。

水商売の仕事明けの男女の騒がしい声と、ごみステーションに群がるカラスが

気怠い雰囲気を更に助長する。

 

 

 

 『10段の、すっごいハンバーガーがあるんでしょ?』

 

 

キラキラした目で話すユリ。

10段がどのくらいの高さなのか、細い手で予測値を表している。

 

 

思わず、ぷっと吹き出すジュンヤ。

 

 

 

 『アレ、期間限定だったから、今は無いっスよ。』

 

 

そう言われ、あからさまに肩を落としたユリ。

どっちにしろ、ユリがアレを食べきれるとも思えない。

 

 

あまりにしょんぼりしているものだから、ユリをちらり横目で見て、

 

 

 

 『また、アレ出たら・・・行きますか?』

 

 

 

自分の口から出た言葉に、耳が真っ赤になってゆく。

ユリがなんて返事をするのか、途端に不安になってしまって顔を見れない。

 

 

 

 『うんっ!約束ね。』

 

 

ユリの微笑む顔が、胸に痛くてジュンヤは俯いた。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ