「苦難を超えて星々へ」
男と少女のこれからを書かない話です。
満点の星空の元、うらぶられた町と荒野を歩き、飽くなき鉄砂の海を越えるものが二人もいる。一人は二十八ほどのなんとも聡明で顔つきをしている男が、 也は希代。
汚れ極まった白衣に男の上半身を隠せる大きさのトレジャーバック。ことあるごとに後ろを振り返り、音が耳に入ればそちらの方を向く。獣じみた行動で神経をすり減らし精神的な限界が近いのか目の隈が目立つ。苦労人と方つけてしまうには幾数百文字足りないのである。
その男の手を握る少女は男の子供にしては大きく、無垢で両耳を覆うインカムは電子機器としては綺麗で体の一部にしては無骨であった。
藍色の髪は小粒上のセラミックを運ぶ風を受けても痛みがない。服装は男と色合いは同じで上から下まで白。汚れもない清潔と思える。無理をする男は少女に笑い続け、手を強く握る。
少女は男に態度を持って答える。笑うこと、笑顔を絶やさないこと。
男の後、側に居続けたいがための行動。
国境付近まで男と少女は歩いた。それがどの国の国境で、歩き始めて何日後なのかはわからないが確実に白衣の男の体が痩せ細っていた。
白衣の男が生まれ育った町はもうない。町ですらなくなってしまった。生気がなく空しさだけの廃墟だけがあるものを町とはいえないからだ――全ては五年前の『星災』が発端だった。
たったビー玉ほどの隕石一つで人間社会は崩壊してしまった。
人は恐れ国を築き星より生まれでた魔物に畏怖の念を向け星の力を体に宿す者を魔術師と呼んだ。魔術師は魔法と呼ばれる奇跡を生み、無から水を、一寸先の見えぬ闇を明るく照らす。
闇夜におびえる日はもうない。明るい人の社会が生まれたが、人は争う。
ふと、少女は夜空を見上げた。地球は周り星空は変わった。小川のような星の運河は大きな運河になりほどに。
立ち止まった少女を白衣の男が気づいた。
「ん? ポラリスどうした。奴らか……」
首を振り、ポラリスは否定した。
「違う。最後だから」
「そうか、なら、その目に焼き付けて置きなさい。この世界ワーガスト・オートを」
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たぶん、この後がどうなるを書けるのが本物なのかなと思うしだい