四通目
美しき小野妹子様へ
紙一枚なら、郵送に殆んど失敗などない。しかし、衣服となると重さがあるし危険も伴ったのではないだろうか。
確かに人間のように船を使い海を渡らなければいけない、というほどではない。
それでも今の倭の科学技術では、衣服を郵送するのは限界。紙なら一瞬なのに、これだと数分ほど掛かったのではないかと私は推測する。
そこまでして貴方は私へのご褒美を授けてくれた。大切にするよ。
私の取った行動を知れば、貴方は気持ち悪いと思うかもしれない。それほどまでにこれは嬉しい贈り物なのである。つまり私が興奮して可笑しな行動をしたのは、貴方のせいということになる。
貴方が身に纏った衣服、なんだよね? それを考えると、私は今にも舞い出してしまいそうで。狂い出してしまいそうで。この手紙に鼻血が付いてしまったりしたらすまないと思う。
もう少し欲張りをしてみてもいいであろうか。
かなり変態だが、こんなお願いをしたい。今度のご褒美では、貴方が脱いだばかりの下着を貰いたい。そちらの方が軽いし、郵送に難だって少ないだろう。
それだけのご褒美を頂けるような行動、きっと私はして見せる。だから私が頑張った、ここぞってときには下着を。生下着を。
気持ち悪いと思えば、こんな手紙焼き捨ててしまっても構わない。折角一線を越える機会を手に入れたので、貴方に近付きたいと思っただけだから。それに、さすがの私だって本気では言っていない。
本気で欲しいとは思っているよ? 欲しいとは思っているけれど、貰おうなんて思っていない。永久保存版が登場するまでは我慢する。
それに私は、ご褒美の前に罪を償わなければいけないし。あの程度の手紙では、貴方を傷付けた罪を帳消しには出来ない。好きな人に涙を流させた、それはとても大きな罪だから。
だから貴方が笑顔を探すのではない。私が笑顔を見つける。頼む、私にやらせて欲しいんだ。
私が二人分の笑顔を探し出す。まず自分の笑顔を見つけ、私は笑顔を手に入れて見せる。そしてそのあと、私の力で貴方を笑顔にしてあげたい。
そんな力を持つことが出来るかわからない。貴方は優秀な人だから、私より先に笑顔を見つけてしまうであろう。それでも私は、貴方を笑顔にする術を見つけている。必ず私が貴方に笑顔と幸せを。
それを償いと出来たら嬉しい。貴方から頼むでなく私から頼んでいること。
それでも、それを償いということにして貰えたら嬉しいと思う。
聖徳太子より