四つ目
妹子くんから手紙が来た。ちゃんと返事が来たということは、間違えてはいなかったということだろうか。内容にもよるかな。
恐る恐る、私は封を開けて手紙を読み始める。『愛する』と記されていたので、やはり間違えてはいないのであろう。
なんと嬉しい。妹子くんがいつも私のことを考えてくれていると言うのだ。しかし私のせいで妹子くんが仕事に集中出来ないのは不味い。正直な話、私も妹子くんのことを考え過ぎて仕事が捗らない。それは同じなのかな。
すぐに私の元に帰って来てくれる、か。そんな言葉で、私もヤル気が漲ってくるよ。帰って来てくれたら、いくらでも望むことをする。妹子くんが望むならば、私は何でもしてやるよ。
一緒に届いたこの袋には、手紙に記されている衣服が入っているのであろう。それも、妹子くんが身に纏ったもの? 妹子くんが……、この服には妹子くんがっ! ここまでのご褒美を貰えるなんて。
お仕置きらしくないけれど、結構厳しいお仕置きだな。妹子くんを興奮させる愛を描かないといけないんだよな。考えておこう。
私の為を想って、妹子くんは隋へ行ってくれたんだ。そんな妹子くんに私はなんの言葉も掛けてあげられなかった。どうして私は妹子くんの恐怖に、その涙に気付いてあげることが出来なかったんだろう。
許してくれると言っている。それでも一枚の手紙だけじゃ、許される傷ではないと思う。だから私はこれからも、妹子くんに手紙を送り続けなければいけないね。これは私の為だけれど、妹子くんの心も和らぐと信じているから。
本当に妹子くんは頑張る人だ。しかしそれが一人前ならば、私も一人前には程遠いということだな。妹子くんが隋にいる間に、私も一人前にならないといけないな。
隋には行けないけれど。この倭の国で、私も笑顔を見つけてみせよう。妹子くんの為だけに浮かべる、最高の笑顔を見つけよう。
そう思って私は、妹子くんから届いた服を取り出す。柄なんて正直興味なかった。妹子くんから、それが嬉しかった。
顔を埋めると、ほんのり妹子くんの香りがしたような気がした。目を瞑ると、妹子くんの姿が見えるような気がした。興奮して来て私はその服を抱き締めた。妹子くんの温もりを感じようとしていろいろしてみた。
こんな私の姿を見たら、妹子くんはどう思うのだろう。気持ち悪い、やはりそう思うのであろうか。それでも私は構わなかった。だって私を狂わせたのは、他でもない妹子くんなのだから。