三通目
愛する聖徳太子先輩へ
先輩がそのように思って下さっているなんて。先輩、お手紙を読んで僕のことを考えて下さったりとかもしてくれますか? 少しでも僕の姿を想像して下さったりとかしてくれるんでしょうか。
因みに僕は、いつでも先輩のことを考えています。先輩のことを考え過ぎて、仕事が捗らなくなってしまうくらいです。
でも僕はこの仕事を大成功させて見せます。そして先輩の元にすぐ帰るんです。そうしたら、僕のことを褒めて下さいね? よく頑張ったって、頭を撫でて下さいね。
そのことを考えたら、ヤル気が漲ってきました。先輩、愛しています。
素敵な衣服を頂きました。僕が着てしまったもので宜しければ、先輩に差し上げます。そんなご褒美はどうですか? 先輩が気に入って下さると嬉しいのですが。
お仕置きも求めていらっしゃるのですよね? それでしたら、次の手紙で愛の言葉を囁いて下さい。正答が帰って来たときのお仕置きは考えていませんでしたので、こんなものになってしまいました。申し訳ございません。
僕の為に、全力でときめかせる愛を囁いて欲しいのです。恥じらいなんて捨てて、僕を興奮させて下さい。期待しています。
どうしましょう。先輩への愛が止まりません。いつからでしょう。僕の頭の中は先輩で満たされて、他のことを考えられなくなっていました。先輩は気付いておいででしたか? 懸命に隠していたつもりだったのですが。
カッコいいところを見せたくて、隋へ行くなんて言ってしまいました。何があっても先輩に危険を伴うことをして欲しくない、そう考えて引き受けてしまいました。
本当はとても寂しかったのです。強がってはいましたが、怖くて寂しくて堪らなかったんです。涙を先輩に拭って貰いたかったけれど、出来ませんでした。そして結局、先輩の顔をよく見れずに別れてしまいましたね。
今のは先輩を責めているんですよ? 気付いて欲しかったのに、そうゆう意味ですから。手紙の返答に免じて許してあげますが、今度は許しませんから。
大好きな先輩だから、僕のことをもっと見て欲しいんです。僕も今度は俯かないで、まっすぐ先輩を見つめられるように頑張ります。
それが一人前と、僕は考えます。だから僕は、隋で一人前になって帰ることを誓いますね。
そして笑顔で再会するのです。
今まで出来なかったけれど、僕は笑顔を浮かべて見せます。先輩の為に、先輩の為だけに。
隋で笑顔を見つけてみせます!
幸せ者小野妹子より