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心の距離  作者: 桜井雛乃
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二つ目

 自分がどうしてしまったのか、私にはわからなかった。しかし妹子くんからの手紙を読んで、それに気付いたんだ。

 家で一人、手紙を読んでにやける自分の姿に気付いてしまったんだ。私自身の、本当の気持ちというものに……。


 妹子くんから届いた手紙。間違える筈もない、この文字は確かに彼のもの。つまり彼は私のことを想い、彼自身がこう思って書いてくれてということだ。


 嬉しい。


 素直にそう思った。それは、今まで感じたことがないほどの喜びであった。

 手紙を貰ったのだから、ちゃんと返事を書かないといけないね。正しい答え、それくらいわかっている。私を馬鹿にするのも大概にして欲しい。私を惑わすのも、大概にして欲しい。


 そこまで素晴らしい答えを返せるかどうかはわからない。

 それは無理かもしれないけれど、正しい答えを返す自信はある。素直に私の気持ちを綴り、妹子くんに送ればいいのだ。妹子くんが求めているのは心、私の心なのであろう。

 ただ私の中には、お仕置きも悪くないなんて思う私もいた。確かにご褒美は欲しいけれど、お仕置きもして貰いたい。私は欲張りなのだな。


 しかし、ここまで自分が変態だとは気付かなかった。恋をすると人は変わる、というのは本当だったのだな。手紙を読んでこの気持ちは恋だと気付いて、私はもやもやが晴れて変態となった。

 喜んでいいものか。素直になるのは勿論いいことだと思うが、自分でも自分が変態に思えて。気持ち悪い、そう感じてしまっていて。


 そう思われてもいいから、妹子くんを好きでいたいと思ってしまっていて。


 冷たい妹子くんに恋をした。だからこそ、手紙で見せるこの妹子くんの言葉たちは輝いていて。

 だってあの彼が「先輩のことを心から想っている」だなんて。このギャップに、私は興奮を隠すことが出来なかった。

 この姿を誰かに見られでもしたら、今までの私のイメージはきっと崩れ去ることであろう。築き上げてきた、優秀でどこか接し辛いと言うキャラクターも崩れ去ることであろう。

 現に今、自分の中にあったそんなイメージは崩れ去った訳だしさ。


 本当に正しいのだろうか。

 妹子くんは、私に会う為に帰りたいと思ってくれているのだろうか。手紙を読む限りそうだと思うけれど、少し自意識過剰というものではないだろうか。

 なんにしても、妹子くんの為に最高の手紙を書かないと。手紙によれば、隋の人々は妹子くんにメロメロとのこと。そいつらに、妹子くんを取られない為にも……。

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