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戦闘準備してみる

 デールと一緒に防衛線に到着したのは、まだ早朝だった。


 夜も明け切らない中、割り当てられている天幕に着くと、すぐに戦闘準備をして出ていく。


 私達魔導騎士隊の服装は隠密行動を前提に考えられていて、全身真っ黒だ。


 腰にベルトを二重巻きにして後ろに剣を装着する。


 剣と魔法の両方を使うが、それだとそこらの騎士とあまり変わらないように思えるが、使う魔法の規模が違う。


 私達はそれぞれ特級クラスの魔法が使える魔法特化騎士、まさに一騎当千なのだ。


「いよいよってとこだな。まずは前線基地責任者の騎士隊隊長のとこに挨拶に行くか」


 デールと私は同じ魔導騎士隊でよくチームを組まされる。


 デールの魔法の腕は、人間にしては飛び抜けて高い。


 だが、いかんせんアホなのだ。


 考えなしに、特級クラスの魔法をぶっ放し、すぐにガス欠になる。


 私がデールと組まされるのもそれ所以だろう。ようは抑え役なのだ。


 割り当てられた天幕を出て、一際大きな天幕を目指す。


 司令本部で騎士隊隊長に今後の支持を仰ぐのだ。


 いくら単騎任務専門の私達でも、戦争で勝手に行動はできない。


 しかるべき配置で指示通り動かなければ味方を巻き込む恐れさえあるのだから。


 司令本部の天幕に着くと、見張りに名を告げて中に入った。


「魔導騎士隊所属のシェラ・メーニンです」


「同じく、デール・カフサルであります」


 騎士隊隊長は、中央に設置された机の上の地図を見ながら、他の幹部達と作戦会議をしていたらしい。


 こちらを振り返ると、私達を歓迎してくれた。


「よく来てくれた。私は騎士隊隊長のザイルだ。先行させてくれと頼んだのは私なのだ。今にも始まりそうな勢いでな。あちらさんも本気のようで、魔法部隊を大量に投入しているようだ」


 年は四十代だろうか?場慣れした雰囲気が、立ち振る舞いからもわかる。


 私達はそれぞれの配置を確認し、指示を受け、司令本部の天幕を後にした。


「シェラが西に配置って、最前線じゃないか!」


 デールが言ったとおり、私は最前線に配置された。


「仕方ないだろう?私達の任務は敵を殲滅することだ。範囲魔法が苦手なおまえは後方に待機し、敵後方の魔法部隊を蹴散らす。至極真っ当な配置だ」


 乱戦している最前線でデールの魔法が暴発すれば味方にも甚大な被害が出る。


 強力な武器は諸刃の刃だ。


 ザイル隊長もよくわかっている。


「だったらシェラだって同じだろ?敵の魔法部隊はウチの魔法部隊が蹴散らせばいい。俺達は後方で魔法をぶっ放してればいいじゃないか」


「デール、私達は軍人だ。指示通りに動け。それにすぐに他の魔導騎士隊や竜騎士達がやってくる。そうなればまた状況も変わるだろう」


 まさか最初から最前線に出されるとは思わなかったが、まぁやることは同じだ。


 ルーの為に、敵を殲滅する。


 戦いが始まれば、竜騎士として参加するだろう。


 今までの戦いにも、自ら出ることで近隣諸国に力を示してきたのだから。


 あの子は強い。あれから10年、さらに強くなっただろう。


 だが、それでも危険には違いない。


 問題なのは、小さな小競り合いを繰り返してきたサベル国が、ここにきて大軍を動かしてきた理由はなんだ?


 時期を見計らっていた?


 なにかを企んでいる気もする…


 何度も密偵として侵入したが、何かを準備している様子は見受けられなかった。


 なのに、何故だろう?


 胸騒ぎがする。


「とにかく指示通りに配置につけ。私はおまえと違って範囲魔法が得意だから心配ない。それに、おまえの魔法飛距離には期待している。後方からぶちかませ」


 デールもわかっているのだ。


 軍人だから。


 だが、まだ感情が強く出る傾向があることを、ザイル隊長は聞いていたんだろう。


 だからこの配置なんだろうな。


「…わかった。シェラ、無理はするなよ」


 デールと別れ、最前線に向かっていたさなか、前方で巨大な火柱があがった。


 戦いの火蓋は切って落とされたのだ。


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