表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/34

第二十九話 SEXYorCUTEY

 草木も眠る丑三つ時。夜陰を切り裂く三つの影があった。

 いや、そんなたいそうな物ではない。とにかく、林の中をガサゴソと突っ切って歩いていく姿が三つ。

 山崎・浜田(浮かない表情)・大島だ。


 浜田「はぁ。何か、凄い虚脱感……」

 山崎「何言ってんだ、健全な証拠だろうがよ」

 大島「ツレションならぬ、ツレ○○○○とはまさにこのことだお」

 山崎「気持ち悪いな俺らwwwwwwww」

 大島「本当だおwwwwww」


 山崎・大島「「うわっはっはははははは!!!」お!!!」


 浜田「うぅ。よりにもよって二人に出るところを見られるなんて…… 迂闊だった……」


 三人三様に、手には一冊の本とティッシュ箱を持っている。

 山崎の手には、グラマラスな外国人のお姉さんが。

 浜田の手には、日本人と思しきちょっぴり小ぶりな胸をした水着の女の子が。

 大島の手には、いわゆるアニメ絵で描かれた漫画が。


 山崎「それにしても、大島。お前、そういうのが好きなのか?」

 大島「そうだお、何か悪いかお?」

 山崎「別に悪かないが。現実の女の方が良いとは思わないのか?」

 大島「全然思わないお。だいたい、リアルの女なんてうざったくて相手なんてしてらんないお」

 山崎「お子ちゃまだな。まったく。そういうの含めて、楽しいんじゃないかよ」

 大島「五月蝿いお、おっぱい星人。な、浜田お?」

 浜田「なんで僕に話を振るのさ!?」

 

 じっと浜田の本を見る大島。嫌な予感に浜田の肌にさぶいぼが立つ。すると、あと言わぬ間に山崎が、浜田の持っていた本を取り上げた。


 山崎「何々? 激撮スレンダー天国〜南国水着編〜? はぁ、お前も結構変わった趣味してるな」

 浜田「ほ、ほっといてよ山さん!!」

 山崎「何? お前胸が小さいのが好みなの?」

 浜田「そ、そんなこと……」


 じとめで浜田を見つめる二人。気おされて、とても嘘をつけないと思ったのか、浜田はうなだれた。


 浜田「あります(泣」

 大島「いいおな〜、別にそんなこと。人の性癖にいちいち難癖なんてつけて欲しくないお」

 山崎「いやまぁそうだがよ。けど、大島は……」

 大島「五月蝿いお!!(怒」

 山崎「いや、俺はお前のことを心配してだな……」

 

 と、そういいかけたところで山崎にガンを飛ばす大島。そろそろ本気で怒りそうなので、それ以上言うまいと山崎は言葉をとめる。そして気晴らしにと浜田から奪った雑誌に目を通す。


 山崎「うわー。見事にぺったんこなのばっかだな。俺にしてみりゃ、目の毒だ」

 大島「どれどれ…… そうでもないお、AからBくらい。嘗ての日本人の平均くらいだお」

 山崎「しかしまぁ、なんでまたこういうのが好きなんだ浜田」

 浜田「な、何でって…… それは、その……」

 大島「もしかしてロリコンかお?」

 浜田「違うよ!! だいたい、好きなものは好きで良いじゃないですか。山さんや大島だって、それが好きなことに理由があるの?」

 山崎「俺はやわらかくて癒されるから好きだぜ」

 大島「日常生活じゃありえない展開とかが好きだお」


 浜田「う……」


 一言も詰まることなく言いのけた山崎と大島。うろたえる浜田に、にやりと微笑み二人はにじり寄る。


 大島「さぁ、何で好きなのかお?」

 山崎「へ〜ちょには言わないからさ、言ってみろよ浜田?」

 浜田「ちょ、二人とも落ち着いてよ!!!」

 大島「いたって平静だお」

 山崎「同じく」


 ワキワキと手を鳴らして歩み寄る、その動きに更なる危機感を覚える浜田。覚悟を決めて口を開いた。


 浜田「べ、別に…… その、あんまり大きいの好きじゃないし。それに、華奢なほうが女の子って感じだし……」

 大島「見るを、ここだけ紙が擦れてるお!! よくここら辺を使ってるお!!」

 山崎「何!? どこだどこだ!? 何々〜 紺色の甘い誘惑 スクール水着……」

 大島「やっぱりロリコンだお!!」

 浜田「き、聞いてよ!! 二人とも!!」


 浜田の必死の表情に大爆笑する二人。当然怒る浜田をなだめて、話を元に戻す。


 山崎「なるほど、お前の好きな女性のタイプというわけか…… 女の子女の子している娘が好きってことな」

 浜田「う…… うん。だって、可愛いじゃない…… あ、元気な娘も好きだけど……」

 大島「へ〜ちょ見たいにかお?」


 ぼっと浜田の顔が赤くなる。それを見て、またケラケラと笑い出す、二人。今度は何も言う気になれなかったのか、浜田は恥ずかしそうにツカツカと一人先に歩いていった。そんな様子にまたケラケラと笑う山崎と大島。


 山崎「まったく、反応がかわいいね、あいつは」

 大島「まったくだお。からかい甲斐があるってものだお。で、どうおもうお。あの二人? 上手く良くと思うかお?」

 山崎「いくだろ多分。二人とも、多かれ少なかれ意識してることだし。ただ、こいつを見つかっちまうとなんていわれるかは知らないがな……」

 大島「へ〜ちょの事だから、大激怒間違いないお」


 五十嵐「誰が大激怒なの?」


 懐中電灯を持ったへーちょがいきなり現れる。びっくりして、飛びのいた山崎と大島。と、ここで本を落としてしまう。


 大島「へ、へ〜ちょ!! 何故ここにいるお!?」

 五十嵐「起きたら皆いなくて、心配になって探してたんだよ。それより、何か落としたよ?」


 そういって、山崎が落とした本を見て、五十嵐が硬直する。

 ヤバイ、そう思って瞬時に二人も硬直した。


 五十嵐「山ちゃん? 島ちゃん? これはいったい何かな……」

 山崎「えーとその。しゃ、写真集?」

 大島「そ、そうだお。しゃしゃ写真集だお、ちょっと過激なだけの……」


 そう言いかけた所で、二人の顔が恐怖に引きつる。彼らの視線の先には、へーちょが鬼のような形相で笑っていたのだ。


 五十嵐「言い訳するなんて、みっともないよ!!!」 


 山崎・大島「「ご、御免なさい!!!」お!!!」 


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 五十嵐「まったく!! 男の子ってば不潔なんだから!!」


 しゅんとした表情で燃やされる雑誌を見つめる三人。相当のお気に入りだったらしく、山崎・大島は涙をこぼしていた。唯一、浜田だけは、笑っているように装っていたが。それは、五十嵐がそばにいる為であって、本心はそれはもうなきたくて仕方がなかった。


 五十嵐「なっちゃんからも言って上げてよ!! エッチなのは駄目だって!!」

 浜田「いや〜その……」


 涙混じりに睨みつける二人を前にしては流石に声も出ない浜田。


 浜田「そのね…… 男の子にはこういうのも必要だから……」

 五十嵐「駄目なの!! エッチなのは地球の敵なの!!」

 浜田「はぁ……」

 五十嵐「分かった? なっちゃん?」

 浜田「分かりました……」

 五十嵐「山ちゃんも島ちゃんも分かった?」

 山崎・大島「「分かりました」お(泣」


 メラメラと燃えていく雑誌。

 揺らめく炎を見つめながら、男たちは言い知れぬ虚脱感を感じていた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 五十嵐「もし、なっちゃんもあんな事したら、ただじゃおかないんだからね!!」

 浜田「う、うん。わかったよへ〜ちょ」


 浜田(よかった〜 ばれなくて……)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ