第二話 鳩胸肉編 Part1
浜田「大量大量」
浜田は自分が仕掛けた罠から、鳥を引き出す。既に担いでいる袋には何匹か入っている模様。
浜田「これで、今日の夕食(親子丼)は大丈夫だな。
ついでに、から揚げなんか作っても良いかも」
工兵の浜田にとって鳥を捕まえる罠など、夏休みの自由研究程度のものだ。
浜田「黒酢も残ってるし……」
浜田は小刻みに震える。目は虚ろ、口は文字のごとくに開かれている。
よほど高部が怖いのであろう。
浜田「うん、鳥の黒酢あんかけとかも良いかもしれないな」
気を持ち直して、袋に鳥を入れなおしたそのとき。浜田の後ろからなにやら物音が。
浜田「な、何だ……」
おそるおそる振り返る浜田。ゆれている後方の茂み。
???「ガサ ゴソ ガサ ゴソ」
浜田「蛇か? いや、この大きさからいって、豚か?」
じわりじわりと茂みに近づく浜田。すると、あと少しというところで茂みの動きが止まる。
浜田(…… 気づいた?)
???「コ……」
浜田「コ?」
???「コケコッコー!!」
浜田「…… なんだ鶏か」
???「コケー コケ、コケ」
ほっとした感じで胸をなでおろす浜田。
浜田「それじゃ、せっかくだから捕まえておくか!」
???「ハウ!?」
浜田「は、ハウ!?」
あからさまに出た人語に、再び場に緊張の糸が張られる。
???「は……
ハウドゥユドゥー」
浜田「……なーんだ、やっぱり鶏か
って、それはクックルドゥドゥーだ!!」
???「し、しもたー!!」
浜田「しもたー!? くっそう、ちょっと流暢な英語に危うく騙されるところだったが、お前さては大阪人だな!!」
つっこむところはそこではない。それに、森林に鳥のまねしにやってくる暇な大阪人も多分居ない。
???「くくく、ばれてしまっては仕方が無いな」
茂みの物音が激しくなる。影を引きそこから現れたものは……
浜田「お、お前は!!」
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「ギャー!!!」
五十嵐「なっちゃん!?」
山崎・大島「「浜田!?」」
食材調達じゃんけんに勝ち、ちゃぶ台の前でマターリしていた三人はいっせいに声の方向を向いた。
五十嵐「今の声、たしかになっちゃんだったよね……」
山崎「あぁ、ちがいねぇ」
大島「というか、ここら辺に居るの漏れらだけだから浜田しかいないお」
五十嵐・山崎「「それもそうか」」
納得といった感じに手を合わせる二人。
大島(馬鹿だお)
五十嵐「それにしても何だろうあの声」
五十嵐は心配そうに森を見つめる。
大島「まるでびっくり人間でも見た感じの叫び声だったお」
五十嵐「びっくり人間って?」
振り返った五十嵐は大島の次の言葉を待っているようだ。対する大島も、いきなり振られて具体名がすぐに出てこない。
一同「「「………」」」
大島「…… 首長族とか?」
大島、何とか具体名をひねり出す。
山崎「レイザーラ○ンHGとか?」
山崎、すかさずフォローを入れる。
五十嵐「妖怪セーラー服男?」
五十嵐、何を勘違いしたか、とんでもないことを言う。
大島「火の上を歩く男?」
山崎「アマゾネス?」
五十嵐「仮面○イダー?」
大島「恐怖の人間ポンプ?」
山崎「Mr.マ○ック?」
五十嵐「Mr.オク○!!」
大島(底抜けの馬鹿が居るお)
間の抜けてしまった大島。そんな大島をほうって置いて、山崎がまとめに入る。
山崎「まぁ要するに。 江頭2:○0ってことだな」
五十嵐「なるほど〜」
大島(納得するのかお)
さらに間の抜ける大島。
五十嵐「つまり重要なのは黒タイツというわけですな?」
大島(マニアックな上に馬鹿だお)
止めとばかりにそれを聞いた大島は、ちゃぶ台に突っ伏した。
と、そこへ男の高らかな笑い声が入る。
???「はっはっはっは。
お前たち、そんな悠長なことをしていて良いのかな?」
山崎・五十嵐「「だ、誰だ!?」」
???「ふっふっふ。私は手羽先銀河ササミ系第七惑星肉団子からやってきた、宇宙人……
鳩胸肉マンだ!!」
山崎「は、鳩胸肉だって!?」
鳩胸肉「そうだ! とう!!」
そういって現れた怪人鳩胸肉。頭が鳥で、尻には尻尾。なぜかボディビルダーみたいな体格かつ、格好の怪人である。とりわけ、ベースが人間なので、被り物をしたビルダーにしか見えない。
大島「クックル先生みたいだお」
山崎「つうか、被り物だろその頭」
五十嵐「肉まん? 鳩のお肉っておいしいのかな〜?」
鳩胸肉「ひ、ひどい……」