第二十三話 秋の味覚編 Part3
大島「で、栗ご飯は醤油の仲間ということでいいのかお?」
栗ご飯「はい、そうです。どうもすみません」
山崎と大島にぼこぼこにされた二人は、地面に膝をついて正座している。
先ほどと同じく、男三人に二人は囲まれている。しかし眼には生気が無く、体は満身創痍だ。
栗ご飯「おねげえですだ、オラ達を助けてくんろー」
山崎「オラとかいうな、なまめかしいわ」
浜田「というか、それは主人公の口調だよね」
栗ご飯「だってオラ栗ご飯だし。主人公の息子だし」
大島「じゃぁもうお前栗でいいお」
山崎「……なんだか卑猥だな」
いまさらながら、二人の様相を見て息を呑む三人。
亀の頭みたいな頭をしているマツタケ爺。なぜか知らんがメイド服で筋肉ムキムキの栗男。
浜田「放送禁止すれすれって感じのキャラだよね」
大島「もしかして、狙ってやってるのかも知れないお」
栗「まさか〜そんなわけ無いじゃないですか。狙ってませんよそんなこと」
醤油「ね〜」
なんともむかつくスマイルに、山崎と大島の眉間に皺がよる。ついでに山崎の拳もなる。
それを制するように浜田が前に出た。
浜田「まぁ、助けてあげない事も無いけどさ。具体的にどうすればいいの?」
山崎「そうだな。そのお前ら付け狙ってるやつらを倒すとか、お前らが逃げるのをアシストするとか。そういうことを言ってもらわねえと、どうしようも無いぞ」
大島「そうだおそうだお」
醤油「そんなことを急に言われましても」
栗「ね〜」
殴りかかろうとする山崎の動きに、びくりと反応する宇宙人二人。まるで、雨に当てられた捨て猫のようにプルプルと震えている。
一方の大島や浜田も、こればっかりは止める気にならず、じっと下を向いていた。
浜田「そんなこと急にって…… 助けを求めてるんじゃないの?」
醤油「今実際危機に瀕してるわけではないんでのう」
山崎「今がよければそれで良いってか」
大島「やっぱりニートだお」
心底頭が痛そうな表情をする浜田に対し、醤油と栗はあくまでマイペースだ。
指をくわえて僕ちゃんわかんないといった表情の醤油と栗。
深いため息を浜田はついた。
浜田「とりあえず、君たちはどうしたいわけ?」
栗「毎日楽して楽しく暮らせたらそれでいい」
醤油「ついでに、女の子が居たらもっとええのう」
栗「メイドさんなんかいいよね〜 萌え〜って」
醤油「ワシは、メイドさんより巫女さんかえの〜」
浜田「まじめに答えろよ糞爺ども。裁断して海に捨てちまうぞ」
醤油・栗「「ふぁい。すみません」」
普段は絶対見せないような鬼の形相に大島も山崎もやや引く。普段の彼を知る人が見たら、完全に引いてしまうような怒りの形相。流石に温厚な浜田も、彼らのいいかげんさに我慢ならないのだろう。
山崎「浜田もあんな表情するんだな……」
大島「びっくりだお……」
浜田「で、どうしたいの? 地球から去って、違う星にでも行く?」
醤油「はい、すぐにでも違う星へ移動したいのでその手助けをお願いします」
栗「すぐに準備させていただきます」
浜田「それじゃ僕たちがその君たちを狙ってる宇宙人をかく乱するから、その間にすばやく逃げるんだよ」
ほぼ浜田が言うがままに、話がまとまった。と、とたんにいつもの笑顔に戻る浜田。
この切り替わりの速さに、仲間の二人も唖然とする。
浜田「で、その付け狙ってる相手の情報はあるの?」
醤油「あります…… こいつですじゃ」
爺が渡した写真には、一匹の秋刀魚の顔をした宇宙人が乗っている。ちょんまげなど結わえて、どういった時代錯誤なのだろうか。
一昔前の時代劇のドラマに出てきたようなキャラクターの匂いがぷんぷんする。
山崎も大島も、それを覗き込んで思わず吹き込んでしまった。
山崎「こんなやつに命狙われてるのか」
大島「ギャグとしか思えないお……」
浜田「名前は?」
栗「磯……」
山崎「もうそれはいい!!」