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魔法使いな僕とシンデレラな彼女

作者: 如月はじめ

あらすじに書いた通りシンデレラのパロで、僕こと『魔法使い』視点で書いてまーす。


クスッと笑っていただければ嬉しいです。

それではどぞー。

 はじめまして。こんにちは、若しくはこんばんは。

 突然ですが僕には前世の記憶があります。所謂転生ってやつをしちゃったようです。

 ……はい、ここで“はあ?”とか“またそんなのかよ”とか色々ツッコミたいとは思いますが、今は話を続けさせてもらいますね。さくさくと進めたいので。

 さて、前世の僕は日本って言う国に住んでいましたが、今世の僕は何やらファンタジーな世界の住人になっています。何がファンタジーかと言いますと、ふふふ、聞いて驚いてくださいね。

 ――ナント僕、『魔法』が使えちゃうんです。

 いいですよねえ魔法。憧れですよね。この世界に生まれて良かったと本気で思いましたよ。

 しかしいくら自分が魔法を使えるとしても、この世界にも魔法使いはゴロゴロいません。寧ろ居るか居ないか分からない存在で極々稀にどこそこで魔法使いが現れたらしい、というくらいです。なので僕の存在は秘密でお願いしますね。面倒なことに成りかねないですし。

 それからファンタジーだなと思ったのは『魔法』ともう一つあります。それはこの世界が現実であって現実ではないという部分があることです。

 え、意味が解らない? 大丈夫、今から説明しますよ。

 それはですね、

 ――ピピピピピピピピピピピピッ

 ああ! もうそんな時間になりましたか。すいません、今日は僕がこの世に生まれてから絶対に外せない用事があってタイマーをセットしていたのですが、どうやら時間になったようです。

 出かける準備をしなくてはならないので説明は一旦ここで終わりにしますね。まあさっきの答えはこれからの展開から解ると思うので文句は言わないで頂けると嬉しいです。

 はてさて。準備はと、愛用のネイビーのローブを着て、フードを目深にまでしっかり被り、日本で言う菜箸くらいの長さの愛用の杖を持って、準備完了!

 それではパッと行ってパッと帰って来ましょう!


「――転移『シンデレラのいる屋敷』!」


*****


 はい。無事屋敷の誰も居ない庭に転移出来ました。お、しかも丁度良いところに窓がありますね。そこから中を窺っちゃいましょう。

「……どれどれっと」

 バレないように姿を魔法で消して、それでもこっそりしつつ中を覗きます。中では四人の女の人がバタバタと騒がしくしていました。

 いえ、正確には『バタバタ』しているのは一人の少女で、『騒がしく』しているのは一人の女と二人の少女(まあギリギリかな)でした。

「うわ。ここまで『物語』通りなんですか……」

 思わず顔を顰めて呟きました。

 屋敷の中では「ちょっとあのドレスはどこ!?」や「欲しいのはこのネックレスじゃないわよ!」とか「早くしなさいよこの愚図!」って言葉が飛び交い、それに対して「すみません! 今用意します!」という言葉がずっと聞こえます。

 ふむ。この光景を例えますと、コキ使われる美少女と煩い厚化粧オバケの三人組って感じです。……ああ、そのまんまでしたね。

 ――これまでの話で大体予想ついている人もいると思いますが、ここはかつての世界で有名な童話だった『シンデレラ』の世界だそうです。なので目の前の人達は『シンデレラ』と『意地悪な継母と義姉達』で僕の役目は『シンデレラ』を助ける『親切な魔法使い』って訳です。親切な、ですよ? ここ重要ですから。

 何故この世界が『シンデレラ』の舞台と解ったのかは僕自身良く分かりません。ただ生まれてから漠然と解っていたようなんです。自分の『役目』を。

 正直、面倒だから無視しようかなとは思いました。物語の中に転生したと言ってもここは現実です。『シンデレラ』のような少女はこの世界では特に珍しくないようですし、僕には関係ないじゃん、と。でも一度気になると無視できない性格だったようで、仕方なく『親切な魔法使い』の役目を請け負うことにしました。あー僕って本当に親切。

 それからは『シンデレラ』の居場所とかのアレやコレを調べてずっと待機してました。

 そして今日、やっと『シンデレラ』で重要な『舞踏会』の開催日になりました。やれやれです。あ、どのくらい待ったかは秘密ですよ? 歳がバレてしまいますから。

 ……っと、そうこうしている内にいつの間にか中が静かになっていました。どうやら例の親子は舞踏会に行ったようですね。

 また中をソーッと窺うと『シンデレラ』――彼女は手で顔を覆って俯いています。泣いているのでしょうか。

 よし、それではやっと僕の出番ですね! 張り切って『役目』をやらせてもらいましょう。




「こんばんは、『シンデレラ』」

 彼女に気付かれないよう小転移で背後に音も無く移動し、声を掛けました。

 すると当然のように彼女の肩が大きく揺れ、ゆっくりと振り向きました。おお、近くで見ると本当に美少女ですね。たまに水晶越しで視ていましたが、やっぱり生は違いますね。……え? 言い方が変態っぽい? 失礼な。

「……う…………あ、あ……」

 彼女は目を極限まで見開き、口をパクパクさせています。そりゃあ暗い色のローブを来た不審者が(しかもまだフードは目深まで被っていますし)背後に音も無くいたら驚きますよねえ。

 ボクはまだ声にならない声を出している彼女を尻目にフードを下げて顔を見せます。そして安心させるようににっこりと微笑みます。混乱してる内に丸め込んじゃえっていうやつです。

「突然でびっくりしてると思うけど僕は通りすがりの『魔法使「よっしゃあああああああ!」

 びくっ!

 え、え? 何故か僕のセリフに雄叫びと言うしかない叫びを被せてきたんですが。

「え、ちょ、シ、『シンデレラ』……?」

「本当に『魔法使い』が来たわ! しかもイケメンじゃない! 皺くちゃの婆ちゃんだったらどうしようと思ってたのよー!」

 ……………………ホワイ?

 一瞬にして頭の中が疑問符だらけになりました。けれどそんな僕などお構いなしにほくほく顔の彼女は嬉しくて堪らないという感じで呟きます。

「もうすっごい好みド真ん中! 今まで我慢してて良かったわー。『シンデレラ』の世界も悪くないわ!」

 …………おおっと、もしかして彼女は――って。

「君には色々訊きたいことがありますが取り敢えず、何でジリジリ近付いて来るんですか? 手、何かワキワキしてますよ!?」

 目がギラギラして今にも飛び掛かって来そうな雰囲気の彼女。怖いんですけど!? さっきまでの弱々しくて儚そうな『シンデレラ』はどこに行ったんですか!

「細かいことは気にしないで頂戴」

「細かくないですが!?」

「まあとにかく全部話は横に置いておいて、覚悟しなさい?」

「いやいやいや、まずは話し合うべきと思います! と言うか何の覚悟ですか!?」

 彼女が一歩前へ出れば僕は後ろへ一歩、と静かな攻防をしていたらトンッと背中に壁が当たりました。もう後がない!

「こうなったら魔法で動きを……って、うわっ!」

 手に持っていた杖を彼女に向けた途端、避ける間もなく手を蹴られ遠くに杖が飛んで行きます。『シンデレラ』が武闘派なんて聞いてませんよ!?

 焦る僕に対して誰もが見惚れるような顔でにやりと笑ってくる彼女。

「私体術得意なの」

 これはヤバい。色々とヤバい展開です!

「ストップ! とにかくストップ!」

「止まれません。それとこの世界は英語圏じゃないので通じません」

「あなたには通じてるじゃないですか! ちょ、まっ、あっ―――――!」


*****


 この後、僕と彼女はどうなったのかは秘密にさせて頂きます。

 でも敢えて言うのなら、その日の『舞踏会』だけではなくそれ以降もずっと『シンデレラ』が城に訪れることはありませんでした。



 …………どうしてこうなった!?

・僕こと『魔法使い』


 前世が日本人の僕。名前は考えていたけれど都合によりカット。(そして忘れてしまったよ……)

 前世の影響もあるのか魔法が大好きで魔法の研究も大好き。でも魔法使いだと世間バレたら面倒なので現在は人里離れた森の中で引きこもり生活。大体自給自足で暮らしてる。

 見た目は青年だけど実は魔力のせいでとっても長生きさん。けれど長年人と関わらない暮らしをしているためそんなにおじいちゃんっぽくない。

 今後は『シンデレラ』と仲良く幸せに暮らす。



・彼女こと『シンデレラ』


 彼女も実は前世の記憶持ち。けれど最初から何となくでも解っていた『魔法使い』と違い、段々思い出していった。

 本文中ではなかなか愉快そうな性格っぽいけれど、これは紆余曲折の末の性格。小さい頃は記憶もないし普通の病弱のご令嬢さんだった。かなり苦労してる。(*詳しくは彼女視点の話で書きますねー)

 今後あの家を出て、ものぐさな『魔法使い』に呆れながらも楽しく幸せに暮らす。


 因みに彼女は頻繁に街に行く。僕も連れ出される。そのためそこそこ人と関わるようになって必要最低限な生活にさよならをした。


*****


 と、言う感じじゃないですかね。二人は。


 あーあと、実はこの世界『シンデレラ』だけじゃなく『人魚姫』やら『白雪姫』やらの童話も交じってます。飽く迄も現実ではありますが。僕が言っていた“稀に現れる魔法使い”とはこの物語の人達のこと。記憶があるかは謎。――という裏設定があったりします。まあどうでもいいですね!


 読了ありがとうございました!

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