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第百九十二話

大変、大変長らくお待たせいたしました。

時間が無かったわけではありませんが、

なかなか話が思いつかず、ついつい先延ばしになってしまいました。


では、本編をお楽しみください。


「無駄だ!!」


 迫りくるシャンテの姿を睨みつけ、サイフェルはシャンテの攻撃を前方に展開したシールドで迎え撃とうとする。


 シャンテとミンティが行動を起こしていることをサイフェルは気付いていた。しかし、弱っている人間など関係ないと無視していた。


 どうせ何も出来ないだろう。出来たとしてもせいぜいブラッドに対する援護程度だろう。


 だが、蓋を開けてみれば、シャンテは必殺の一撃を放ってきた。


「うおおおおおおおお!!」


 穂先に力を集中させ、サイフェルの心臓を狙う。


 そして、槍はサイフェルのシールドを簡単に突き破り、サイフェルの心臓を突き刺した。


「ぐふっ!?」


 いつもならシールドが破られたとしても、シャンテの槍を防御することは出来ただろう。


 しかし、それは万全の状態ならばの話だ。シールドが破られた以上、物理的に槍を受け止めなければならない。


 直前にブラッドによってサイフェルの右腕は斬り落とされ、防御することが出来なかった。


 心臓を貫かれたサイフェルはそのまま後ろへと倒れていく。


「……………………」


「倒せた…………のか?」


 ピクリとも動かないサイフェル。心臓は完全に活動を停止させ、身体からは魔力が感じられない。


 数秒間再び動き出さないかを警戒するが、どうやら大丈夫だと確信し、シャンテは槍で支えていた身体から力を抜いた。


 仰向けに倒れたシャンテの傍に左腕の止血を終えたブラッドが座った。


「ボロボロだな」


「お互い、ね」


 そんな二人の元にふらつきながらもミンティが走ってきた。すぐさま治癒の紋章術を発動させる。


「…………繋がらない」


「仕方ねえ。命があるだけで充分だ」


 魔力や氣の回復は出来なくとも、怪我については徐々に回復していく。


 だが、ブラッドの左腕は繋げることが出来なかった。サイフェルの剣で斬られた切断面はとても綺麗だが、切断面の細胞は変質しており、紋章術ではどうしようもなかった。


 斬り落とされた左腕を布で包み、ブラッドは乱暴に持ち上げた。


「よし、先に進むか!」


「いやいや!?」


「すぐには無理です!! 行っても足手纏いになるだけですよ!!」


 立ち上がり、勢いそのままに先へ進もうとするブラッドを全力で止める二人。動けないことは無いが、戦えるだけの魔力も氣も残っていない。


 二人の疲労度を確認して、ブラッドは溜息を洩らした。


「…………全く、鍛え方が足りねえぞ」


『あんた(あなた)がタフすぎるんだ(です)!!』






「はああああああああ!!」


「でああああああああ!!」


 ドガァァン!!


 拳と拳がぶつかり合う。凄まじいエネルギーを纏った拳同士がぶつかることによって衝撃波が生まれるが、切り離された空間には影響を及ぼさない。


 その衝撃にスレッドとノアの身体が反発するように後方へと吹き飛ぶ。すぐさま体勢を整え、相手を見つめる。


「どうやら、体調は問題ないようだね。嬉しいよ」


「ああ、今度こそ決着をつけてやる」


 先ほどの一撃を受け、ノアは嬉しそうに笑う。スレッドの力は以前よりも格段に上がっていて、今ならばノアも全力で戦うことが出来る。


 楽しめる戦いを前に嬉しさで笑みが濃くなっていく。


「さあ、全力を出してくれ」


「言われなくても!!」


 ここで出し惜しみは出来ない。スレッドは神器に刻まれた紋章を両の掌に浮かび上がらせ、勢いよく二つを重ね合わせた。


 ドン!!


 膨大なエネルギーがスレッドを包みこみ、衝撃によって生まれた風がノアの所にまで届いた。


 スレッドは更に周りの空間に紋章を幾つも展開させ、いつでも発動できるように準備を整えた。


「はあ!!」


 準備完了と同時にスレッドが飛び出した。足裏に展開した二つの紋章を重ねることで爆発させ、いつも以上のスピードを出す。


 通常ならば身体を痛めてしまうスピードでも、合体紋章と氣による身体強化で全く問題ない。そのまま体当たりするだけでSランクの魔物すら貫通してしまうほどの力がある。


 だが、相手は魔族だ。その程度で驚くことすらしない。


 しっかりと拳を握りしめ、ノアの頭目掛けて拳を放つ。紙一重で回避されるが、気にすることなく次は脇腹へと蹴りを入れる。


 ガッ!! ドガ!!


 蹴りは右手でガードされ、今度は反対にノアの蹴りがスレッドの頭へと放たれる。スレッドもノアの蹴りを手甲で受け止め、左の拳を腹へと放った。


「ふっ!!」


 ガード出来ないと悟ったノアはスレッドの拳を受け入れ、流れる様な動きで拳に合わせて後ろへと回るように飛んだ。


 地面に降り立ち、ノアは本当に嬉しそうに笑う。


「お見事。僕の攻撃をこれほどまでに受け止められるようになるなんて」


「お世辞はいい。さっさと本気を出せ」


「おや? 気付いていたのかい?」


 スレッドの言葉にノアは意外そうな顔をして、肩を竦めた。その姿に苛立ちを覚えそうになるが、焦っても仕方が無い。


 ノアは全力を出していなかった。いや、全力を出していないでは語弊がある。今の姿で出せる全力は出していたのだ。


 だが、本気を出していたわけではない。ノアの本気は魔族としての本来の姿にならないと出すことが出来ない。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 周囲の魔素を取り込み、自然体でその場に立つ。それだけで切り離された空間の全ての空気が変わった。


 グシャ!!


「ッ!?」


 次の瞬間、ノアは自分の左目に自らの指を突っ込み、抉るように瞳を取り出した。血が滴り落ちる瞳をそのままゆっくりと口から飲み込んだ。


 ドクン!! ドクン!!


 まるで飲み込んだ瞳が脈打つように、ノアの胸から鼓動が聞こえてきた。そして、瞳と魔族の核が融合し、一つの塊となった。


 融合した瞬間、ノアの魔力が一気に膨れ上がり、ノアの身体を纏った。


 いつもの姿と変わらない。しかし、ノアの姿はいつもと違って見えた。


「お待たせしてしまったようだね」


「この後待ち合わせがあるんだ。とっとと終わらせよう」



いかがでしたでしょうか?


次の更新ですが、次もいつになるか分かりません。

話が若干思いついていないのと、

就活が上手くいかずにやる気が少し落ちてしまっています。

ですが、どうにか気持ちを持ちあげて、頑張っていきます。

今回ほどではありませんが、少し長くなりますが、お待ちください<(_ _)>

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