第百九十話
大変長らくお待たせいたしました!!
まさか一カ月以上空くとは思ってもみませんでしたが、
どうにか更新することが出来そうです。
では、本編をお楽しみください
「ふん!!」
地面に突き刺した大剣を中心に円状へと衝撃波が広がっていく。激しい衝撃波は周りにいたゴーレムの巨体を破壊していく。ゴーレムの足元が粉々に砕け、すぐには動くことが出来そうにない。
「ギャアアアア!!」
迫りくるオークの胴体を一振りで切り裂き、ブラッドはサイフェルへと迫っていく。
「その程度の動きで当たると思うのか?」
迫りくるブラッド向けて、魔力の弾丸を高速で放つ。たった一つの弾丸で人体を粉々にするほどの威力がある弾丸が迫り、このままでは全ての弾丸が直撃する。
「はっ!! そっちこそ、舐めてんじゃねえのか!!」
ブラッドは大剣を振りかぶり、大剣に刻まれた紋章を発動寸前で待機させる。力を溜め、弾丸の軌道を冷静に見つめる。
頭の中でしっかりと計算しながら、大剣を振り下ろした。
紋章が発動し、地面に転がるゴーレムの破片がブラッドの前方に集まって壁を造っていく。そこに弾丸がぶつかり、壁は一瞬で破壊されていく。
だが、そのすぐ後に計算されたかのように岩が再び集まっていく。
(次の軌道は…………ここか!!)
再び大剣を振りかぶり、今発動している紋章と弾丸の軌道を計算に入れ、次の紋章を発動させた。
ブラッドは性格が豪快だが、戦いは意外と計算をしている部分がある。相手の動きや攻撃方法などを把握し、自身が出来る攻撃をどう効率よく放つかを考えながら戦っているのだ。
しかし、このままでは切りが無い。サイフェルの攻撃は止む気配を見せず、武器に付与された紋章とはいえ、無限に発動できるわけではない。
「さっさとくたばれ」
「よそ見をし過ぎだね」
「ッ!?」
魔力の弾丸を増やし、一気にブラッドを潰そうとした。そこに上方から声が聞こえてきた。
上に視線を向けると、そこには槍の先をサイフェルに向けて、重力に従って落ちてくるシャンテの姿があった。
シャンテは周りにいるゴーレムやオークを適度に倒しながら、サイフェルに気付かれない様に上空に飛び上がった。槍を天井に突き刺して支えとし、タイミングを見計らっていた。
そして、ブラッドを攻撃する瞬間にシャンテはサイフェルに向かって落ちていく。
ガキン!!
槍の穂先が見えない壁の様なものに遮られる。金属と金属がぶつかり合う様な音がして、シャンテの攻撃が防がれた。
「ガラ空きだぜ!!」
「はっ!!」
サイフェルの周りに浮かんでいる弾丸を回避しながら、ブラッドは大剣を横薙ぎに振るう。
だが、大剣はサイフェルの造り出した見えない壁に阻まれる。ブラッドは止められたことを気にすることなく、力で持って振り抜いた。
サイフェルはブラッドの馬鹿力で吹き飛ばされ、壁に激突した。ブラッドとシャンテは地面に降り立ち、サイフェルが吹き飛んだ場所を睨みながら武器を構える。
「フェイテス!!」
武器を構えるブラッドとシャンテにミンティは身体強化の紋章術をかける。光が二人の全身を覆い、二人は術が掛かったことを確認して全身に力を入れる。
「…………どうやら、舐めていたようだ」
砂埃が晴れていき、そこから無傷のサイフェルの姿があった。服についた埃を払い、眼鏡を外して地面に放り投げる。
辺りに魔力が渦巻いていく。周囲にある全ての魔素を身体に取り込んでいき、更にはゴーレムやオークの魔力すら吸収していく。
「はあぁぁぁぁ!!」
サイフェルの肌が赤く変化する。それと同時に周りの魔物は全て息絶えていく。
「…………こいつは、不味いな」
「厳しいねえ」
「これは、覚悟を決めないといけないみたいです」
見た目的には肌の色以外殆ど変化はない。それなのに、三人の額には汗が流れている。
肌を刺す様な魔力がサイフェルから発せられており、下手に動くことが出来ない。隙をどうにか探ってみるが、見付からない。
武器を持つ手に力が入る。
「とっとと、死ね」
『ッ!?』
気が付いたら、サイフェルはブラッドの目の前にいた。すぐさま大剣を前方に構え、盾の代わりにする。
バキン!!
「ぐあっ!?」
『リーダー!!』
たった一発。たった一発の拳でブラッドの大剣を真ん中から叩き折り、その勢いのままブラッドを後方へと吹き飛ばした。
吹き飛ばされたブラッドに二人は一瞬視線を向けた。その瞬間に凄まじい衝撃が二人の身体を吹き飛ばす。
何をされたのか分からない。それでも、一撃で動けなくなるほどのダメージが与えられた。
「ちっ!!」
「くぅ!!」
「あぅ…………」
ブラッドはどうにか立ち上がり、シャンテも何とか意識を保っていた。しかし、ミンティは気を失ってしまう。
仲間を気にしながらも、ブラッドは折られた大剣を強く握りながら、サイフェルに向き合う。
「そんなものでどうするつもりだ?」
ブラッドの持つ大剣は最早役に立たない。折れた刀身で叩くことも出来るが、サイフェルに効くわけもない。
ならば、戦える武器をこの場で造り出すしかない。
「…………ふん!!」
ブラッドは自身の氣を折れた大剣に集中させ、集まった氣が刃の形を造っていく。氣で造られた刃は密度を増していき、戦いに耐えるほどの硬度を生み出した。
無事に武器を造り出し、ブラッドは大剣を肩に担ぎながら不敵な笑みをサイフェルに向けた。
「まだまだ付き合ってもらうぜ」
「いいだろう。その心を折って、息の根を止めてやる」
サイフェルも不敵な笑みを浮かべると同時に、二人は勢いよく飛び出した。
いかがでしたでしょうか?
戦い方がパターン化しているような気もしており、
出来れば次の話でどうにかこれまでとは違うところを見せたいとは思います。
就活は上手くいっていませんが、次の更新は出来るだけ早めにしたいと思います。