第百八十九話
えー、今回は最後の方は賛否あると思います。
僕自身もどうしようか悩みましたが、
一応このままでいこうと思います。
「じゃあ、さっさと終わらせましょうかね」
アーノルドの相手をカイザーに任せ、カロリーナは紋章術の準備を開始した。
これから構築する紋章はかなり複雑なもので、カロリーナでも時間を掛けて集中しなければ完成させることすらできない。
(まずは、基盤の構築)
空中に円を描き、その中に古代文字が書かれていく。この円が基本となり、この外側に紋章術が構成されていく。
現代の紋章術は現代の文字を使用して展開される。古代から伝えられてきた紋章を普及させやすくするために研究を行ない、現代風にアレンジされた。
しかし、アレンジしたが故にその威力は低下してしまった。研究者達は現代の文字でどうにか元の紋章術の威力を引き出せないかを研究を続けている。
ならば、古代文字を使用すればいいのではないかと思われるが、そう簡単なものではない。
古代文字はかなり複雑で、簡単に解析できるものではない。また、解析は出来ても、紋章に組み込むには才能が必要だ。
(…………ここで圧縮)
円が五重になった時点で紋章を圧縮させる。圧縮された紋章は基本の円ほどまでの大きさまで小さくなった。圧縮が完了した時点で再びその周りに古代文字を展開させる。
カロリーナが展開させようとしている紋章は最終的に直径3メートルほどの大きさの紋章を基本の円に圧縮させることで完成する。
「……………………ふう」
正確に、確実に紋章を完成させていく。息を吐き、汗を拭いながら作業を続ける。
作業自体は展開・圧縮を繰り返すだけだが、紋章を完成させるのは難しい。古代文字を一文字でも間違えると、圧縮した瞬間に暴発し、辺り一帯を消滅させるだろう。
だからこそ、カロリーナは時間を掛けてでも慎重に完成させなければならない。
「さて……………………これで、完成!!」
最後の階層を展開し終える。しっかりと構成を確認し、圧縮を掛ける。完成した紋章を掌の上に移動させ、戦っているカイザーとアーノルドを確認する。
「カイザー!!」
完成を知らせるかのようにカイザーの名前だけを呼ぶ。
カロリーナの紋章が完成する少し前、カイザーは自身の剣に氣と魔力を纏わせる。
名剣と呼ばれたカイザーの剣は普通の剣とは比べ物にならないほど力の伝導率が高い。少しの氣と魔力を込めるだけで鋼を斬り裂くことが出来るほどだ。
剣を中段に構え、カイザーはアーノルドの全身を観察する。そして、瞬時の判断で距離を詰め、攻撃する。
ザシュ!!
「ギャアアアア!?」
刃がアーノルドの脇腹を斬り裂く。致命傷を与えるほどの傷ではないが、それでも先ほどよりも傷が深い。
突然の痛みにアーノルドは悲鳴を上げる。耳が痛くなるほどの大きさだが、カイザーは悲鳴を無視するように再び攻撃を加えていく。
次々攻撃を加え、多少なりともダメージを与えていくが、決定打にはならない。やはり、アーノルドを纏う魔力をどうにかしなければ倒せない。
「カイザー!!」
後方からカロリーナの声が聞こえた。それが準備の済んだ合図であり、アーノルドを倒すためにはカロリーナの紋章術が必要だ。
カイザーは振り向くことなく、カロリーナの気配を感じながら移動していく。同じパーティではなかったが、それでも共闘することもあった。
互いに戦い方を知り尽くしている。
「―――――――――!!」
カロリーナが近づいてくることに、アーノルドは本能で危険を感じたのか。腕を振り回しながらカロリーナを潰そうとする。
その攻撃を掻い潜りながら、カロリーナはアーノルドの懐、胴体の前に移動した。
「あんたに恨みは無いけど、冒険者なら覚悟はできてるだろ!!」
おそらくアーノルドはカロリーナの言葉を理解していないだろう。それでもアーノルドへ向けて言葉を放つ。
掌の紋章をアーノルドの胴体に当て、上に押し出した。数メートルはある巨体が軽々と上空に飛んでいき、ある一定の高さで止まった。
「さあ、終わりの時間だよ」
アーノルドと一緒に飛んでいった紋章を発動させる。圧縮されていた紋章は一気に解放され、アーノルドの全身を覆っていく。
紋章はアーノルドを覆う魔力に反応し、魔力を破壊していく。空中でどうにか紋章を逃れようともがくアーノルドだが、なすすべなく魔力の鎧が消え去った。
「では、終わりにするとしよう」
魔力の鎧が無くなったことを確認し、カイザーは上空のアーノルドを見据える。脚元に氣を集め、地面を勢いよく蹴った。
氣で強化された脚力はカイザーの身体をアーノルドの近くまで飛ばし、カイザーは剣を振るった。
ザン!!
刃はアーノルドの首を刈り取り、カイザーは胴体と共に地面に降りた。
「…………静かに眠れ」
微かに動く胴体を見下ろしながら、カイザーとカロリーナはアーノルドの冥福を静かに祈った。
ビク!! ビク!!
胴体と首が脈動し、変態していく。バキバキという音を鳴らしながら、肉と骨が変態していき、胴体は小さくなっていった。
そして、そこに残ったのはボロボロになった人間姿のアーノルドだった。
顔には恐怖と苦痛が彩られ、無理矢理改造された身体は所々あり得ない方向に曲がっている。
本来なら遺体を回収し、埋葬してやるのだが、二人にはそんな暇はない。少しだけ冥福を祈ると、二人は周りで暴れている魔物に対応するため、移動していった。
「……………………」
グシャ!!
物言わぬ死体は走っていたイノシシの様な魔物に踏まれ、地面に帰っていった。
いかがでしたでしょうか?
アーノルドの最後をどうしようかは最後まで迷いましたが、
あの場面で助けるのは違うかなと思い、
あのようにしてしまいました。
賛否はあると思いますが、
今はこのまま進めていきますので、
出来ればこれからも読んでやってください<(_ _)>