表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/202

第百八十八話


「ふんっ!!」


 ガキン!!


 素早くアーノルドへ近づき、カイザーは剣を振り下ろす。しかし、刃はアーノルドの肌を傷つけることなく、簡単に受け止められた。


 カイザーの攻撃は武器に圧縮された氣を纏わせ、圧倒的な切れ味で全てを切り捨てるものだ。普通の魔物ならば一撃で命を刈り取ることが出来る。


 だが、半魔族となったアーノルドには傷一つ付けることが出来ない。


「どうやら、魔力で強化されているようだな」


「厄介ね。魔力をどうにかしないと倒すことは難しいわ」


 アーノルドの身体は高濃度の魔力で覆われている。魔族の姿に変貌した段階でアーノルドの身体は強化されているが、魔力を纏うことによって更に強固になっている。


 魔力をどうにかしなければダメージを与えられない。


「カロリーナ、まだアレは使えるか?」


「舐めるんじゃないわよ。私に不可能は無いわ」


 不敵に笑い合い、二人は頷きだけで動き出した。






 カイザーは再びアーノルドと対峙する。しっかりと敵の動きを見定め、最低限の動きで攻撃を回避していく。


 気負うことなくアーノルドへ近づき、剣を振る。幾度か剣を振るい、僅かだが傷を付けていく。


 先ほどまでは刃が通らなかったのに、なぜ今度はダメージを与えられるのか。その理由は剣に纏った氣の上に魔力を上乗せさせ、密度を上げることによって切れ味を増しているからだ。


 氣と魔力を融合させることは至難の業だ。よほどのセンスと才能、たゆまぬ努力があって初めて可能にする。


 超一流の冒険者であったカイザーにしても、氣と魔力の融合は不可能だった。しかし、性質の異なる二つを重ねることはできた。


 ピキ。


「…………やはりか」


 だが、氣と魔力を重ねることによるデメリットも存在する。それが刃に入った罅だ。


 確かに攻撃力は格段に上昇する。強靭な肉体と膨大な魔力を持つアーノルドに傷を付けられてはいるが、その分武器に掛かる負担は相当なものだ。


 後一、二回も剣を振れば折れてしまうことは目に見えている。


 カイザーが持つ剣は業物と呼ばれるものではないが、それでも店で売っている剣よりは遥かに良いものだ。


 それでもカイザーの一撃には耐えられない。


「ふむ…………」


 予想通り刀身の半ば辺りで折れてしまった。手元に残った柄部分を捨て去り、辺りを見渡す。


 地面には様々なものが転がっている。冒険者や魔物の死体、瓦礫などが転がる中で、地面には冒険者が装備していた武器も転がっている。


 素早く移動し、地面に転がっている1本の剣を拾い、氣と魔力を重ねる。そのままアーノルドへ近づき、再び攻撃を続ける。


「ガアアアアッ!!」


 アーノルドもただ立っているだけではない。カイザーを攻撃しようと腕を振るうが、カイザーの移動速度についていけず、全く攻撃が当る気配がしない。


 パキン!!


 拾った剣は店で売っている普通の鋼の剣だ。その為一撃入れただけで折れてしまった。カイザーは気にすることなく再び剣を拾う。


 だが、このままではジリ貧だ。まともなダメージを与えられないのでは意味が無い。


(やはり、あの剣で無ければならんか…………)


 攻撃を繰り返しながらも、ダメージは与えられない。そんな中でカイザーは自身が昔使っていた剣を思い出していた。


 冒険者時代、カイザーは名工が鍛え上げた名剣を所持していた。世間ではあまり知られていない刀匠だったが、腕は確かで、カイザーは冒険者を引退するまでたった1本の剣で戦った。


 冒険者を辞めた時、その剣はカグラ家に預け、今は使っていなかった。


 今回の戦いに際して、カイザーはカグラ家に預けた剣を修理に出そうとしたが、剣を鍛えた刀匠は既に無くなっていた。


 その為、仕方なくギルドが用意した剣を使用していたのだ。


「カイザーさん!!」


 ヒュン!!


 自分を呼ぶ声と共に何かが飛んでくる。一緒何かの攻撃かと考えたが、飛んでくるものを見て、自分からキャッチに向かった。


「まさか…………」


 飛んできたもの、それはカイザーにとって懐かしいものだった。だが、懐かしさに浸っている暇は無い。すぐさまそれを抜き出し、迫りくる拳に対して振り抜いた。


「…………どうやら本物の様だな」


 飛んできたもの、それはもしもの為にとリカルドへ預けていた自身の剣だった。剣は拳に深々と傷をつけ、その痛みにアーノルドは悲鳴の様な声を上げながら後退した。


 その隙にカイザーの元へ剣を投げたソルが近寄ってきた。


「間に合ってよかった」


「なぜこの剣がここに? しかも、完璧な状態で…………」


「この剣を鍛えた刀匠は亡くなっていたのですが、その後を継いだ息子の所在が判明しまして。技術的にも問題ありませんでしたので、ギルドから依頼して鍛え直していただきました」


「そうか…………」


 刀身の輝きを見つめながら、冒険者時代を思い出す。楽しかったことや辛かったこと、悲しんだことなど多くの記憶が浮かんでは消えていく。


「助かった。ありがとう」


「いえ。では、私は後方での指示がありますので」


「ああ、私たちもすぐに終わらせて、他を手助けするとしよう」


 そう言ってソルは街の方へと走り去っていった。その姿を見送ることなく、カイザーはアーノルドへ向けて剣を構えた。


「さあ、ここからが本番だ」


「――――――――!?」


 不敵な笑みを浮かべながら、全身から覇気を放つ。その威圧感にアーノルドは獣の様な叫び声を上げた。


大変お待たせしておりました。

最近は構成が思い浮かばないのもありますが、

ゲームの方に若干をウエイトおいてしまい、

滞っておました。

次は早めに更新できるように頑張りたいですが、

どうも頭になかなか下りてこないので、

またまたお待たせしてしまうかもしれませんが、

この作品も後少しですので、頑張ってまいります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ