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第百八十五話

大変、大変お待たせしました!!

やっと試験も終わり、更新することが出来ました。

あまりここでぐだぐだ述べてもしょうがありませんので、

さっそく本編に参りましょう。


では、お楽しみください!!


(ああ…………ここで終わりか)


 振り下ろされる影の槍を見つめながら、ナディーネは自分の最後を確信していた。


 最早打つ手は無い。ダメージが大きく、すぐには動けない。更に手には銃が握られていない。先ほどの攻防でどこかへ落としてしまった。


 銃のないナディーネには他に攻撃方法が無い。多少の護身術程度なら何とかなるが、魔族相手に敵うわけもない。


 間もなく殺されるのに、なぜかナディーネの心は落ち着いていた。それは絶望からなのか、達観からなのか。自分でも分からないほど冷静に影の槍を眺めていた。


 ナディーネはゆっくりと目を瞑り、槍が降ろされるのを待った。


 ガキン!!


 だが、槍はナディーネまで届かなかった。


「ナディーネ、しっかりしろ!!」


「…………ヴィンセンテ、貴方!?」


 目を開くと、ヴィンセンテがナディーネとラファエーレの間に立ち、大剣を盾にして影の槍を受け止めていた。


 そんな姿を見て、ナディーネは目を見開いて驚き、次の瞬間には怒りを露わにしていた。


 その理由は、ヴィンセンテの状態にあった。






 ラファエーレの攻撃を受け、瓦礫に埋もれるヴィンセンテ。どうにか身体を動かそうと氣を身体に循環させる。だが、防御に氣を回し過ぎて立ち上がることが出来ないほど回復できない。


 それでもどうにか腕を動かし、腰の道具袋から小瓶を取り出す。


「後一本まで…………」


 その小瓶はナディーネ特製栄養剤。ヴィンセンテには2本渡されており、ナディーネからは2本までの服用が許されていた。


 栄養剤は確かに限界以上の力を引き出し、氣を回復させてくれる。これを飲めば、まだ戦うことが出来る。


 しかし、必ずしもメリットばかりではない。限界以上の力を引き出す以上、副作用が存在する。使用後は活性化させた細胞が破壊され、下手をすると死ぬ恐れさえある。


 それでも、ラファエーレを倒すためには飲むしかない。


「ッ!?」


 決意した瞬間、ラファエーレが影の槍を振り上げ、ナディーネを狙っているのが見えた。すぐさま小瓶の蓋を開け、一気に飲み干す。


 飲み干した瞬間に身体に力が入り、氣の量が回復した。どうにか立ち上がり、落とした大剣の位置を確認する。幸いそこまで遠くまで落ちていない。


 このままナディーネの元に向かえば、盾になることぐらいは出来るだろう。しかし、反撃できなければ、二人とも直ぐに始末されてしまう。


(やっぱり、飲むしかない…………)


 ならば、戦える身体になればいい。ヴィンセンテは腰の道具袋から3本目の小瓶を取り出した。それはヴィンセンテがナディーネには内緒で用意していた栄養剤だ。


 これを飲めば、栄養剤の力に身体が耐えられなくなるだろう。2本目ですら身体に違和感を覚えるのだ。


 それでもヴィンセンテは躊躇することなく、3本目を飲み干した。


「ッッッッッッッッ!?」


 無理矢理引き出された氣が全身を駆け巡り、感覚が鋭くなっていく気がする。


 身体の違和感を覚えながらも、ヴィンセンテは行動を開始する。いつもの倍以上のスピードで落とした大剣を拾い、すぐさまナディーネとラファエーレの間に飛び込んだ。






「あれほど飲むなといったのに!!」


「話しは後だ。今は――――奴を倒す!!」


 ナディーネの怒りを感じながらも、ヴィンセンテは大剣を振るう。ラファエーレはこれまでとは違い、大剣を受け止めるのではなく回避した。


「…………つくづく、人間とは度し難い」


 後方へと一歩下がり、影の槍を剣へと変化させた。


 ラファエーレはヴィンセンテの姿を観察しながら、スレッドとの戦いを思い出していた。


 リディア共和国で『竜の血』を飲んだスレッドとの戦い。勝つために自分の身を犠牲にして、決死の覚悟で戦う姿は一瞬とはいえラファエーレを恐れさせた。


 人間の底力は侮れない。ラファエーレは気を引き締め、魔力を身体に圧縮させていく。


「はっ!!」


 刀身に氣を纏わせ、上段から大剣を振り下ろす。振り下ろすスピードもいつもより早く、ラファエーレは影の剣でどうにか受け止める。


 ヴィンセンテは大剣を滑らす様に腰の位置まで移動させ、腰の回転を入れながらラファエーレの脇腹目掛けて振り抜く。


 影の剣で受け止めようとするが、受け止めきれずに剣は破壊される。その勢いのままラファエーレは吹き飛ばされた。


「ふう…………」


 軽く息を吐き、身体の奥から湧きあがって来る氣を循環させる。だが、あまりにも膨大な氣はすぐにでも暴発してしまいそうなほどだ。

 気をしっかり保たないと、荒ぶる力に内側から破裂してしまうだろう。


 吹き飛んだラファエーレを警戒しながら、ヴィンセンテは奥の手を出す為の準備に取り掛かる。


 少ない魔力を大剣へと流す。大剣に刻まれた紋章が輝き出し、大剣はその姿を変えていく。パズルのように変形していき、二本の剣へと分解された。


「…………この一撃に全てを掛ける」


「いいだろう。その一撃も含めて貴様の全てを撃ち砕いてやろう」


 ラファエーレは埃を払い、ヴィンセンテを見据える。どのような攻撃が来ようとも、問題ないとでも言う様に構えも取らない。


 ありったけの氣を二本の剣に込める。防御を無視して、全てを次の攻撃に掛ける。


「…………いくぞ!!」


 足に集めた氣を爆発させ、一気にラファエーレへと迫る。そのスピードを攻撃に乗せ、ヴィンセンテは二本の剣を同時に振るった。


「クロス・ブレード!!」


 クロスで振り下ろされた剣はラファエーレのシールドに阻まれる。だが、ヴィンセンテは諦めることなく、全力で押しきろうと力を込める。


「くっ!!」


 対するラファエーレも全力でシールドを維持する。全てを掛けたヴィンセンテの攻撃は油断を持って防げるものではない。


 ここで破壊されれば危険である。ラファエーレの本能が告げていた。


 力が拮抗している。だが、このままいけばヴィンセンテの方が先に力尽きるだろう。


(…………ここまで、なのか!!)


 無理矢理引き出した氣も尽きようとしている。シールドも若干力が弱まっている。後少しでラファエーレまで刃が届きそうなのに、栄養剤の効果が限界を超えようとしていた。


 それでも諦めることなく力を込めると、ヴィンセンテの後ろから隙間を縫うように何かがラファエーレに向けて飛んでいく。


 パキン!!


「さっさと決めなさいよ、ヴィンセンテ!!」


「!? ああ!!」


 ラファエーレのシールドを破壊したのは、ナディーネの銃から放たれた弾丸だった。




 弾丸には力を無効化させる古代紋章が刻まれていた。この特殊な弾丸はギルドから提供されたもので、世界でもたった一つしかない貴重なものだ。


 古代の遺跡の奥から発見されたもので、ギルドの倉庫で厳重に封印されていた。


 使用することに反対する者もいたが、それでも魔族との戦いに出し惜しみは出来ない。反対する者を押し切り、カロリーナは倉庫の封印を解いた。




 シールドが破壊され、ヴィンセンテはラファエーレの懐に入り込み。剣を掴んでいる両手に力を込め、生命力を氣へと変換させる。切れ味を極限まで高め、二本の剣を振るう。


 ザシュ!!


 まさかたった一発の弾丸にシールドを破壊されると思わなかったラファエーレは一瞬動きを止めてしまった。


 振るわれた剣はラファエーレの両腕を斬り落とし、ヴィンセンテは手を交差して振り上げた。


「これで、終わりだ!!」


 再びクロスに降ろされた剣がラファエーレの身体を斬り裂く。ヴィンセンテの渾身の一撃を受けたラファエーレは、ゆっくりと地面に倒れていった。



いかがだったでしょうか?

本当言うと、戦いの後のところも書こうとしたのですが、

ひとまずここで区切りました。

もしかしたら、次回の更新の際にこの話数に付け足すかもしれませんが、

その場合は前書きでお知らせしますので、

そちらから読んでください。


さて、試験の感じなどは活動報告でするとして、

今後についてお知らせします。

一応公務員試験の勉強は終わりましたが、

引き続き簿記の勉強を再開します。

ですが、そこそこ時間も出来ますので、

頑張って更新していこうと思います。


それと今後活動報告も一応日曜更新を続けていくつもりですので、

気が向いたら小説だけでなくそっちも見てやってください<(_ _)>

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