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第百八十一話

今回タイトルが決まりませんでしたので、

思いついたら付けることにします。


 1階を通り抜け、スレッド達は魔王城の2階へ進む。


「お出ましだぜ」


 2階へ辿り着くと、そこには敵が待ち受けていた。


 まず目に入ってきたのは、十数体の巨大なゴーレム。岩で構成された人型のゴーレムはゆっくりとした動きでスレッド達へ近づいてくる。巨大な拳を振り上げ、重力に従って拳を振り下ろす。


 ズドォォン!!


「…………当たれば一撃で終わりだな」


 ゴーレムの拳は床にクレーターを作り上げるほどの威力があるが、動きは遅い。素早く回避して、スレッドはゴーレムの懐に入り込む。氣を右手に集中させ、しっかりとゴーレムを観察する。


「…………ここだ!!」


 右の拳をゴーレムの腹へ叩きつける。氣を一気に爆発させ、ゴーレムの表面を破壊する。そして、ゴーレムは後ろ向きに倒れた。


「おいおい。すげえな」


「どうやって倒したのですか?」


 すぐさま仲間の元に移動するスレッド。まさか一撃でゴーレムを倒すとは思っていなかった。ブラッドとシャンテは驚きながらも、ゴーレムの倒し方を教わる。


「ゴーレムは紋章で動いている。紋章は胴体に刻まれてるから、そいつを破壊しただけだ」


「…………あれだけで普通は破壊できるわけありませんよー」


 スレッドの説明を正確に把握できたミンティは、苦笑いをしながらスレッドの言動と行動に呆れていた。


 ゴーレムは胴体に刻まれた紋章が周囲の魔素を取り込んで起動している。魔素を取り込めば取り込むほどゴーレムは攻撃力・防御力共に強力になる。


 魔王城は特に魔素の濃度が高い。スレッド達も月のしずくが無ければ長時間この場にいられないほどだ。

 それほどの魔素を取り込んでいるのだ。普通の攻撃では傷つけることなど出来ない。


 故にスレッドはゴーレム自体を破壊するのではなく、ゴーレムを動かしている紋章を破壊することでゴーレムを倒した。


「紋章は同じ場所にあるのか?」


「…………ああ。どれも胴体に刻まれているようだ」


 ブラッドはゴーレムに刻まれた紋章の位置をスレッドに尋ねる。紋章術師ではないブラッドではゴーレムの紋章を確認することは出来ない。


 だが、紋章を破壊出来ないわけではない。


「こいつで、どうだ!!」


 ブラッドはゴーレムの懐に入り込み、迫って来る拳を大剣で受け流す。ゴーレムの攻撃を回避したところで大剣をゴーレムの胴体に叩きつけた。


 紋章が刻まれた個所は粉々に砕けていく。ゴーレムの心臓とも言える紋章が刻まれた個所は最も防御力が高い場所のはずだが、ブラッドには関係なかった様だ。


「うちのリーダーもある意味でたらめだね」


「まだまだ来るぞ!!」


 あまりの破壊力に同じパーティであるシャンテもブラッドの力に呆れてしまう。しかし、呆れてばかりもいれられない。敵はゴーレムだけではない。


 ゴーレムの後ろには部屋を埋め尽くすほどのオークが控えている。人間の2倍以上の大きさがあり、攻撃力はゴーレムに負けるとも劣らない。


 更に若干だが知能を有している。ゴーレムの様な単調な動きではなく、こちらの攻撃に合わせて動いてくる。


「どうやってここを通り抜けるか…………」




「お前達はここから先には進めない」


『!?』




 聞こえてきた声に警戒する。どうやら敵は突然話しかけるのが定番の様だ。


 ゴーレムの前にある空間に亀裂が走る。亀裂から手が伸びてきて、強引に空間を開いていく。


 亀裂の中からサイフェルが姿を現した。その後ろには亀裂の先が見える。


「お前、何をしていた?」


「何、一仕事終えたところだ」


 スレッドが亀裂の先を睨みながら尋ねる。対するサイフェルはスレッド達をあざ笑うかの様に答える。


 亀裂の先に見えたものは、現在魔物の侵攻を防いでいるリュディオンの街の光景だった。






 時間はスレッド達が魔王領へと侵入した頃に遡る。


「てめえら、気合い入れろよ!!」


 人間界と魔王領を隔てる結界の前に冒険者や兵士が武器を構える。間もなくやって来る魔物の群れに自然と力が入る。


 森の奥から地響きが聞こえてくる。その音の大きさから魔物がかつてないほどの量だと分かる。


 誰もが緊張する中、ザックが冒険者達へ喝を入れる。大剣を掲げ、これからの戦いに向けて鼓舞する。


「…………来たぞ!!」


 砂煙が森を抜け、大量の魔物が現れた。その勢いは凄まじく、ランクの低い冒険者や新米の兵士は震えが止まらなかった。


 少しずつ距離が縮まって来る。剣士たちは己の武器を構え、紋章術師は紋章を展開する。


「全員、死ぬんじゃねえぞ!!」


 全身を氣で強化させ、ザックは魔物の群れに向かっていった。






 戦いは激化していく。魔王領の魔物は強力で、その上次々に湧いて出てくる。冒険者の一人が剣で魔物を突き刺し、紋章術師が広範囲の紋章術で魔物を焼いていく。


 その横では冒険者が魔物の角に身体を貫かれ、兵士がドラゴンの炎に焼かれて溶けていく。


 戦場には多くの血が流れ、双方命を落としていく。


 そんな戦場の上空に亀裂が走る。亀裂に大きな手が掛かる。亀裂は強引に引き裂かれ、そこから巨人が現れた。


 巨人は普通の人間の三倍ほどの大きさ、紅い目、鋭い牙を生やしている。明らかに魔物にしか見えないのに、どこかしら人間を思わせるような雰囲気を漂わせている。


 ドン!!


 巨人は重力に従って地面に落ちた。その下には巨体に押し潰された冒険者や兵士が一瞬で命を落とし、落下した衝撃で人間と魔物を纏めて吹き飛ばされた。


 突然現れた巨人に戦場が一瞬静まり返る。


 そんな静けさなど関係無いかの如く、巨人は周りにいる生物全てを両腕で薙ぎ払い、その巨体で押し潰す。


「ちっ!! 攻撃が効かねえ!!」


「うわぁー!!」


「た、たすけてくれ!!」


 数人の高ランク冒険者がどうにか攻撃を加えていくが、全く歯が立たない。冒険者の攻撃など気にしないように、巨人は逃げていく人間を殺していく。


「やめてくれーー!!」


 一人の冒険者が捕まった。巨大な手で身体を掴まれ、食べられようとしていた。


 絶体絶命、最早助からないと誰もが考えた。しかし、冒険者は巨人の口に入らなかった。


「ギャアアアアアアアア!!」


 圧縮された空気の塊が巨人の脇腹に直撃し、その衝撃に巨人は悶絶する。掴んでいた冒険者を放し、攻撃を加えた者を睨みつけた。


「どうやら、多少の理性があるようだね」


「さっさと終わらせるぞ」


 巨人が睨みつけた先には、カロリーナとカイザーが巨人に向けて戦闘準備を整えていた。



さて、現れた巨人は誰なのか!?

って、読者の皆様には簡単な問題ですね^^;


さて、次回の更新ですが、更新できればいいのですが、

おそらく来週はお休みすると思います。

色々と予定が詰まっていますので、

合間に書いて更新できたら更新します。

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