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第百七十八話「決戦前夜 下」


『乾杯』


 スレッドとミズハ、ブレアはモルゼンの外壁の上に料理や酒を用意して、決戦前最後の食事を行なっていた。


 酒の注がれたグラスを鳴らし、一気に飲み干す。ちなみに用意された酒はブラッド達が飲んでいるのと同じ、ギルドが用意した最高級の酒だ。


 食事もリーネに作って貰ったものやミズハとブレアが頑張って作ったものもある。ミズハ達が作ったものはリーネの作ったものに比べると多少見劣りするが、それでも味に自身はあった。


「ガツガツガツ!!」


《ライア、あまりがっつくな》


 スレッド達の料理とは別に、ライアと白夜用の料理も用意されている。料理とは言っても、肉を焼いただけとか簡易なものだが、食材は最高級品だ。


 凄まじい勢いで喰らうライアを白夜が諌めるが、白夜もしっかりと自分の分を確保しているところを見ると、本気では言っていないようだ。


「まさか、あの時からこんな状況になるなんてな」


 ミズハはグラスを片手に外壁の外側を見下ろす。そこには何も無い平原とその奥に森が見える。


 その森でミズハはスレッドと出会い、平原でブレアはスレッド達と戦った。そのことがなければ、二人ともこの場にいなかったかもしれない。


「あれから色々あった」


 いつもなら食事の手が止まらないブレアだが、今日はゆったりと食事を楽しんでいた。


 ブレアもミズハと同じように外壁の外側を見つめている。当時の事を思い出し、そこからの冒険を続けて思い出す。


 バルゼンド帝国でジョアンを助けたり、ミズハの結婚騒動に巻き込まれた。武術大会に出場もしたし、魔王領を探索したりもした。


 その中でスレッド達は力を付け、互いの絆を強めてきた。


「本当に色んな事があった…………」


 満天に輝く星を眺めながら、スレッドもこれまでの事を思い出していた。


 育ての親であるフォルスが亡くなって山を降り、ミズハやブレアと出会った。それまでの山暮らしでは決して経験できなかった事がとても新鮮で、大変なこともあったが楽しかった。


「…………ミズハ、ブレア」


「ん? どうした?」


「?」


「ありがとうな」


 突然名前を呼ばれてスレッドへ視線を向けると、スレッドは頭を下げながらお礼を告げた。


「ど、どうしたんだ!?」


「?」


 いきなりスレッドからお礼を言われ、戸惑うミズハと首を傾げるブレア。二人にはお礼を突然言われる理由は無い。驚かずにはいられない。


 頭を上げたスレッドの表情は真面目で、冗談を言っているわけではないようだ。


「二人がいたから、ここまでやってこれた。俺一人じゃ冒険者として上手くはいかなかったと思う」


 スレッドは世間の事を殆ど知ることなく山を降りた。降りた当時はどうにかなると楽観的に考えていたが、今から考えればかなり無謀な事をしていたのではと思えてきた。


 だからこそ、二人には感謝してもしきれない。


「…………そんなことないさ」


「てへへ」


 ミズハとブレアはスレッドの言葉に照れたように笑う。


「感謝したいのは私たちもだ。スレッドがいなければ、私達は冒険者を続けていられたかもわからない」


「スレッドが受け入れてくれてないと、私は駄目だったかもしれない」


 ミズハ達こそスレッドに感謝したかった。ミズハは実家の問題を解決してもらい、ブレアは自身の目の事を受け入れてもらった。


 他にもいろんな場面で助けられた。そして、二人はスレッドと一緒にいることで恋をすることを知った。


「結局、お互いに感謝し合っているってところか」


「だな」


「その通り」


 三人は笑いながらグラスを鳴らし、酒を飲み干す。用意された食事に手を付けていく。


「ん、これ旨いな」


 その中で手につけた料理を食べ、スレッドは感想を述べる。どうやらスレッドの口に合ったようだ。


「そ、そうか。それは良かった…………」


「む…………こっちも試食希望」


「お、サンキュー…………こっちも旨いな」


 ミズハとブレアは自分が作った料理をスレッドに差し出し、美味しいという感想に嬉しそうに微笑んでいた。






 料理も酒も殆ど食べ尽くし、スレッド達は残りの酒をしみじみと楽しんでいた。これを楽しめば、後は明日に向けてゆっくりと休むだけだ。


「とうとう、明日か…………」


「再び魔王領だな」


「私たちなら大丈夫」


 明日になれば女神ミストから与えられた翼が復活し、魔王領へと向かう。そこで魔族、そして魔王と対決する。


 これまでで最強の敵だろう。勝てる確率の方が低いかもしれない。最悪死もあり得るだろう。


 それでもスレッド達は止まらない。魔王を倒すための準備を行ない、後ろから支えてくれる人がいる。


 スレッド達が負ければ、人類の未来は無い。負けるわけには絶対にいかない。


「ガウ、ガウ!!」


《気負うでないぞ。余計な力は死を招く》


 大量の肉や野菜を食べ終えたライアと白夜も明日を見据えている。彼らは主人を護り抜く為に戦う。


「必ず勝って、もう一度この場所まで帰って来るぞ」


「ああ」


「おー」


「ガウ!!」


《勿論じゃ》


 互いの拳を当てながら、勝つことと再び戻ってくることを誓う。ここから先は強い意志を持って挑まなければならない。


 明朝、スレッド達は魔王領へ向かう。人類の未来を護るために。



お待たせしておりました。

やっと更新できました。

あまりいい出来ではありませんが、

一応これで行こうと思います。

改訂する場合は全てが終了してから行います。

次からやっと魔王領へ突入し、

魔王たちとの戦いになります。


さて、話は変わりますが、実は先日

宝くじを三千円分買っていたのですが、

見事当たりました!!…………三千円分^^;

まあマイナスにならなくてよかったですが、

買った意味があったのかどうか。

まあ数年ぶりに宝くじを買って、

良い夢が見れたような気がします(笑)

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