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第百七十話「神器」


『まさか、パーティ構成まで当てるなんて思わなかったよ』


 優しげな笑顔を浮かべたアルサムは、白を基調とした軽装備を纏っている。身に纏う覇気が映像越しとはいえ感じられる。

 後に戦神と呼ばれるだけの雰囲気を感じさせる。


 そして、一番特徴的なのはスレッドと同じ紅い髪と、スレッドがフォルスから受け継いだ手甲をしている。


『さすがミストの巫女ってところかしら』


 ブレアの眼の前にいる女性は面白そうにブレアの姿を眺めている。全身を黒で纏め、それとは対照的な白い髪が印象的だ。


 右手にはブレアの杖と同じものを持っているが、その頭にはめられている宝玉の色が違う。


 彼女の名前は、ルーファ・レーゲ。ありとあらゆる紋章術を操り、人々に魔女とまで呼ばれた術士。


 両目に『魔女の眼』を持つ女性。それが彼女である。


『久しぶりだな、白夜。元気そうだ』


《よもや、このような場所で逢うとは思わなんだよ、アリス》


 切れ長な目を細めながら、白夜にアリスと呼ばれた女性がミズハと白夜を眺めている。


 赤いドレスのような服を纏い、腰には一本の刀を差している。黒い長髪を腰まで伸ばし、黒の瞳が白夜を懐かしそうに見つめている。


 己の血に紋章を刻み込み、炎の力を手に入れたカグラ家初代当主。ミズハの目の前にいる人物、それがアリス・カグラである。






「…………まさか、アルサム様にお目にかかれるなんて」


 現れたアルサム達の立体映像にセリナは両手を組みながら祈っている。


 目の前に現れたのは、自分達が奉っている戦神だ。その姿を拝めたのだ。祈らずにはいられなかった。


『さて、本題に入ろう。どうやら、魔王が復活してしまったようだな』


「ああ、封印の石像が魔族に破壊されてしまった。すまない」


『気にすることは無い。相手は魔族、仕方のないことだ』


 先ほどの優しげな笑顔とは一転、アルサムは真剣な表情でスレッド達の言葉を聞いていた。封印が破壊され、どのようにして魔王が復活したのかを。


『…………そうか』


『でも、まだ何とかなりそうね。封印が解けて間もない今なら』


『ああ、奴を倒すことができるだろう』


 魔王は封印を解かれてからそれほど時間が経っていない。必ずしも万全の状態ではない。ルーファとアリスはどうにかなるだろうと確信していた。


「…………なぜ、そこまで言い切れるのですか?」


 どこか落ち着かない様な表情を見せながら、ミズハはアリスに尋ねた。


 アリスはミズハのご先祖様だ。それもカグラ一族最強とまで呼ばれた人物だ。ミズハも若干緊張しているようだ。


『君たちはここまで辿り着いた。神器を手に入れ、私達が力を貸すのだ。勝てないはずがない』


「しかし、神器は見当たらないだが…………」


『あるじゃない、目の前に』


 可笑しそうに笑いながら、ルーファが目の前を指差した。しかし、目の前には自分の杖が宙に浮かんでいるだけだ。


「…………もしかして、これが?」


『そ、私達が神様から渡された神器よ』


 突然のことに三人共呆然と自分達の武器を見つめる。まさか、いつも使っている武器が神器だと思いもしなかった。だが、ルーファが嘘をついているとも思えない。


『僕はルーファとアリス、二人とパーティを組んで魔王に挑んだ。魔王はあまりにも強大で、神の力を借りても封印するまでしか至らなかった』


 アルサムが語る真実は、その場の誰もが驚くべきものだった。


 突然現れた魔王によって世界は危機に陥った。魔の頂点に立つ魔王は強大な力と魔力、そして多くの魔族や魔物を従えて人間の生活を脅かした。


 それを憂いた神が当時冒険者として活動していたアルサム達に神器を与えた。


 その時点で既に大陸の南には魔物が跋扈する土地が形成されており、人間の近づける土地ではなくなっていた。


 アルサム達は神の力と「月のしずく」により魔王城へと乗り込み、魔王と戦った。そして、弱った魔王を神器の力で封印し、神が魔王の力を石像へと封印した。


『魔王を封印したことにより、神器の力も封印されてしまった。だが、魔王が復活してしまったからには、今更封印したままでいる理由は無い』


 神器へ手をかざし、それに合わせる様に他の二人も手をかざす。すると、中央の地面に刻まれた紋章が発動し、大量の魔力が神器に流れ込む。


 神器に施された封印が魔力によって解除され、その力が解放された。


 神器として本来の力を取り戻し、それぞれの元へと帰っていく。


「これが、神器」


 スレッドの手甲は装着した瞬間に手に馴染み、それまで刻まれていた紋章が無くなった。しかし、調べてみると新たな紋章が刻まれている。


 これまで見たことのない紋章だが、スレッドにはなぜか理解出来た。どのようにして発動させるのかも。


「まさか、私達が使っていた武器が神器だったなんて信じられないな」


 ミズハの刀は刻まれた紋章と炎の力が繋がる様な感覚があった。本来ならずっしりと重さを感じる刀なのに、まるでミズハの体型に合わせた様な重さに変化する。


 刀の力とミズハの力がお互いの力を引き出しあい、手にするだけで炎が溢れだしてくる。


「凄い力…………」


 そして、最も魔力が増大したのがブレアの杖である。ブレアの持つ杖は世界樹から造られおり、世界樹から切り取られても大量のマナと魔力を帯びている。


 世界樹の杖が紋章の魔力を吸収し、その魔力がブレアの力となっていく。


『もう一つ、これもあげる』


 優しく微笑みながら、ルーファはブレアに向けて紋章を展開する。立体映像のはずなのに、紋章は現在へと干渉していた。


「ッ!?」


 突然右目に魔力が集まり、右目を通してマナが見え始める。これまで左目だけに宿っていた魔女の眼が右目にも開眼された。


 更に杖から知識がブレアに流れ込んでくる。ルーファが持つ知識の一部がブレアの物になっていく。


 その中には魔女の眼を制御する為の方法が含まれていた。ブレアの両目は即座に制御され、暴走することは無かった。


 こうして、スレッド達は魔王を倒すための力を手に入れた。



一応次の話もアルサム達との話になります。


さて、ついに本日3月31日が仕事最終日となります。

思えば今の仕事に就いてから2年間。

たった2年間で2回の異動があり、3つの部署を経験しました。

事務の仕事というのはとても大変でしたが、

良い経験が出来ました。


まだ4月からの仕事は決まっていませんが、

1日からどんどん面接などを入れて、出来るだけ早く定職に就きたいです。


おそらく4月に入ってもそれほど更新は多くならないと思います。

それでも後少しですし、頑張っていきたいと思います。

これからもこの作品をよろしくお願いいたします<(_ _)>

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