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第百六十八話「魔王を倒すために…」


「…………さすがはフォルス。よくここまで調べたものだね」


 スレッド達は小屋から持ち帰った本をカロリーナに見せていた。


 ギルドに到着したスレッド達は職員へカロリーナへの面会を求めた。多忙なカロリーナはすぐに会うことはできず、会うことができたのは次の日になった。


 ギルドの応接室で現在のギルドの状況を確認して、魔王を倒すために必要な三つが記された本をカロリーナに見せた。


「まずは本に記されている三つを用意しないと」


 魔王を倒すために必要な三つ、『月のしずく』『神器』『翼』。フォルスの資料をいくら探しても、その三つがどこにあるのか記したものは無かった。


 だが、ギルドの情報網なら簡単に探し出せるのでは? そう考えたスレッド達はカロリーナからギルドへ情報収集を依頼した。


「『月のしずく』と『神器』に関してはどこにあるのか分かっている。だけど『翼』に関しては分からないね。他の資料になかったのかい?」


「隅々まで見たけど、無かった」


 小屋にいる間にブレアはフォルスが記した資料を全て読み漁り、全てを記憶した。


 その中には三つについての記載は一つもなかった。様々な紋章術や格闘術、薬に関する知識など役立つ知識は大量にあったが、ヒントになるものは無かった。


「とりあえず所在がはっきりしている二つを集めるしかないか…………引き続きスレッド達に依頼したい。大陸最大の神殿、アルサム神殿まで行って『神器』を手に入れてくれ」


「アルサム神殿…………そこに『神器』があるのか?」


「ある、とは言われているけどね。実際に私は見たことがないけど、神殿の司祭なら何か知っているかもしれない。とにかく行ってみるしかないのさ」


 戦神アルサムを祀った神殿、アルサム神殿はアーセル王国・バルゼンド帝国・リディア共和国の三国の国境が交わる位置に存在し、その場所は大陸の中心である。


 多くの人々がアルサムを祀り、年間多くの人々が足を運ぶ。この神殿は国境をまたいでいることもあるが、基本的には誰でも自由に入ることができる。


 神殿にはアルサムの像があり、その他にもアルサムに関する様々な遺品などが納められており、博物館の様な役割も担っている。


 そんな神殿には一般的に知られていない役割がある。それが『神器』の保管場所だ。

 アルサムが神から与えられた『神器』は神殿の奥に安置されており、アルサムの像による結界で魔の侵入を阻んでいる。


 しかし、長年安置されていると言われているが、現在では各国の代表であっても『神器』を見たことがない。


「司祭にはギルドから話を通しておくから、すぐにでも向かってくれ」


「『月のしずく』はどうするんです?」


 机の上にある書類に素早くサインを入れ、カロリーナは書類をミズハへと手渡した。この書類があれば『神器』が安置されている場所へと案内してもらえるはずだ。


 手渡された書類を確認しながら、ミズハは『月のしずく』をどうするのか尋ねた。必要ならば『神器』を手に入れた後に向かった方が早い。


「そっちはこちらで手に入れておく。大丈夫、信頼できる冒険者へ依頼するつもりだよ。『翼』についてはあんた達が帰って来るまでに必ず調べておくよ」


 スレッド達に全てを任せるわけにはいかないし、時間もない。時間を掛けていては凶暴化した魔物に大陸を支配されてしまう。


 人々の生活を護るためには、魔王を倒すしかないのだ。


「よろしく頼んだよ」


「ああ、任せてくれ」


 スレッド達はその足でアルサム神殿へと向かっていった。






「失礼します」


「失礼するぜ」


 スレッド達がギルドを出てから少し経った頃、カロリーナの事務室へ二人の男が入ってきた。


 対照的な挨拶をする二人の正体は、ヴィンセンテとブラッドだ。優男の印象が無くなったとはいえ、まだまだ男前なヴィンセンテ。黒い肌にがっちりとした筋肉を持つブラッド。


 ソファに座る仕草さえも対照的な二人だが、背負っている獲物が大変であることだけは共通していた。


「悪いね、わざわざ来てもらって」


 ペンを置き、書類から視線を上げる。職員へと連絡を入れ、これ以降は人を部屋に入れない様に指示をした。


「で、依頼ってのはなんだ?」


 世間話もなく、ブラッドはさっさと本題へと入る。そこにはいつもの余裕があまり見られなかった。


 それもそのはず。ブラッドは仲間と一緒にここに呼び出されるまで各地を回って魔物討伐を行なっていたのだ。凶暴化した魔物はブラッド達の実力でも苦戦するほど力が上昇している。


 今この瞬間にも各地で暴れているかと思うと、どうしても余裕が無くなってしまうのだ。


「魔王を討伐する為に必要なものが分かった」


『!?』


「そこで、あんた達にそれぞれ入手を依頼したい」


 カロリーナの言葉に驚きを隠せない二人。彼女の言葉は現在の状況を打破できる力を含んでいる。


「だったら、すぐにでも手に入れないと!!」


「まあ、落ち着きな。ちゃんと説明してあげるから」


 凄い勢いで喰いつヴィンセンテ。ヴィンセンテもブラッド同様に各地の魔物討伐に参加していた。その中で荒らされていく村の現状を嘆いていた。


 このままでは危険だと感じていたヴィンセンテは、起死回生の一手を待っていたのだ。


 二人を落ち着かせ、カロリーナは『月のしずく』と『翼』について説明する。また『神器』についても説明しておき、スレッド達の状況を合わせて説明した。


「そこで、それぞれのパーティへと依頼したい。ブラッド、あんた達には『月のしずく』を取ってきてもらいたい。場所はアーセル王国の北、大陸で最も高い山であるライディア山」


 アーセル王国の北には大陸一の山がある。その山は水晶の鉱山で、その地域では常に上空を雲が覆っている。


 しかし、夜になるとその雲は一斉に消えてなくなり、月の光だけが山の頂上に降り注ぐ。

 こうして月の光だけを浴びた水晶『月のしずく』が完成する。


「仕方ねえ。他の仕事もあるが、行ってやるよ」


 ライディア山はボルボ山同様に危険区域に指定されており、凶悪な魔物が数多く生息している。その為、採取が目的であっても、ランクの低い冒険者には依頼できない。


 それが分かっているからこそ、ブラッドはカロリーナからの依頼を受けた。


「僕が何をすれば?」


「ヴィンセンテ、あんたとあんたの相棒には『翼』に関しての情報を調べてもらいたい。勿論、あんたの家の力を使ってでも」


「…………分かりました」


 ヴィンセンテの実家が名家であることを知っているカロリーナ。彼があまり家の力を使いたくない事も分かってはいるが、今はそんなことも言っていられない。


 カロリーナが心苦しいことが分かっているからこそ、ヴィンセンテも依頼を了承した。


「ギルドの情報課へ連絡しておく。あんたの相棒の頭なら十分ギルドの情報を活かせるだろう」


「早速向かいます」


 ブラッドとヴィンセンテもカロリーナのサインが入った書類を受け取る。カロリーナのサインが入っているだけで、様々な制約が解除されるのだ。


 二人が部屋を出ていき、一人になったカロリーナはフォルスの本を開く。


「……………………」


 しばらくの間、カロリーナは書類仕事をすることなくフォルスの本を読んでいた。



えー、実は数話前から白夜の存在を作者本人が忘れているという

自体が発生しておりました(-_-;)


一応ちょこっと付け加えましたが、

納得はいってませんので後々の大改訂で直す予定です。


さて、3月に入り、退職まで後一カ月を切りました。

有休を消化したりして就職活動を行っておりますが、

なかなか上手くいきません。

まあ今の職場の前の一年間就職活動に比べればマシですので、

言うほどは焦っていません。


しかし、引き継ぎや年度末の作業など仕事の方が忙しくなってきました。

ですので、3月の更新はいつも以上に少なくなると思います。

隙間時間を見つけて執筆していきますので、

頑張って更新していこうと思います。


では、次の更新をお待ちください<(_ _)>

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